ECのビジネスモデルまとめ│各種類の特徴を一挙解説

EcWork編集部

ECのビジネスモデルまとめ│各種類の特徴を一挙解説

EcWork編集部

国内ECの市場規模は約19.4兆円(2019年)。これは10年前と比較して2.48倍(約7.8兆円2010年)の数字で、EC市場の顕著な成長がうかがえます。同じく特徴的なポイントに挙げられるのが、ECにおけるビジネスモデルの多様化です。

市場やユーザーのニーズ、デジタル技術の変化に応じてさまざまなビジネスモデルが登場していますが、今回はECのビジネスモデルの種類をまとめてご紹介します。各モデルの概要や特徴について見ていきましょう。

基本的なECサイトのビジネスモデル

ECサイトは、商品を売買する対象によって大きく4つのビジネスモデルに分けられます。まずは基本的なビジネスモデルから確認していきましょう。

【BtoC】

BtoCとは『Business to Consumer』の略です。企業が個人のユーザーを対象に商品やサービスを販売する形態で、ECでも代表的なビジネスモデルに数えられます。

ECにおいてはブランドが自社サイトを運営して販売を行う形態や、大手ECモール(Amazonや楽天など)に出店して販売を行う形態が一般的です。

BtoC-ECの市場規模

経済産業省が毎年発表している「電子商取引に関する市場調査」によると、2019年のBtoC-ECの市場規模は約19.4兆円。前年比で7.65%の増加で、過去10年すべての年で前年を上回る右肩上がりの成長を続けています。

【BtoB】

BtoBとは『Business to Business』の略で、企業間による商取引のことを指します。BtoCと並び定番のビジネスモデルに位置づけられ、ECにも欠かすことができる形態です。

BtoB-ECの市場規模

BtoB-ECの市場規模は353.0兆円(前年比2.5%増)。BtoCに比べ市場規模が大きく、サービスの提供や卸売販売などが中心となります。

【CtoC】

近年市場で存在感を高めているのが、CtoCモデルです。『Consumer to Consumer』の略で、個人ユーザー同士での商取引のことを指します。

ECでの代表的なサービスではメルカリやヤフオクなどが人気で、実際にサービスを利用している方も多いのではないでしょうか。CtoCが広がりを見せる背景として、スマホの普及が挙げられます。個人が手軽にスマホを利用することで、CtoCサービスの利用や電子決済、商品の撮影などが手軽になりました。

2018年2019年
1 兆 5,891 億円1兆 7,407 億円

2019年の市場期のは1兆7,407億円。前年比では9.5%の増加と大きな伸びを見せており、今後も市場の動向が注目されます。

【DtoC】

ECビジネスのトレンド的な存在に位置付けられるビジネスモデルが、DtoCです。『Direct to Consumer』と略で、企業が商品の企画から製造、販売にいたるまでを自社で完結。ユーザーと直接(ダイレクト=Direct)に繋がることで、従来までにない顧客体験や密なコミュニケーションを実現できます。

SNSやオウンドメディアを通じて自社のビジョンやコンセプトといった「世界観」を訴求する点や、デジタル技術を活用してスピーディーかつ効率的なサイト運営で高い利益率を確保できる点も強みです。

最新のECのビジネスモデル5選

ここからは、より具体的なECのビジネスモデルについてご紹介します。

1.自社EC

企業が自社オリジナルのECサイトを構築して運営する方法が、自社ECです。

自社ECのメリットは、オリジナリティの高いサイトを構築できるということ。デザインや機能をカスタマイズすることが可能で、ブランドや商材の特徴にあわせて自由度の高いサイト運営を実現できます。

また、予算にあわせたサービスの選択肢が多く、ASP型やパッケージ型、クラウド型やフルスクラッチなど小規模から大規模までさまざまな形態に対応することが可能です。

2.モール型EC

複数の店舗が一箇所に集まり、ショッピングモールのような形態で販売を行うのがモール型ECです。楽天やAmazon、ヤフーショッピングなどイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。

モール型ECの強みは、高い集客力。大手モールは国内外で高い認知度を獲得しており、ユーザーへの信頼度や利用頻度も高い傾向にあります。そのため、知名度や集客力に乏しい企業にとっては大きなメリットとなります。また、自社ECよりも手軽にサイトを構築できる点も、モール型ECの強みといえるでしょう。

3.越境EC

越境ECとは、国をまたいで国際的なEC取引を行うビジネスモデルです。ECは時間や場所の制約を受けることなくサービスを展開できる点が強みですが、越境ECは国境という制約すら飛び越えて自社の商品を販売することができます。

とくに現地に実店舗を設けるコストやリスクを軽減できる点は越境ECの大きな強み。また、国内以外の市場を開拓することができるため、新規顧客の獲得にも繋がります。

4.オムニチャネル

オムニチャネルとは、ECや実店舗、SNSやDMなどあらゆるチャネルを通じて、ユーザーと繋がるビジネスモデルです。

ECや実店舗単体では、ユーザーがサイトや店舗を訪れてくれなければ購入に繋がることはありません。また、在庫状況や顧客のニーズとミスマッチがあれば、すぐに離脱してしまいます。

オムニチャネルではすべて(オムニ)の接点(チャネル)で顧客と繋がる環境を用意することで、利便性を高め機会損失を軽減。例えば、「ECで購入した商品を最寄りの実店舗で受け取る」「SNSの投稿からワンクリックで注文画面にアクセスできる」など、シームレスな購入体験を提供することで、事業全体の売上アップを目指します。

5.O2O・OMO

O2Oは『Online to Offline』の略です。言葉にもある通り、EC(オンライン)から実店舗(オフライン)へ集客することを目的としてビジネスモデルで、

ECで実店舗向けのクーポンを発行する
位置情報を元にアプリのプッシュ通知で来店を促す

といった手法が用いられます。

一方のOMOは『Online Merges with Offline』の略です。ユーザーの商品購入までの一連の行動情報をすべてデータ化して活用する販売戦略のことを指し、デジタル大国中国などでは導入が進むビジネスモデルです。

オンラインとオフラインの融合が目的で、あらゆるユーザーの行動・体験をデータ化し、より最適な顧客体験の提供を実現します。O2Oがオンラインとオフラインを明確に区分しているのに対して、OMOは両者を1つのデータとして個人に紐づけることで、より便利でより魅力的なサービス提供やUX実現に繋げます。

まとめ

EC市場はこの10年で大きな成長を見せ、ビジネスモデルもより多様化してきました。従来までの概念に捉われず、オンラインやオフラインを横断的に利用する手法も一般化するなど、これからのECはデジタル技術をさらに活用した運営が主流となってきます。

業界のトレンドや最新のツールの情報を常にキャッチアップしながら、自社サービスの利便性や機能性を高めることで、ユーザーのニーズにしっかり応えられるサイト作りを目指していきましょう。