D2Cとは?ビジネスモデルの特徴と国内ブランドの事例を紹介

EcWork編集部

D2Cとは?ビジネスモデルの特徴と国内ブランドの事例を紹介

EcWork編集部

EC業界の中でも、近年大きな注目を集めているビジネスモデルがD2C(Direct to Consumer)です。

商品の開発から販売まですべての工程を自社で完結し、ユーザーと直接的な関係性を構築するのが特徴。また、デジタル技術を用いた運営効率の高さや、独自の世界観でユーザーの共感を呼ぶといった先進性もビジネスモデルの強みといえます。

今回は、D2Cの概要や特徴とは何かについて分かりやすく解説します。国内ブランドの事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

D2Cとは?

D2Cとは、Direct to Consumerの略で近年大きな注目を集めいてるECのビジネスモデルです。

事業者が商品やブランドの企画・開発から製造、販売、マーケティングにいたるまでをすべて自社で完結するのが特徴。従来までのECビジネスと違い仲介業者を通さないことでコストを削減し、利益率を高めることができます。

また、事業者が直接ユーザーと関係性を構築できるため、ブランドのコンセプトやストーリーといった世界観を過不足なく訴求できる点もポイント。ファンの共感を得ることでリピートユーザーを獲得しやすく、中長期的なサイト運営に繋げることができます。

D2Cのメリットは?

D2Cの特徴をより深く理解するために、ビジネスモデルのメリットを見ていきましょう。

1.利益率を高めることができる

1つ目は利益率を高めることができること。

D2Cでは、商品の開発から販売までの工程をすべて自社でまかないます。従来までのECビジネスでは仲介業者が存在することでコストが発生していましたが、D2Cではこの費用を削減できるため利益率を高めることができます。

また、D2Cでは基本的に実店舗を持たずECだけで事業を展開します。そのためテナント料や人件費抑えることができ、結果として利益率をさらに高めることが可能です。

2.効率的なCRMに取り組める

2つ目は、効率的なCRMに取り組めるということ。

CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれています。施策や接客を通して顧客との良好な関係性を築くことが目的で、継続的な関係を築きブランドイメージを高めることでファンを獲得できれば、LTVが高まりサイトの売上を増やすことができます。

仲介業者や代理店を挟まないD2Cビジネスでは、事業者がユーザーに直接アプローチすることが可能。SNSやオウンドメディアを通して、ブランドのストーリーや世界観を丁寧に訴求し世界観への共感が得られれば、効率的なCRMに取り組むことができます。


【D2Cビジネスにおける「世界観」の重要性】

D2Cではブランドのビジョンやコンセプトといった「世界観」が重要な意味を持ってきます。

ECのメインターゲットと呼べるミレニアル世代は商品のスペックだけでなく、「環境」や「ライフスタイル」「SDGs」といった付加価値の有無が購買意欲を左右します。商品の利便性だけに留まらず、背景にあるストーリーを重視するという訳です。

D2Cが世界観を重視するのは、こうした消費者ニーズの変化を踏まえてビジネスモデルが構築されているため。独創的かつ社会的なニーズとマッチするブランドであることは、D2Cを成功させる鍵の1つと呼べるでしょう。


3.スタートアップが参入しやすい

3つ目はスタートアップが参入しやすいということ。

D2CではECのみで事業を展開するため、初期投資が少なく参入ハードルが低い傾向にあります。また、SNSやデジタルツールをフルに活用することで徹底的に作業効率を高めることができることから、スタートアップが参入しやすいビジネスモデルと呼べます。

また、自社完結のビジネスモデルは顧客データを施策にすぐ反映しやすい点や、PDCAサイクルを高速で回せる点もメリットの1つ。海外ではD2Cがユニコーン企業に急成長する事例も多いですが、その背景にはデジタル技術を手軽に利用しビジネスに活用できる社会環境が整ってきた点も理由の1つでしょう。

国内D2Cブランドの成功事例3選

では、国内のD2Cブランドの中から、とくに成功を収めている事例を見ていきましょう。

事例1.FABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)

FABRIC TOKYO

国内のD2Cブランドの中でも先駆者的な存在が「FABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)」でしょう。

FABRIC TOKYOはオーダーメイドスーツを販売するD2Cブランドです。オーダーメイドスーツといえば、敷居も値段も高いといったイメージから若年層には敬遠されがちですが、同社はD2Cの手法を用いてこのイメージを一新。

ユーザーはまずFABRIC TOKYOの店舗でサイズを無料で測定。一度この測定データが登録されれば、以降の購入はすべてクラウド上に共有されたデータで完了するため、オンラインで自宅から注文することができます。もちろん、好みのデザインや仕上げにカスタマイズも可能で、店舗での人件費や流通コストを抑えることができるため、高品質なオーダーメイドスーツを手頃な価格で購入することができます。「自宅のソファーでスマホを操作しながら、オーダーメイドスーツが購入できる」といった新しい購入スタイルを実現し、若年層を中心に高い人気を集めることに成功しました。

事例2.MEDULLA(メデュラ)

MEDULLA

国内初のカスタマイズシャンプーを販売するD2Cブランドが「MEDULLA(メデュラ)」です。

MEDULLAでは、ECサイトで9つの質問に回答することでユーザーの髪質を診断。3万通りの候補の中から、1人ひとりの髪質に最適化されたシャンプーとトリートメントを製造し自宅まで届けてくれます。

シャンプーは種類が多いものの、自分の髪質に合った商品を探すまでは時間とコストがかかります。なかなか自分に合ったシャンプーを見つけられない「シャンプー難民」は多く、MEDULLAのパーソナライズ化された商品は多くのユーザーから支持を集めました。

サブスクリプションモデルを採用しているため、ユーザーの声をリアルタイムで商品に反映し常に最適化を図れる点もMEDULLAの特徴でしょう。

事例3.COHINA(コヒナ)

cohina

ニッチな市場をターゲットにすることで成功を収めたのが「COHINA(コヒナ)」です。COHINAは女性向けのアパレルを販売するD2Cブランドですが、特徴的なのが150cm前後の小柄な女性をターゲットにしていること。

小柄の女性の中には、「おしゃれを楽しみたいのに自分に合ったサイズがない」といった悩みを抱えている人が少なくありません。COHINAはこうしたユーザーの悩みを解決するために、小柄な女性向けのアパレルを販売。同サイトやブランドのSNSでは小柄なモデルを起用したファッションコーデを投稿することでファンを獲得し、人気ブランドへ成長しました。

まさにD2Cの軸となる「世界観」を上手に伝え、ニッチな市場を開拓したお手本のような事例をいえます。

まとめ

今回は、ECビジネスのトレンドとも呼べるD2Cについてご紹介しました。

D2Cは商品の開発から製造、販売、マーケティングに至るまですべての工程を自社で完結するビジネスモデルをいいます。仲介コストを省くことで利益率を高められる点や、ストーリーや世界観を丁寧に訴求することでブランドのファンを効率的に獲得できることが可能。また、ビジネスモデルを実現するために積極的にデジタル技術を活用している点も、特徴の1つです。

年々消費者の購買行動はスペック重視から付加価値重視へと変化しています。D2Cは独自の世界観を丁寧に訴求し、共感を誘うことでこうしたニーズを持ったユーザーを獲得。同時に、デジタル技術で事業運営を最適化できる先進的なビジネスモデルと呼べるでしょう。