ECにおけるカスタマーサクセスとは?概念やカスタマーサポートの違いを解説
2023.03.22カスタマーサクセスとは顧客の成功体験を後押しし、サイトやブランドへのロイヤリティを高める考え方です。
これまでもBtoBの領域では活用されてきた概念ですが、近年はECを中心にBtoCの領域でも注目が集まっています。
今回はカスタマーサクセスの概念やメリット、カスタマーサポートとの違いについて解説します。また、カスタマーサクセスが注目される背景や、ECでの具体策についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは、顧客の成功体験を後押しし、サイトやブランドへのロイヤリティを高める考え方です。
ECでは、商品購入時やサービス利用時に「買ってよかった」「このサービスを選んでよかった」といった成功体験につなげ、顧客との継続的な関係性を構築していきます。
カスタマーサクセスのメリット
カスタマーサクセスのメリットは、自社の売上や利益の増加に結び付く点です。
成功体験を提供できれば、リピート購入や定期購入、解約率の低下やアップセル(オプションの追加やグレードアップなど)が期待でき、自社の売上や利益の増加が期待できます。
また口コミやレビュー、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の投稿によりブランドの評判が高まれば、ブランド価値の向上につながります。近年のECではブランディングが重要な販売戦略に位置付けられていますが、こうした側面からのメリットを期待できるのもカスタマーサクセスの強みです。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いは?
カスタマーサクセスと混同されがちなのがカスタマーサポートです。両者の違いは、前者が「能動的」な施策なのに対して、後者は「受動的な」施策である点です。
カスタマーサクセス | カスタマーサポート | |
姿勢 | 能動的 | 受動的 |
目的 | 成功体験の後押し | 問題解決・クレーム処理 |
KPI | 継続率・LTV | 対応件数・満足度 |
カスタマーサクセスでは顧客の成功体験につなげるために、事業者側から顧客に対して能動的に働きかけていきます。つまり、施策の起点は事業者側にあります。
一方のカスタマーサポートは、顧客からの問い合わせがあってはじめてアクションを起こします。施策の起点が顧客側にあるという点で、受動的な施策です。
また施策の目的もカスタマーサクセスが「成功体験の後押し」という攻めの考え方なのに対し、カスタマーサポートは「問題解決・クレーム処理」といった守りの考え方です。そのため、両者のKPIに設定する項目にもおのずと違いが出てきます。
カスタマーサクセスとサポートの違いで迷ったら、施策の起点が自社にあるのか、それとも顧客にあるのかを基準に判断していきましょう。
なぜカスタマーサクセスが注目されているのか?
さて、素朴な疑問としてなぜカスタマーサクセスが注目されはじめたのでしょうか。理由は大きく3つ挙げられます。
1.サブスクや定期購入モデルが広まった
1つ目はサブスク(サブスクリプション)や定期購入モデルが広まった点です。
月額料金で動画視聴やサービスが使い放題で利用できるサブスクモデルは、今ではすっかりお馴染みの存在となりました。ECでも定期購入という形でサブスクサービスを提供する事業者が増え、年々市場規模が増加しています。
こうしたビジネスモデルではサービスへの満足度(=成功体験)が継続率に直結します。従来までの売り切り型のサービスとは違う対応が求められる訳です。
そこで事業者が注目したのがカスタマーサクセスです。能動的に顧客の成功体験を後押しし、満足度を高め「サービスを引き続き利用したい」と感じてもらうのが狙いです。
2.DXによりBtoCでも顧客とつながりやすくなった
2つ目はDXにより、BtoCでも顧客とつながりやすくなった点です。
以前までのBtoC市場では、商品を購入したユーザーの属性やデータは限られた情報しか取得できませんでした。そのため、こちらからアプローチしたくても、「誰に」「どんな」施策を打てばいいのか、分からなかった訳です。
しかしDXが進化し多くのユーザーがスマホを利用する現在では、BtoCでも詳細なデータを入手できるようになりました。またSNSや動画サイトなど顧客とのタッチポイントが増え、カスタマーサクセスに取り組みやすい環境が整った点も理由の一つです。
3.モノからコトへ顧客の購買行動が変化した
3つ目は顧客の購買行動が変化した点です。
モノからコトへに代表されるように、顧客の購買行動は消費型から体験型へと変化しています。とくに若年層は体験型のサービスを求める傾向が強く、商品やサービスの「付加価値」が購入満足度に影響します。
こうした購買行動の変化に対して、企業もただ商品やサービスを提供するのではなく、付加価値を加える必要があります。カスタマーサクセスはへの注目は、こうしたトレンドの変化に事業者が対した考えると自然です。
ECで取り組みたいカスタマーサクセス3つの施策
最後に、ECでカスタマーサクセスに取り組む場合はどのような施策に取り組むべきなのでしょうか。
施策1.購入体験の最適化
1つ目は購入体験の最適化です。
たとえば、
- ECサイトの決済手段を充実させ、顧客が使い慣れたサービスで購入できる
- 外部サービスと連携して、ログインの手間を解消する
- 商品やサービスの使い方動画を制作して、購入時に案内する
といった施策が挙げられます。いずれも、顧客が商品やサービスを利用した際の満足度を高め、ロイヤリティの向上につながる施策です。ECではとくにサイトのUIに関してアプローチできる箇所が多く存在します。
「ストレスなくスムーズな買い物ができ、痒い所にも手が届く」。そんな施策に取り組んでいけば、購入体験の最適化に結び付きます。
施策2.複数のチャネルを使ってアプローチする
2つ目は複数のチャネルを使ってのアプローチです。
顧客体験を向上させるには、顧客とのタッチポイントを増やす必要があります。そこでSNSや動画配信サービスなど、ECサイト以外のチャネルからも積極的にアプローチしていきましょう。
たとえば、
- SNSのライブ配信で商品紹介やライブコマースに取り組む
- 顧客のUGCを自社アカウントで取り上げる
- オンラインイベントで商品やサービスのハウツーを紹介する
といった施策が挙げられます。また近年では自社アプリの開発もECでは盛んに取り組まれています。ユーザーとダイレクトにつながれる自社アプリは、カスタマーサクセスと相性が良いツールです。
施策3.CSツールやデータ分析サービスを導入する
3つ目は、CSツールやデータ分析サービスの導入です。
顧客の成功体験を後押しするには、「そもそも顧客はどこに不満や疑問を持っているのか」を把握する必要があります。
こうした情報を把握するために便利なのが、CSツールやデータ分析サービスです。CSツールの中には、カスタマー“サクセス”と“サポート”の両方に対応したサービスも多く、「サポート側から汲み取った情報をサクセス側で提供する」といった連携も可能です。
またツールの導入はデータを一元的に管理するメリットも得られ、複数のツールを横断して分析を進めるといった手間を軽減できます。
まとめ
今回はカスタマーサクセスの概念やカスタマーサポートとの違いについてご紹介しました。
カスタマーサクセスとは顧客の成功体験を後押しし、サイトやブランドへのロイヤリティを高める考え方です。顧客が「買ってよかった」「このサービスを選んでよかった」といった成功体験へとつなげ、継続的な関係性を構築するのが狙いです。
こうした良好な関係性は自社の売上や利益、ブランドイメージの向上につながります。ECでは年々、商品を購入した際の「付加価値」が重要な要素となっていますが、カスタマーサクセスはこうした購買行動の変化に対応した考え方です。