越境ECのメリット・デメリットは?│市場規模からみる今後の展望

EcWork編集部

日本から海外へ向けて商品を販売する「越境EC」は、いまやすっかりお馴染みのビジネスモデルとして定着しました。ECビジネスは今後ますますグローバル化すると予想されることから、今まで以上に越境ECへの注目度が高まると見られています。

そこで今回は、越境ECの概要やビジネスモデルのメリット、市場規模などについて解説します。

越境ECとは?

越境ECとは、国をまたいだ国際的なEC(電子商取引)のことを指します。

ECは時間や場所の制約を受けることなくビジネスを展開できる点がメリットですが、越境ECは国境を超えてビジネスを展開するという意味で、ECのメリットを十二分に発揮できるビジネスモデルと呼べます。

とくに日本製の製品は世界的にも高品質というブランドイメージが強く、市場人気も高いと言えます。

越境ECの5つの種類

越境ECには出店先や販売元に応じて、おおきく5つの種類があります。

【1.国内自社サイト】

1つ目は、日本国内の自社サイトを利用して越境ECをおこなう事業モデルです。自社で越境ECサイトを構築・展開して販売を行います。サイトの構築にはECプラットフォームが整っている、Shopify(ショッピファイ)やMagento(マジェント)などのECプラットフォームが人気です。

【2.国内ECモール】

2つ目は、日本国内のECモールを利用して越境ECを行う仕組みです。越境ECに対応した国内モールへ店舗を出店し、販売を行います。

【3.海外ECモール】

3つ目は、海外のECモールを利用して越境ECを行う仕組みです。越境EC販売が許可されているECモールを利用して、自社の商品を販売します。例えば、欧米の「eBay (イーベイ)」 や「 Amazon (アマゾン)」、中国の天猫国際 (T-Mall Global)、網易考拉海購 (コアラ / Kaora)などが有名です。

【4.保税区・現地倉庫活用型】

保税区に指定された現地の倉庫にあらかじめ商品を輸送しておき、商品の受注後に保税倉庫から配送する事業モデルです。中国向けの越境ECで多く見られる手法で、相手国からの発送であるため、配送期間やコストを抑えることができます。

【5.代行販売型の越境EC】

CtoCサイトなどの代行販売業者を利用して越境ECを行う方法もあります。具体的には、ヤフオクや楽天市場に出店したまま、日本国内の転送事業者に商品を買い取ってもらい、海外の購入者に発送を代行してもらうといった手法です。法人化をしないため手軽にスタートできますが、代行業者を通すため利益率が下がる点や、購入者の顧客情報を自社でストックできない点など、継続的な運営にはデメリットもあります。

越境ECのメリットとデメリット

ここから越境ECのメリットとデメリットについて見ていきましょう

越境ECのメリット

  • 新規ユーザーの開拓
  • 現地での店舗コスト等を抑制

最大のメリットは新規ユーザーを開拓できる点でしょう。日本国内という枠を飛び出て、海外に市場を求めればこれまで自社ブランドを知らなかった新規ユーザーを多く獲得することができます。日本に比べECの利用率が高いアメリカや中国で市場を開拓できれば、大きな利益を生み出すことができるでしょう。

また、ECは現地に販売店や代理店を用意する必要がなく、コストを大幅に抑えることができます。実店舗を構える海外進出は失敗できないというプレッシャーが大きいですが、ECならサイト上でサービスを展開するためリスクを抑えることができます。

越境ECのデメリット

  • 言語や商慣習の違い
  • 物流や配送網の構築

デメリットとして挙げられるのが、言語や商慣習の違いです。越境ECでサイトを構築する際は出店する国の言語に合わせてサイトを構築しますが、ネイティブな言い回しや表現を実現するのは高いハードルです。また、国によっては商慣習が大きく違う場合があります。例えば、クレジット決済が一般的でない国ではどのように決済を完了するのか、1つ1つの課題をクリアしていかなければなりません。いずれにしても、その国の言語や商慣習に詳しい人材が不可欠でしょう。

また、国内から商品を発送する場合、物流や配送網を構築する必要があります。ECは可能な限りスピーディーに商品を届けることが重要です。最短ルートの確保や関税等の知識など、こちらもハードルが高い業務となるでしょう。

越境ECの市場規模と今後の展望

最後に、現在の越境ECの市場規模を確認しながら、今後の市場の展望について考察していきます。

日本・アメリカ・中国の越境EC市場規模

経済産業省が毎年発表している「電子商取引に関する市場調査(令和元年度)」によると、日本、アメリカ、中国の3か国の越境EC市場規模は次の通りとなっています。

越境EC購入額 伸び率
日本 3,175億円 14.8%
アメリカ 1兆5,570億円 11.8%
中国 3兆6,652億円 12.3%
越境EC 市場規模

前年比で3か国とも10%越えの高い伸び率を記録している一方で、日本の市場規模は3,175兆円と両国と比べ大きく差があることが分かります。人口やEC化率など国による違いはあるものの、市場規模ベースでは日本の越境ECにはまだまだ伸びしろがあることが分かります。

日本国内でのEC競争は年々熾烈を極めており、新規事業者が既存のブランドと対等に勝負するにはハードルが高くなっています。ニッチな商品やサービスといったブルーオーシャンを探すのも1つの手ですが、まだ国内ほど商品やサービスが普及していない海外市場をターゲットにすることで、国内での競争を回避しつつ売上を高めるといった戦略も1つの方法です。

中国やアメリカ以外の商圏に注目が集まる

現在日本の越境ECは中国やアメリカが中心となっています。両国は越境ECの市場規模が大きく魅力的なフィールドといえますが、同時に世界の事業者がこぞって集まることから、海外進出で思うような成果を上げられないケースも少なくありません。

こうした背景から、現在日本のEC事業者が注目しているのがASEANやUAE、ロシアです。ASEANは地理的な面で流通網を構築しやすい上、日本企業も多く進出しているため商品やブランドへの信頼感を得やすいというメリットがあります。また、購買力が高いUAEや経済成長が著しいロシアもマーケットとしては魅力的で、他社に先だって進出できれば、現地の市場を開拓することができるでしょう。

まとめ

今回は、越境ECの概要やビジネスモデルのメリット・デメリット、市場規模などについて解説しました。

越境ECは国をまたいだ国際的なEC(電子商取引)のことで、日本の市場規模は前年比14.8%の伸び率を記録するなど、魅力的なマーケットといえます。一方で、現地の言語や商慣習を反映したサイトやサービスの構築が課題となることから、越境ECに長けた人材の確保はもちろん、越境EC向けのツールを積極的に導入するなどして課題を解決していきましょう。