話題のBNPL(後払い決済)はどこがすごいのか?ビジネスモデルの仕組みを解説
2022.03.16近年EC業界で話題となっている決済手段の1つが、BNPL(後払い決済)です。
後払い決済は商品を購入後に代金を支払う決済手段で、商品に同封されてくる支払い用紙やサービス側のアプリから、コンビニや銀行口座で支払いをおこないます。
クレジットカードを持っていないユーザーでも利用することができ、若年層を中心に新たな決済手段としてニーズが高まっています。
一方で気になるのが、その仕組みやビジネスモデルです。クレジットカードや代引き決済とはどこが違うのでしょうか?今回は、注目のBNPLの仕組みについて解説します。
目次
BNPL(後払い決済)とは?
BNPLとはBuy Now Pay Laterの頭文字を取った造語で、日本語では後払い決済と呼ばれています。
Buy Now Pay Laterの言葉どおり、「いま買ってあとから支払う」仕組みが特徴で、ECを中心に近年ユーザー数が急増しています。
BNPLに関連するニュースとして最近大きな話題となったのが、アメリカの大手決済サービスPayPalによるPaidyの買収です。Paidyは日本のBNPLサービスとして知られていますが、日本での決済サービスのシェアを握りたいPayPalにとっては魅力的な企業でした。
買収額は約3,000億円と日本のベンチャー企業の買収額としては過去最高額。こうした動きからも、BNPL市場が業界から大きな注目を集めていることがうかがえます。
BNPLのビジネスモデルの仕組みとは?
では、BNPLのビジネスモデルの仕組みについて見ていきましょう。
①まずユーザーがECサイトなどで商品を購入した際に、BNPLの決済手段を選びます。
②BNPLのサービスで簡単な与信審査が行われ、問題がなければ③商品の代金をサービス側が立て替える形で、ECサイトに支払います。
この際に、④ECサイトにはサービスの利用料として手数料が発生します。
⑤ECサイトは入金が確認されたタイミングで商品を発送。商品にBNPLの支払い用紙を同封し、ユーザーに届けます。
⑥商品を受け取ったユーザーは、指定のコンビニや銀行口座で支払い用紙を使って代金を払います。このときすでにECサイト側は代金を受け取っているため、この料金はBNPLのサービス側が受け取ることになります。支払い用紙を使用せず、自社アプリのバーコード決済で支払いを行うサービスもあり、ストレスのないシームレスな商品購入が実現できます。
クレジットカードに比べ手軽に利用でき分割手数料がかからない
気になるのが、BNPL側の与信審査です。
この審査はクレジットカードのように厳格な仕組みは採用しておらず、メールアドレスや電話番号を利用したスピーディーな審査を行っています。そのため、クレジットカードを持ちたくても持てないといったユーザー層に人気が高く、海外では若年層を中心にクレジットカードの代替手段として定着しつつあります。
また、クレジットカード決済や代引き決済では分割払いでの手数料が発生しますが、BNPLでは基本的に手数料が発生しません(分割回数の制限や、延滞・債務超過の場合は利用できないことも)。この点も余計な出費を抑えたいといったユーザーから支持を集めるポイントです。
サービス側は限度額を低く設定することでリスクを抑える
一方でサービス側は支払いの遅延や債務超過に対してどのような対策を講じているのでしょうか?
BNPLのサービス側では、貸し倒れのリスクを抑えるために限度額を低く設定しています。継続したサービスの利用によりユーザーの信用度が担保された場合や、より詳しい個人情報の登録をおこなうことで、限度額を引き上げることができます。限度額が低いため、万が一の際もリスクを最小限に抑えられる訳です。
また、限度額が定められているためユーザーが支払い能力を超えた利用を自重する点や、手数料が発生せず支払い金額の透明性が高い点も貸し倒れリスクの予防材料となっています。
国内のBNPLサービスの代表格であるPaidyの代表取締役社長兼CEOの杉江 陸氏はインタビューにて、
「延滞金はおそらく売り上げの1%もなく、そこに依存するビジネスモデルではない」と発言しています。
https://www.businessinsider.jp/post-239462
また、今後はサービスを利用するユーザーが増えることでより高い与信審査が可能となることから、
「貸し倒れ率はコントロールできるようになる」
https://www.businessinsider.jp/post-239462
と述べています。
EC事業者にとってもBNPLの利用はメリットが大きい
さて、BNPLはEC事業者側からしてもメリットが大きいサービスです。
年々クレジットカードを利用したくないというユーザーは増加傾向にあります。これは
- 使いすぎによる債務超過
- 高い分割手数料を支払いたくない
- カード会社に個人情報を提供したくない
といった理由が挙げられますが、一方で
- ECで今すぐに商品を購入したい
- 高額商品を分割で買いたい
といった声は少なくありません。
こうしたユーザーにピンポイントで刺さるのが、後払い決済です。EC事業者からすればBNPLを決済サービスとして導入することで、CV率や顧客単価の向上につなげることができます。サービス会社側への手数料は発生しますが、トータルでみればサイトへの集客や売上につながり、高いマーケティング効果が期待できます。
まとめ
今回は、国内でも注目度が急上昇しているBNPL(後払い決済)の仕組みやビジネスモデルについてご紹介しました。
BNPLはサービス会社がユーザーに替わって商品代金を立て替える仕組みを採用しており、ユーザーは商品といっしょに送付される支払い用紙やアプリから後払いで決済をおこなうことができます。クレジットカードに比べ審査が簡単なうえ、分割手数料がかからない点もBNPLのメリットです。
一方でサービス側は貸し倒れリスクを下げるために限度額を低く設定。また、AI技術などを活用して顧客の信頼度を計測するなどして、サービスのリスクを最小限に抑えています。
EC事業者にとってはユーザーにとって魅力的な決済手段を用意できることで集客や売上の向上が期待できます。また、高額商品を分割で購入できるため顧客単価の向上につながるでしょう。