EC向けのオープンソース型サービスとは?基本情報をまとめて解説
2019.06.05オープンソース型とは、全世界に無料で公開されたソースコードを使って、ECサイトの構築を行えるソフトウェアのことを言います。
パッケージ型のソフトウェアに比べ費用面での負担少なく、デザインや機能面での自由度が高いことから、事業者から人気を集めている形態です。
そこで今回は、EC向けのオープンソース型サービスの概要やメリット・デメリット、おすすめのサービスなどをまとめてご紹介していきます。EC構築に関するオープンソース型の情報をお探しの方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
オープンソース型のサービスとは?
オープンソースとは、コンピューターのプログラムを実行するための「言語」とも呼べるソースコードが、無料で公開(オープン)されているソフトウェアのことを呼びます。
このオープンソースを使ってECサイトの構築を行えるのが、「オープンソース型サービス」です。
誰でも無料で利用することができる
オープンソース型のサービスは、全世界に情報が公開されているため、誰でも無料で利用することが可能です。
ECサイトを構築する際は、ASPサービスやクラウド型サービスに代表される有料のサービスを利用する方法が有名ですが、オープンソース型のサービスを利用すれば、ネットショップを無料で立ち上げることが可能です。
オープンソース型の3つのメリット
では、オープンソース型のサービスをより詳しく知るために、メリットとデメリットを解説していきましょう。
EC向けのオープンソース型サービスのメリットは、次の3つです。
無料でECサイトを構築できる
拡張機能が豊富
デザインの自由度が高い
1.無料でECサイトを構築できる
1つ目のメリットは、「無料でECサイトを構築できる」ということ。
先ほども少し触れましたが、ECサイトの構築に外部のサービスを利用すると、費用面での負担が大きくなります。とくに事業規模が大きいサイトを運営する場合は、容量の大きいプランに加入する必要があり、コストは増える一方です。
その点オープンソース型のサービスなら、無料でソフトウェアを利用することができるため、コストを抑制することが可能です。
2.拡張機能が豊富
2つ目のメリットとして、「拡張機能が豊富」に用意されている点が挙げられます。
ECサイトではユーザーのニーズや利便性を向上させるために、さまざまな機能を用意する必要があります。その際、拡張機能(プラグインやアドインなど)を使うことになりますが、オープンソース型なら数多くの機能が揃っており、選択肢が豊富に用意されています。
ASPなどを利用していると、サービス会社側の機能追加を待たなければならず、「欲しいときに、欲しい機能がない」といったケースも出てくるでしょう。
オープンソース型なら、簡単に機能の追加が行える上、次々と新しい機能がリリースされることから欲しい機能をほぼすべて網羅することが可能です。
3.デザインの自由度が高い
「デザインの自由度が高い」点も、オープンソース型のメリットと言えます。
ECサイトは年々競争が過熱化しており、サイトの数も増加傾向にあります。数ある店舗の中から自社サイトを選んでもらうには、他社との差別化を図り、魅力あるサイトを構築することが重要です。
オープンソース型のサービスなら、細部のデザインまで細かく調整や変更を行うことができ、オリジナリティあるサイトデザインが可能。サービス会社のテンプレートに頼る必要がないため、「どこかで見たことがある」ような、ありきたりなデザインから脱却することもできるでしょう。
この自由度の高いデザインへの対応も、オープンソース型の代表的なメリットと言えます。
オープンソース型の3つのデメリット
次にデメリットについても見ていきましょう。
オープンソース型のデメリットには、次の3つが挙げられます。
専門的な知識が必要となる
セキュリティ対策が必須
サイトの管理・運営の負担が大きい
1.専門的な知識が必要となる
オープンソース型のデメリットとして「専門的な知識が必要となる」点が挙げられるでしょう。
オープンソース型のサービスを使ってECサイトを立ち上げるには、ソフトウェアに関する一定水準の知識が必要です。事業として円滑にサイトを運営するとなると、求められるスキルも高くなるでしょう。
この点はオープンソース型を利用する上での大きなハードルとなっており、代表的なデメリットの1つに挙げられます。
2.セキュリティ対策が必須
オープンソース型を利用するなら、「セキュリティ対策が必須」です。
ソースコードが全世界に公開され、誰でも利用できるオープンソースですが、それは同時にソフトウェアの脆弱性も公開されているということを意味します。つまり、セキュリティの欠陥や穴(セキュリティホール)に関しての情報も、オープンになってしまうということ。
こうした脆弱性を狙った悪意ある攻撃は後を絶たず、セキュリティ対策は必須と言えるでしょう。とくにECサイトでは数多くの個人情報を取り扱うことから、万全の対策が必要となります。
このセキュリティに関する項目も、オープンソース型を利用する際のデメリットです。
3.サイトの管理・運営の負担が大きい
