【モノ・コト・トキ・イミ】ECマーケティングで知っておきたい4つの消費行動。
2022.08.17ECではユーザーの消費行動をキャッチアップし、「ユーザーは何を求めているのか」「何がいまトレンドなのか」といったトレンドをしっかり把握しておく必要があります。
とくにスマホやSNSといったデジタルツールが普及して以降はトレンドの変化が激しく、消費行動にもさまざまな種類が登場してきました。
そこで今回はECでのマーケティングで知っておきたいモノ・コト・トキ・イミの4つの消費行動について解説します。それぞれの特徴や違いを把握し、自社のEC運営に反映させていきましょう。
ECマーケターが知っておきたい4つの消費行動
スマホやSNSといったデジタルツールが普及したことで、ユーザーの消費行動は大きく変化してきました。ECでの購入一つ取っても、かつてはパソコンから購入するのが定番でしたが、今ではスマホでワンタップで購入することができます。
こうした発展はユーザーの価値観や消費行動にも大きな変化を与え、近年では新たな消費の形が次々と登場しています。今回ご紹介するのは、
- モノ消費
- コト消費
- トキ消費
- イミ消費
の4つです。さっそくそれぞれの特徴や違いについて見ていきましょう。
1.モノ消費
モノ消費とは、物を所有することに価値を見出す消費行動です。
例えば家電製品や車、家、時計などを購入するのはモノ消費に含まれます。金銭を支払って新しいモノ(物)を購入するのが特徴で、もっとも基本的なビジネスのあり方といえます。
高度経済成長期やバブル全盛の時代はモノ消費が活発で、どのようなアイテムを持っているのかが大きな価値を持っていました。現在では以前に比べモノ消費が停滞し「車離れ」や「アルコール離れ」といった言葉も登場しています。しかし、基本的に私たちが生活する上で必要なアイテムを購入するという形は普遍的なもので、ECのビジネスモデルも多くサイトがこのモノ消費に集約されます。
2.コト消費
コト消費とは、商品やサービスを購入することで得られる体験や経験に価値を置く消費行動です。
コト消費が注目され始めたのは2000年代以降。モノを購入しなくなったのは長引く不況による消費の落ち込みも原因の一つですが、社会が成熟したことでモノを購入することへの依存度が下がってきた点も理由といえます。
コト消費にはアクティビティやイベント、伝統文化の体験などが挙げられ、実際に体験をすることでしか得られない経験や感動に対価を払うというのがコト消費の考え方です。
3.トキ消費
トキ消費とは、その場やその時、その瞬間にしか味わうことができない体験から生まれる消費のことです。
例えばオンラインでのライブ配信やウェビナー、限定開催のイベントなど、二度と再現できない「その瞬間」に価値を見い出し対価を支払います。トキ消費は博報堂生活総合研究所が2017年から提唱している新しい消費潮流ですが、この時期はスマホやSNSプラットフォームが急速に広がり、誰もがオンラインにアクセスできる環境が整った時期といえます。こうしたデジタル技術の発展が、トキ消費を後押ししたといえるでしょう。
また、トキ消費では不特定多数の人が同じ時間や空間を共有するという点が要件の一つとされています。これは若年層を中心に広がる「シェア」文化の広がりと関連していると考察できます。自分が参加したイベントをSNSにアップし多くの人とシェアするといった楽しみ方は、トキ消費を支える根っこの部分といえそうです。
4.イミ消費
イミ消費とは、商品やサービスの持つ社会的な価値や文化的な価値を重視した消費行動のことです。
例えば、
- 被災地支援のために特産品を購入する
- 環境保全に積極的な企業の商品を購入する
- クラウドファンディングに協力する
といった行動は、イミ消費に含まれます。商品をただ消費するのではなく、その背景にあるストーリーや意味に価値を見い出すのがイミ消費の特徴です。商品を購入することが、自己表現や社会貢献、社会課題の解決といった意思表明になっている点がこれまでの消費行動との違いといえます。
イミ消費はZ世代が消費の中心となっています。Z世代は社会貢献や社会課題の解決への意識が高く、世界的なSDGsの高まりもイミ消費の追い風となっています。
ECでは近年D2Cのビジネスモデルが注目されていますが、D2Cはブランドや商品のストーリーや世界観に重きを置くのが特徴です。機能性や価格だけに注目する消費行動ではなく、今後はこうした付加価値を持った商品やブランドへの注目が高まっていくでしょう。
まとめ
今回は、ECマーケティングの基礎知識として役立つ、4つの消費行動についてご紹介しました。
デジタル技術の発展に伴い、価値観やビジネスモデルはどんどんと多様化しています。ユーザーの消費行動もこの10年で大きく変化し、トキ消費やイミ消費といった新時代の消費のあり方も生まれてきました。
ECが登場した当初は、「いつでもどこでも商品を購入できる」「実店舗よりも安く商品を購入できる」といった利便性が強みでした。しかし現在ではこうした要素は当たり前で、それ以外の付加価値をどう提供するのかが大切となっています。
コト・トキ・イミ消費はとくに付加価値に重きが置かれています。EC事業者は今後いかにしてこの付加価値を届けるかに注力する必要があります。一方で、いち早く付加価値を提供できるようになれば、他社との差別化につながり、売上アップの起爆剤となってくれるでしょう。