Magento(マジェント)とは?越境ECに強いオープンソース型のサービスを紹介
2019.05.17オープンソース型のECサイト構築サービスとして、世界第2位のシェアをほこる「Magento(マジェント)」。越境ECの分野にとくに優れており、日本国内でも導入企業が増えています。
今回は、国内ニーズの高まりが期待できるMagentoのサービス内容について詳しく解説。サービスの特徴やポイントを見ていきましょう。
目次
Magento(マジェント)とは?
Magento(マジェント)とは、アメリカ・ロサンゼルスに拠点を構えるオープンソース型のECサイト構築サービスです。2007年にVarien社によってベータ版の提供がスタート。現在はMagento Inc.に社名が変更され、継続して開発が進められています。
オープンソース型のECサイト構築サービスとしては、世界第2位となる12%のシェアをほこっており、海外でのECサイトの立ち上げでは定番のサービスと呼べるでしょう。
2018年にはAdobeが16億ドルの高値で買収
2018年5月には、ソフトウェア開発を手掛ける世界的企業、Adobe(アドビ)により16億ドル(約1,750億円)での買収が発表され、多くのユーザーや投資家を驚かせました。Eコマース関連の分野で強化を図りたいAdobeにとって、確かな実績とノウハウを持つMagentoの買収には大きなメリットがあったのでしょう。
こうした動きや世界的な越境ECの拡大を受けて、日本国内でもMagentoへの注目度が高まっており、今後もさらなる躍進が期待されます。
Magentoのサービス3つの特徴とは?
それでは、Magentoのサービスの特徴についてより詳しく見ていきましょう。特徴は大きく3つ挙げられます。
1.越境ECに強いサービスを提供
Magentoの特徴としてまっ先に挙げられるのが、越境ECに強いという点でしょう。
Magentoでは、多言語や多通貨でのECサイト構築が可能。そのため、越境ECを目指す企業にとっては、わざわざ自社で翻訳や機能を追加する必要がないため、サイトの構築をスムーズに行うことができます。具体的には、外資系企業や海外展開を目指すEC企業からのニーズが高いようです。
また、越境ECサイトでは言語や機能への対応だけでなく、見た目にもその国の好みを反映したデザインが求められます。
例えば、アメリカや欧州ではシンプルな配色と明確なセンテンスだけで構成されたページが好まれる傾向にあります。こうした地域ごとのニーズに、豊富なデザインテンプレートを用意して対応できるのも、Magentoの強みと言えるでしょう。
2.マルチサイトの管理が簡単
2つ目の特徴は、複数のマルチサイトを1つのソフトで管理できるということ。
一般的なEC構築サービスでは、複数のサイトを運用する場合は、それぞれの管理画面を用意しなければなりません。しかし越境ECのように、同一の企業が言語やデザインだけを変えて運営する場合、管理画面は1つにまとめられる方が便利です。
Magentoでは、こうしたニーズに対応するため、マルチサイトを1つの画面で管理することが可能。例えば、日本向けサイトと中国向けサイトをまとめて管理することができます。
もちろん、基本的な機能の制約もないため、事業者にとっては大きなメリットになるでしょう。
3.サードパーティーが充実している
Magentoは2019年5月現在、日本語版の公式サイトが用意されていません。そのためユーザーはまず英語サイトからアクセスしてサービスを導入することになりますが、これでは語学面でのハードルが高くなってしまいます。
こうした事業者をサポートするために、日本ではMagentoを使ったECサイト構築を代行してくれるサービスが活発です。いわゆる「サードパーティー」が充実しているということ。
こうしたパートナー企業を利用することで、事業者はスムーズにMagentoでサイトを構築できるだけでなく、運用や事業の効率化を図ることができます。これもMagentoの特徴言えるでしょう。
Magento1とMagento2の違いは?
さて、実際にMagentoを使ってサイトを構築しようとすると、「Magento1」と「Magento2」の2つのサービスがあることに気付きます。両者の違いはどこにあるのでしょうか?