専門的な知識やセキュリティ対策が不可欠なオープンソース型のサービスでは、必然的に「サイトの管理・運営の負担が大きい」というデメリットがあります。
常に最新の状態にシステムをアップデートする必要や、セキュリティ対策を施すとなると、担当者の負担は大きくなるでしょう。負担を軽減するため外部のサービス会社に委託するというケースも多く「結果的にコストが膨らんだ…」といった事例も少なくありません。
オープンソース型を導入する際は、まず自社で運営できる体制が整っているのか、管理できる人材は確保できているのか、前もって確認しておくことが大切です。状況を整理した上で、導入するサービスの検討を行ってみましょう。
EC構築におすすめのオープンソース型サービス3選
オープンソース型のサービスを使ってECサイトを構築するなら、どのサービスがおすすめなのでしょうか?ここからは、代表的な3つのサービスの特徴をご紹介します。
1.EC-CUBE(イーシーキューブ)
まずご紹介するのは、国産のオープンソース型サービス「EC-CUBE(イーシーキューブ)」です。
2006年のサービス開始以降、数多くのECサイトの構築に利用されており、これまで35,000店舗を越えるネットショップを手掛けています。EC構築向けのオープンソース型サービスとしては、国内No.1のシェアをほこり、「オープンソース型の定番」として確固たる地位を築いています。
人気の秘密は、ECサイトに必要な機能が豊富に揃っているということ。標準機能だけでも本格的なサイトをオープンできる上、事業者のニーズにあわせて機能を拡張することも可能。拡張機能は800種類以上にのぼり、簡単に自社サイトをアップデートすることが可能です。
また、オープンソース型は海外発のソフトウェアが多いことから、日本人にとっては語学力が導入へのハードルとなっていました。その点EC-CUBEは国産のサービスなので、日本語ベースのシステムをストレスなく利用することができるでしょう。
2019年2月には、クラウド版のサービスとして「ec-cube.co」をリリース。より簡単にEC-CUBEのサービスを利用できるとあって、ユーザーから好評を得ています。
2.Magento(マジェント)
「Magento(マジェント)」は、アメリカのロサンゼルスに拠点を構えるオープンソース型のサービスです。
EC構築向けのオープンソース型サービスとしては、世界第2位のシェアをほこるなど、ワールドワイドな人気を集めています。2018年には世界的企業Adobe(アドビ)による買収が発表され、サービスの評価が一段と高まりました。買収額は16億ドル(約1,750億円)にのぼり、EC事業を強化したいAdobe側の期待値の高さが伺えます。
サービスの強みは、越境ECに強いということ。多言語や多通貨でのサービス利用に対応しており、海外向けのECサイトを構築したい事業者にとっては魅力的あるサービスとなっています。複数のサイトを1つのソフトで管理できる点もポイント。事業者の運営負担を軽減する環境が整っていると言えるでしょう。
一点気になるのが、日本語の公式サイトがないということ。そのため、サービスを導入する際はある程度の語学力が必要となることを覚えておきましょう。
3.osCommerce(オーエスコマース)
ドイツ発のオープンソース型サービスとして、欧米を中心に利用者を集めているのが「osCommerce(オーエスコマース)」です。
本格的なECサイトを構築するための機能が整っており、簡単にネットショップを立ち上げることができます。
特筆すべきは、豊富な拡張機能。2019年10月現在で9,000種類を超えるアドオンが用意されており、簡単に機能の追加を行うことができます。日々新しいサービスが生まれるEC業界では、最新の機能をいち早く導入することが重要です。拡張機能は現在も数が増えており、欲しい機能をすぐに導入できる点は事業者にとって嬉しいポイントでしょう。
Magentoと同じく、こちらも日本語への対応が未整備な点がネック。派生型のサービス「ZenCart(ゼンカート)」は、比較的日本向けのカスタマイズサービスが用意されているので、そちらを選んでみるのもアイデアの1つです。
まとめ
今回は、オープンソース型のECサイト構築向けサービスについて、その概要やメリット・デメリット、おすすめサービスの特徴をご紹介しました。
オープンソース型サービスは、全世界にソースコード(プログラムの言語)が公開されている特性を生かして、無料でECサイトを構築することができます。拡張機能が豊富に揃っており、自由度の高いデザインを実現できる点もメリットの1つと言えるでしょう。
一方で、導入や運営には専門的な知識が必要となります。とくにセキュリティ対策に関するノウハウは必須といえ、管理や運営にかかる負担が大きい点はデメリットと言えそうです。
オープンソース型のサービスでおすすめなのが、「EC-CUBE」です。国内シェアNO.1の実績と、多彩な機能が利用できるとあって、多くのユーザーから評価を集めています。国産サービスなので、語学力のハードルがない点も魅力と言えるでしょう。語学力に不安がないなら、越境ECに強い「Magento」や、膨大な数の拡張機能が強みの「osCommerce」も候補の1つです。