Shopifyの新サービス「Commerce Components」とは?
2023.03.15Shpoifyでは2023年1月から「Commerce Components by Shopify(コマースコンポーネント)」と呼ばれるサービスの提供をスタートしました。
同サービスは大規模事業者向けのサービスで、従来のShopifyのサービスをコンポーネント(部品)単位で自由に利用・カスタマイズできます。
同サービスが話題となった背景や、今後の日本での展開について解説します。
目次
Shopifyのサービスをコンポーネント(部品)単位で利用できる新サービス
Commerce Components by Shopifyは、Shopifyの既存のサービスをコンポーネント(部品)単位で利用できる新サービスです。2023年の1月3日に公式発表され、大規模事業者向けのサービスとして位置付けられています。
最大の特徴は、Shopifyがこれまで提供してきたサービスを、個別のコンポーネント単位で利用できること。事業者は既存システムとの連携や、コンポーネントを使った自由なシステム構築が可能。ナノブロックやLEGOを組み立てるような感覚で、より柔軟にShopifyの機能を利用できます。
※記事中の画像出典先:https://www.shopify.com/commerce-components
パッケージの枠に捉われない柔軟な選択が可能
これまでShopifyといえば、EC構築に関するあらゆる機能をカバーする「オールインワン」のパッケージサービスが強みでした。小規模から大規模まで、Shopifyだけでサービスを完結でき、用途に応じてShopifyのアプリを追加し機能を拡張できます。
また、アメリカのEコマース市場において売上の10%以上、世界では5兆円以上のグローバルな商取引を支えるたしかな信頼性も同サービスの強みです。
一方でパッケージ型の弊害として、システム開発やカスタマイズは「Shopifyありき」で進める必要があり、自由度や柔軟性という点で制限がありました。
D2CやスタートアップのようにECを最初から構築する事業者にとっては利便性が高いものの、エンタープライズ(大規模)の事業者は、システムをまるごと入れ替える必要があります。
Commerce Componentsはこうしたエンタープライズにとって画期的な仕組みで、既存のシステムをそのまま利用しつつ、Shopifyの機能を個別に利用可能。つまり、今までのようなパッケージの枠に捉われることなく、個別に機能を導入するといった柔軟な選択が可能となります。
この他にもサービスの特徴として、
- APIのレート制限がない
- 同サービスの導入に合わせて専任のサポートチームを利用可能
- 月額料金ではなく従量課金制
といった特徴が挙げられます。
エンタープライズからすれば大きなメリットが
導入するエンタープライズからすれば、Shopifyをまるごと導入せず必要な機能のみを導入できます。
小売の世界においては課題やユーザーからの要求に対してスピーディーな対応が求められます。しかし、その都度システムを大幅にリニューアルして対応するのは非現実的で、柔軟性を備えたシステムが求められてきました。
Commerce Componentsの提供により、小売企業はシステム構築に費やす時間や技術力・コストを節約でき、そのリソースをカスタマイズ化や差別化・スケーリングに割けます。これは大規模なシステムを運営するエンタープライズにとっては、大きなメリットです。
日本は2023年度を本格展開に向けての体制整備の年に位置づける
さて、Commerce Componentsは現在本格的な導入に向けて体制の整備が進められています。
まずはアメリカの大手玩具メーカーブランド・マテルがCommerce Componentsを世界に先駆けて導入予定。
その他にも、グロッシアー(化粧品・コスメ)、JBハイファイ(家電)、コティ(フレグランス・コスメ)、スティーブマデン(靴)、スパンクス(シェイプウェア)、ステープルズ(オフィス用品)といった大手企業も名を連ねており、市場からの期待の高さが伺えます。
気になる日本での導入はまだ未定ですが、Shopify Japanは2月6日に実施した事業戦略説明会で2023年度を「Commerce Components」の国内展開に向けての体制づくりの年と位置づけています。
これは国内での事業戦略の最上位に位置づけられており、日本での本格展開も近いと考えられます。
まとめ│ShopifyにとってCCSはあらたな成長へと軌道修正を図る重要な一手
これまでShopifyはD2Cやスタートアップといった小中規模事業者をターゲットとしてきました。オールインワンの利便性や機能性はスタートアップ企業を中心に全世界で支持を集め、Eコマース市場に欠かせないサービスへと成長しました。
しかしコロナ禍のEコマース需要が落ち着きをみせると、事業拡大への投資が業績を圧迫し、株価が下落。2022年には米国の大手IT同様、大規模なレイオフを実施し話題となりました。
こうした状況を改善しさらなる成長へと軌道修正するための一手が、今回のCommerce Components by Shopify(CCS)です。これまでShopifyの導入に二の足を踏んでいた大規模ブランドに対して、コンポーネント(部品)単位で機能を提供する仕組みは画期的です。
AmazonのAWSのような仕組みをEコマースに導入し、大手ブランドの取り込みを図れば、Shopifyの市場価値は大きく上昇します。
いよいよ大規模事業者をターゲットに定めてきたShopify。Eコマース関係者が大きく注目するCommerce Componentsの動向は要注目です。