1と2はバージョンの違い。日本語対応はMagento2から
Magento1とMagento2は、サービスのバージョン(ver.)を意味しています。
Magento2の方が新しいバージョンで、機能性も大きく異なっています(現在はMagento2.3までリリース済み)。これでは、どちらのサービスをインストールすればよいのか迷ってしまいますが、国内での利用を前提にするならMagento2を選んでおきましょう。
Magento1のサービスは、日本語へ非対応。そのため、サイトを構築する際に大きな労力を要してしまいます。その点、ver.2であれば、日本語にも公式対応しているので、ver.1に比べ格段に導入の労力が少なくなりました。
サードパーティーを積極的に活用したい
より本格的にMagentoを活用するなら、先ほども触れたサードパーティーを積極的に活用してみましょう。
サポート企業だけでなくコミュニティーも充実している
サイトの構築や運営をサポートしてくれる企業はもちろんですが、Magentoでは操作やカスタマイズについて情報を共有するコミュニティーも多く見られます。これはオープンソース型のサービスならではの魅力で、ユーザー同士が互いに情報をシェアすることでより最適なサイト構築を手助けしあうことができます。
もちろん、専門の事業者に一括で委託するのも、事業の効率化の面からはおすすめです。自社のMagentoに対するノウハウの有無や、運営方針にあわせて柔軟な選択を行っていきましょう。
Magentoの導入事例をご紹介
ここからは、実際にMagentoのサービスを利用して作成されたサイトの、導入事例を見ていくことにしましょう。
【導入事例】ダーツ │AA Darts Asia
「AA Darts Asia」は、ダーツグッズを販売するECサイトです。ダーツは欧米で盛んなスポーツですが、近年は日本を中心としたアジア地域での勢いが爆発的に加速しています。
「AA Darts Asia」もアジア地域をターゲットにしており、英語・簡体字中国語・繁体字中国語の3つの言語表示に対応。利用できる通貨は日本の円を含む9か国と、Magentoの越境ECへ強いサービスの特徴が生かされています。
日々変化する通貨レートも毎日更新が行われるようになっており、為替リスク(通貨レートの違いで損をすること)への対策もばっちりです。
【導入事例】ルアー │Japan Lure Shop
フィッシング用のルアーを販売する「Japan Lure Shop」もMagentoを利用した越境ECサイトとなっています。
サイトデザインは欧米向けに、あえてシンプルで分かりやすいデザインを採用。通貨は5か国に対応しており、円、USドル、AUドル、ユーロ、フランが用意されています。
また、ページのファーストビューには、決済方法としてクレジットカードや電子決済のマークが表示されており、ユーザーの購買意欲を削がない工夫がなされています。
【導入事例】雑貨輸出 │ninjaya.com
雑貨輸出を手掛ける「ninjaya.com」は、Magentoを利用してサイトを構築することで、運営負担を大きく軽減することに成功しました。
Magentoの特徴でもあるサードパーティーを積極的に活用することで、各種機能のオートメーション化を実現。テンプレート等を利用し、SEOの外注費を削減するなど、コスト面でのメリットも得ています。
サイトでは、ジャパニーズカルチャーを強く意識した商品を扱っており、海外の日本ファンをターゲットにしたオリジナリティあるサイトに仕上がっています。
まとめ
今回は、オープンソース型のEC構築向けサービスから、「Magento」をご紹介しました。
Magentoは越境EC向けのサイト構築に強く、多言語や多通貨へスムーズに対応することができます。また、各国の好みに合わせたサイトデザインのノウハウも備えており、地域ごとのニーズをしっかり反映したデザインを実現できます。
複数のマルチサイトを一括で管理できるシステムや、サードパーティー(EC構築を代行してくれるサポート企業)の充実もMagentoの強み。
2018年5月には、Adobe(アドビ)により16億ドル(約1,750億円)の高値で買収されており、世界はもちろん日本国内でもサービスの価値がさらに高まりそうです。