オムニチャネルとは?メリットやO2O・OMOとの違いを分かりやすく解説
2021.07.12「オムニチャネル」とは、ECに代表される小売業で用いられる販売戦略です。ユーザーとあらゆるメディアを通じて接点を持つことで、ECと実店舗の垣根をなくす戦略が特徴ですが、そのメリットはどこにあるのでしょうか?
今回はオムニチャネルの解説だけでなく、O2OやOMOとの違いについて分かりやすくご紹介します。
目次
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、ECや実店舗、SNSやDMなどあらゆるチャネルを通じてユーザーにアプローチする販売戦略です。購入の経路を限定せず、好きな時間に好きな場所から商品やサービスを購入できる点がポイントで、オンライン・オフラインを問わす常時ユーザーと接点を持つことができます。
例えば、洋服店を例に説明してみましょう。
実店舗を訪れて気に入った商品を見つけたものの、自分にあったサイズが在庫切れだったとします。従来ならその場で注文をするか、違う店舗を訪れるしか選択肢がありませんでした。しかしオムニチャネルであれば、その場で店員がECや店舗のシステムにアクセス。すぐに在庫を押さえ、代金の支払いだけをその場で済ませて商品は後日自宅まで郵送、といった選択肢が生まれます。
この他にも、
- ECで購入した商品を最寄りの実店舗で受け取る
- SNSの投稿からワンクリックで注文画面にアクセスできる
- DMで紹介された商品QRコードからすぐに注文ができる
など、顧客はすべて(オムニ)の接点(チャネル)をシームレスに利用することで、高い利便性を得ることができます。
なぜオムニチャネルが注目されるのか?
オムニチャネルに注目が集まる理由として、スマホの普及があげられます。スマホの登場により、ユーザーは24時間どこからでもインターネットにアクセスできるようになりました。これにより、購買行動も大きく変化。さまざまな口コミやレビュー、SNSの情報などを参考にして、自分が欲しいと思ったタイミングで商品を購入するのが当たり前となっています。
企業はこうしたユーザーの変化に対応するために、あらゆるチャネルから商品やサービスにアプローチできる仕組みを構築。つまりオムニチャネル化が必要となった訳です。
また、こうした仕組みを手軽に導入できるサービスやツール、プラットフォームが社会環境として整ってきた点も見逃せない要素でしょう。
よく聞くO2O・OMOとは何が違うの?
さて、オムニチャネルについて解説する際に、よく質問にあがるのがO2O・OMOとの違いです。
【O2O】
O2Oとは、Online to Offlineの略です。「オンラインからオフラインへ」という言葉通り、ECやSNSといったオンライン上のユーザーをオフラインである実店舗へ誘導する戦略を意味します。
例えば、実店舗を持つECサイトを利用したユーザーに店舗限定の割引クーポンを配布し、実店舗に足を運んでもらうといった施策が挙げられます。O2Oには、オンライン→オフライン(Webからリアルへ)という明確な目的があります。実店舗での接客や商品紹介によりブランドへのロイヤリティを高めてもらい、継続的な購入や集客に繋げることが狙いです。
一方のオムニチャネルは、オンラインとオフラインを横断してユーザーを獲得します。O2Oにように実店舗に誘導するといった明確な目的がある訳ではなく、あらゆるチャネルから自由にアクセスしてもらい、ユーザーの利便性を高めることが狙いです。
【OMO】
OMOとはOnline Merges with Offlineの略で、ユーザーの商品購入までの一連の行動情報をすべてデータ化して活用する販売戦略です。オンラインとオフラインの融合とも呼ばれ、これまでオフラインとされてきた消費者の行動までもがデジタルデータ化され、個人のIDに紐づけられるようになります
オムニチャネルは、オンラインとオフラインを区別し、顧客の購買行動を促すためにチャネルを連携させる「企業目線」の戦略です。一方のOMOは顧客のあらゆる体験(UX)を中心に設計を行う「顧客目線」の戦略と呼べ、両者の大きな違いといえます。
「顧客目線」「顧客体験志向」でオンとオフのチャネルを融合し、よりよい顧客体験を提供していこうというのがOMOの狙いです。
オムニチャネルのメリットは
では、オムニチャネルについてさらに理解を深めるために、オムニチャネル戦略のメリットについて見ていきましょう。
1.顧客満足度の向上
1つ目は、顧客満足度の向上です。
ユーザーにとっては、あらゆる時間や場所でサービスを利用できるオムニチャネルは非常に利便性の高い施策です。これまで実店舗やECはそれぞれが独立した状態で運営されていましたが、この垣根がなくなることでより自由に、より便利にショッピングを楽しむことができます。
従来までにない購入体験は顧客満足度の向上に繋がり、商品やサービスへのロイヤリティを高めることができます。結果としてリピーター率のアップやLTV向上に繋がれば、ブランドとして大きく売上を伸ばすことができるでしょう。
2.マーケティングの一貫性を確保
2つ目は、マーケティングの一貫性が確保できるということ。
これまでECと実店舗で違うセールやキャンペーンを実施するといったケースは多く見られました。しかし顧客からすると同じ商品を購入するのに、価格や特典が違うというのは矛盾を感じるものです。マーケティング戦略の一貫性が保てていないというイメージは、ブランドへもマイナスに作用してしまいます。
また、店舗とECで別々のオペレーションを実施するということは、事業者にとっても作業負担が大きくなるでしょう。例えば、店舗とECでわざわざ別のセールスメールを作成するといった作業は、思いのほか面倒なものです。
その点オムニチャネルであれば、店舗とECのマーケティングに一貫性を持たせることができます。事業者にとっても負担軽減に繋がり、必要なタスクにより注力することができるます。
3.機会損失を軽減
3つ目は、機会損失を軽減できるということ。
小売業において、いかに機会損失を軽減できるかは売上アップへの大きな課題です。オムニチャネルはあらゆるチャネルを利用してユーザーとの接点を築くことができるため、機会損失を大幅に軽減することができます。
他サイトへの離脱を防止する効果も期待でき、集客やブランディングにおいても有効な戦略と呼べるでしょう。
まとめ
オムニチャネルは、ECや実店舗、SNSやDMなどあらゆるチャネルを通じてユーザーにアプローチする販売戦略です。オンライン、オフラインを問わずユーザーと絶えず接点を持つことができるため、顧客満足度の向上や機会損失の軽減など事業者にとってメリットが多い戦略といえます。