ギフトECとは?なぜ潜在顧客の獲得に“効く”のか

EcWork編集部

ギフトECとは?なぜ潜在顧客の獲得に“効く”のか

EcWork編集部

ECサイトで近年注目を集めているのがギフトECです。お中元やお歳暮、誕生日などギフト向けに特化したECサイトや、ギフトサービスに対応したECサイトを意味します。

このギフトECは潜在顧客の獲得に効果があるとされていますが、その理由はなぜなのでしょうか。

今回はギフトECの概要や市場規模、なぜ潜在顧客の獲得に効くのかについて解説します。

ギフトECとは?

ギフトECとは、贈り物やプレゼントといったギフト向け商品を販売するECサイトや、ギフトサービスに対応したECサイトのことです。

お中元やお歳暮などの季節の贈り物をはじめ、結婚・出産・入学・就職などのお祝い事、誕生日や母の日・父の日などギフトを贈る場面は多岐にわたります。以前は実店舗で商品を選び、発送や包装を依頼するのが一般的でしたが、近年はオンラインで簡単に注文ができるECでのギフト購入が増加。一括注文やお届け先データの保存なども用意されているため、初回購入だけでなく継続的な利用にもメリットがあります。

ギフト市場の市場規模は?

出典:矢野経済研究所プレスリリースより

2023年1月に矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2021年の国内ギフト市場規模は小売金額ベースで、前年比102.3%の10兆1,165億円。2022年は前年比で104.1%の10兆5,340億円を見込んでいます。

コロナ禍に10兆円を割り込んだギフト市場ですが、コロナの規制解除に合わせて市場が回復。とくにお中元やお歳暮といった儀礼的なフォーマルギフトではなく、友人や家族、パートナー同士で気軽に贈り合うカジュアルギフトの市場が堅調で、今後のギフト市場の軸を担うとして注目されています。

ギフトECで高まるソーシャルギフトの需要

こうしたギフトECで注目度が高まっているのが、ソーシャルギフトです。

ソーシャルギフトとは届け先の住所を知らなくても、LINEなどのSNSやメールで贈ることができるギフトのこと。「受取専用URL」から相手が情報を入力すればその住所にギフトが贈られる仕組みです。

時代の変化と共に、「SNSは知っているけど、電話番号や住所を知らない」といった関係性は増えています。個人情報への意識の変化も一因ですが、一方でギフトを贈る際にわざわざ住所を聞くのをためらう傾向も強くなってきました。ソーシャルギフトなら受取側が専用のURLから住所を入力するため、わざわざ住所を聞く必要もなく、受取側のプライバシーも確保できます。

出典:LINEプレスリリースより

2022年7月に大手SNSサービス・LINEが発表したデータによると、LINEのソーシャルギフトサービス「LINEギフト」の累計ユーザー数は2,500万人を突破(2022年6月現在)。特筆すべきは昨年同期比でユーザー数が1,000万人増加している点で、急激なソーシャルギフト需要が見て取れます。

なぜギフトECは潜在顧客の獲得に“効く”のか?

ここまでギフトECの概要や市場規模についてご紹介してきました。ここからは、ギフトECが潜在顧客の獲得に効果がある理由について解説します。

1.普段自社商品に興味がないユーザーに届く

1つ目は、普段自社商品に興味がないユーザーに届きやすい点です。

ECサイトの弱点として、検索ベースでの商品購入が一般的である点が挙げられます。実店舗のように「ふらりと立ち寄った」といった偶発的な要素が少なく、ある程度ユーザーに商品に対してのモチベーションがある状態でないと購入につながらないと言えます。

しかしギフトECではユーザー本人は商品に興味がなくても、贈り物を送る相手を想定して商品を選ぶため、普段よりも検索の幅が広くなります。たとえば、男性が女性向けのECサイトを訪れる頻度は限られていますが、ギフトとして商品を選ぶとなれば状況は変わってきます。

たとえば、女性をメインターゲットに据えているサイトであっても、ギフト向けの商品ページを制作し男性をターゲットにすれば潜在顧客を発掘できます。このように、普段設定が少ないユーザー層とのタッチポイントとなり得るのが、ギフトECのメリットです。

2.商品選びの手間を省いてくれる

2つ目は、商品選びの手間を省いてくれる点です。

ギフトECの強みとして、ギフト向けの商品をあらかじめピックアップしてくれる点が挙げられます。ユーザーにとって商品を選ぶのは大きな手間です。とくに相手がどんな贈り物を欲しいのかはっきりしないギフトでは、商品選びに時間がかかります。

こうした手間を省いてくれるのがギフトECです。ユーザーが面倒だと感じる部分に先回りするのがビジネスの基本と考えれば、ギフトECはこの基本をしっかり押さえています。これは潜在顧客の獲得するうえでは大きなメリットです。

また、ギフト商品を販売する場合、ある程度の商品ラインナップを用意する必要があります。ユーザーの選択肢が増える点も、潜在顧客を発掘するうえでは効果が高いといえるでしょう。

3.ソーシャルギフト市場が伸びている

3つ目はソーシャルギフト市場の伸びです。

出典:帝国データバンクプレスリリースより

2022年3月に帝国データバンクが発表した調査によると、ソーシャルギフト大手5社の2020年度の単体売上高合計は59億1,700万円。これは2013年の7億7,800万円から比べると7.6倍の伸びとなっています。ソーシャルギフトの市場の成長がうかがえる数字ですが、同調査では法人向けのソーシャルギフト市場が拡大している点にも触れており、今後もさらなる市場規模の拡大が見込まれます。

市場規模の拡大は、潜在顧客にアプローチする機会が増加するということ。とくにECはソーシャルギフトとの相性が良い業態となるため、市場拡大の恩恵を受けやすいといえるでしょう。

まとめ

今回はEC業界で注目を集めている、ギフトECについて解説しました。

ギフトECとは贈り物やプレゼントといったギフト向け商品を販売するECサイトや、ギフトサービスに対応したECサイトのことです。お中元やお歳暮などの季節の贈り物をはじめ、結婚・出産・入学・就職などのお祝い事、誕生日や母の日・父の日などギフトを贈る機会は多岐にわたります。こうした場面で気軽に商品を選べ、その場で手配が完了するギフトECは利便性の高いサービスといえます。

またこうしたギフト商品は普段自社を利用しないユーザーの獲得に効果があり、潜在顧客の獲得に効果を発揮します。近年はSNSでギフトのやり取りができるソーシャルギフト市場も拡大しており、今後EC事業者が商機を見出す領域が多く残されているといえるでしょう。