osCommerce(オーエスコマース)とは?海外市場で人気のオープンソースサービスを紹介
2019.05.23ECサイトの構築に活用されるオープンソース型のサービス。サービスの中でも、欧米を中心に全世界で導入しているユーザーが多いのが「osCommerce(オーエスコマース)」です。
ドイツ発のオープンソースとして知られるosCommerceですが、サービスにはどのような特徴があるのでしょうか?今回は、osCommerceの概要や特徴、導入事例について解説したいと思います。
目次
osCommerce(オーエスコマース)とは?
osCommerce(オーエスコマース) とは、2000年にドイツでサービスの提供がスタートした、EC構築向けのオープンソース型サービスです。
リリースから19年を迎えた信頼あるサービスとして知られ、2019年の10月現在、20,000を超えるECサイトの導入実績をほこります。
osCommerceをベースにして開発された派生サービスも多く、ZenCart(ゼンカート)やCRE-Loaded(シーアールイー・ローデッド)などが有名でしょう。
欧米を中心にユーザーが多いサービスですが、日本語のページが用意されている点も特徴の1つ。しかし、基本的には英語を軸として構築されており、機能を使いこなすには一定の英語力が求められるでしょう。
英語力が不安ならZenCart(ゼンカート)もおすすめ
機能や実績面では不安のないosCommerceですが、英語力に自信がない場合は 「ZenCart」(ゼンカート) を利用するのも1つの方法です。
ZenCartは、osCommerceを基本に作成された派生版のサービスで、日本向けのカスタマイズサービスも用意されています。オープンソース型のサービスを導入したいなら、選択肢の1つとして覚えておいて損はないでしょう。
osCommerceの3つの特徴とは?
ここからは、osCommerceのサービスの特徴について、詳しく見ていきましょう。
1.EC構築に特化したパッケージを提供
osCommerceの1つ目の特徴が、ECサイトの構築に特化したサービスを提供しているということ。
osCommerceは、初期機能だけですぐにECサイトの事業をスタートすることができるパッケージ化されたサービスを提供しています。事業者からすれば、サイト構築への時間や労力を軽減することができ、スピーディーな事業運営が可能です。
また、初期機能も充実していることから、サイトの構築に関する専門知識に乏しい方でも、本格的なECを立ち上げることができます。多言語や多通貨への対応できる環境も整っていることから、越境ECへの参入を考える事業者にとっても魅力的なサービスと言えるでしょう。
2.9,000を超えるアドオンを無料で提供
初期機能だけでも本格的なECサイトの構築が可能なosCommerceですが、オープンソース型のサービスらしくアドオン(拡張機能)も充実しています。
アドオンの数は、2019年10月現在で9,010種類にものぼり、すべての機能を無料で追加することが可能です。
オープンソース型のサービスの魅力は、自分好みのサイトにカスタマイズできるということ。その際、欲しい機能が簡単に追加できるサービスが好ましいですが、膨大な数のアドオンを揃えているosCommerceは、その点で最適なサービスと言えます。
3.コミュニティの交流が活発
osCommerceでは、自社の公式サイトでサービスに関する情報やアイデアを共有する「フォーラム」が設けられています。
フォーラムには30万を超えるユーザーが参加しており、常時さまざまなユーザーが情報を発信。基本的な機能の説明はもちろん、カスタマイズ機能やサイト構築に関するアドバイスまで、投稿は多岐に渡ります。
オープンソース型のサービスは、完成形の製品を利用するのではなく、導入後自社でアレンジを加えられる点に強みがあります。フォーラムでは、同じサービスを利用するユーザー同士で強固なコミュニティが形成されており、osCommerceの大きな特徴とも言えるでしょう。
サービスの基本機能は?
osCommerceは初期機能だけでもサイトの構築に十分対応できるとご紹介しましたが、実際に利用できる基本機能を見ていきましょう。
ショップ機能
ECサイトの最大の目玉といえば、購入に直結するショップ機能でしょう。
osCommerceのショッピングカート機能は、スムーズな購入を促すための工夫がなされており、ログイン手続きや購入手続きが簡略化されています。また、ユーザーが気になるセキュリティ対策もしっかり施されており、安心してネットショッピングを楽しむことが可能。
商品の購入へ繋がるための検索機能や、レビュー表示、デザインも充実しており、ユーザーが欲しい商品を「見つけやすく・購入しやすい」システムとなっている点も魅力の1つです。
管理機能
事業者にとって、ECサイトの管理に関わる負担は想像以上に大きいものです。こうした負担を軽減するための管理機能も、osCommerceにはしっかり用意されています。
カテゴリーやメーカー別の商品登録機能や、多様な注文・配送手段への対応。バナーやメールの管理や、顧客分析機能まで幅広いジャンルをカバーしてくれます。
また、国際化機能は越境ECを見据える事業者にとっては嬉しいポイントです。言語や通貨を簡単に切り替えることができる機能が備わっているので、国別に複数のサイトを構築する必要もありません
osCommerce で利用できるパートナーサービス
osCommerceはさまざまな専門分野のパートナー関係が充実しています。ここでは、具体的なパートナーサービスの内容について見ていきましょう。
ホスティング
ECサイトを構築するには、サーバーが欠かせません。しかし自社独自にサーバーを用意するとなると、コストや管理面での負担が大きくなります。そこで人気を集めるのが、サーバーをレンタルして利用できるホスティングです。
osCommerceでは、大手ホスティングサービスの「1&1インターネット」や「KnownHost」とパートナー関係を構築しており、円滑にサービスを導入できます。
決済
多様な決済方法を用意することはECのトレンドとも呼べますが、osCommerceでは世界的な決算代行サービスの「PayPal」を利用することができます。また「G2Aペイ」や「Sage Pay」との連携も可能。越境ECの決済に困ることはありません。
テンプレート
サイトデザインの強い味方となってくれるのがテンプレートです。「oscTemplates」を使えば、osCommerceに対応したデザインテンプレートをすぐに導入することが可能。PCとスマホの両方に対応する、レスポンシブデザインを採用したものが多い点も特徴の1つです。
Googleはモバイル端末を検索順位に大きく反映させるモバイルファーストの方針を打ち出しており、レスポンシブデザインへの対応は事業者にとってもメリットが大きいでしょう。
osCommerceの導入事例をご紹介
ここからは、osCommerceのサービスを利用しているECサイトの、導入事例を見ていきます。
osCommerceでは、公式ページにデモサイトを掲載しています。簡易的なページとなっていますが、まずはこちらからデザインのイメージを膨らませてみるのもおススメです。
【導入事例】電子部品・半導体 │システムギアダイレクト
まずご紹介するのは、電子部品や半導体を扱う「システムギアダイレクト」です。
BtoB向けのECらしく、シンプルなサイトデザインが特徴。おすすめの商品やメニューバーが分かりやすく表示されています。
カートシステムやログイン機能はosCommerceの標準機能をそのまま採用していますが、デザインや機能面でも水準以上のスペックが整っています。
デモサイトは海外向けのデザインを採用しているため、日本人にとっては物足りない印象でしたが、システムギアダイレクトのページを見ると馴染みある通販サイトのイメージに近いのではないでしょうか。
【導入事例】ペット用品 │sumainu(スマイヌ)
続いてご紹介する事例は、ペット用品を販売するECサイト「sumainu(スマイヌ)」です。
スマイヌでは犬用のペット用品全般を取り扱っています。サイトにはキャンペーン商品やおすすめ商品をメインに表示するデザインを採用しており、訪れたユーザーへ売りたい商品をしっかりアピールできています。
また、SNSとの連携機能も導入しており、リピーターやブランディングに繋がる導線も確保。「ご利用方法」のページを開いてみると、代金や利用できるクレジットカード、購入の手順等が分かりやすく掲載されており、ユーザーに対して誠実なイメ―ジを感じさせます。
osCommerceのサービスは、デザイン面が比較的シンプルですが、この特徴を上手く活かしたECサイトの好例と言えるでしょう。
まとめ
今回は、オープンソース型のECサイト構築サービス「osCommerce(オーエスコマース)」についてご紹介しました。
ドイツ発のサービスとして、欧州を中心に多くのユーザーが利用するosCommerceは、20,000を超える導入実績をほこるなど、高い評価を得ています。
ECサイト構築に適した標準機能はもちろん、カスタマイズに役立つアドオン機能も充実。アドオンの数は2019年5月現在で8,000を超える数がリリースされるなど、ユーザーにとって自由度の高いサイト構築を可能にしてくれます。
また、コミュニティの充実や、サポートサービスとの連携体制も整っているので、EC初心者から上級者まで、幅広いユーザーが利用できるでしょう。