BNPL(後払い決済)の市場規模と注目サービスをご紹介

EcWork編集部

BNPL(後払い決済)の市場規模と注目サービスをご紹介

EcWork編集部

サービス会社を経由することで、オンラインでの決済を後払いで済ませることができるBNPL(Buy Now, Pay Later)。海外では若年層を中心にブームとなっていますが、ここに来て国内市場も賑わいをみせています。

今回は、国内BNPLの市場規模と注目のサービスについてご紹介します。

国内のBNPL市場規模は6,870億円

矢野経済研究所が2021年4月に発表した、「EC決済サービス市場に関する調査を実施(2021年)」によると、国内でのBNPL(後払い決済)の市場規模は2019年度で6,870億円と推計されています。

これは、2016年度と比較して約2.4倍の成長率で、EC市場での後払い決済へのニーズが、年々高まっていることがうかがえます。

2024年度には1兆8,000億円に達すると予測

同調査では、今後の市場規模の予測について発表しています。これによると、2020年度が8,820億円で前年比1.2倍の成長と予想。また、2024年には1兆8,000億円と市場規模が大幅に拡大すると予測しています。

これまで後払い決済市場では、自社サービスをゼロベースから開発しアプリなどに導入する動きが増えていましたが、開発コストの高騰やセキリティリスクの高まりを受けて、既存のサービスへと乗り換える動きが加速しています。

BNPLの市場規模の拡大も、こうした流れを受けてのものです。

なぜいま後払い決済なのか?躍進の背景にある3つの理由

BNPLは海外では早くから注目を集めていましたが、ここに来て国内での人気が加速しています。背景にはどのような理由があるのでしょうか?

背景1.コロナ禍によりBNPLへのニーズが高まった

1つ目は、コロナ禍によるニーズの高まりです。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は、日本経済にも大きな影響を与えました。とくに対面型の決済を必要とするサービスは大きな痛手を受けており、ユーザーもなるべくリスクを避けるため、オンラインでの購入が大幅に増加しました。

こうした中、商品受け渡しの際の接触時間を減らすため、代引き決済から後払い決済への乗り換えが増加。後払い決済であれば、玄関で代金を支払う時間を削減でき、宅配ボックスなどを利用した非対面型のサービス利用を選択できます。

背景2.クレジット決済を利用しないユーザーが増えてきた

2つ目は、クレジット決済を利用しないユーザーが増えてきたということ。

近年若年層を中心に、クレジットカードを持たないユーザー層が増える傾向にあります。これは、個人情報の流出や不正利用といったセキュリティリスクを避けたい心理が働いたため。リボ払いや分割払いによる使い過ぎを避けるのも、理由の1つです。実際、2009年に比べ国内のクレジットカード保有率は4ポイントのマイナスとなっています。

BNPLは、電話番号やメールアドレスといった限られた個人情報だけで登録することが可能。与信判断もスムーズなため、クレジットカードを自ら持たないユーザーだけでなく、持ちたくても持てないユーザー層の受け皿としての役割も果たしています。

とくにコロナ禍で生活に困窮した場面では、スピーディーな決済を可能とするBNPLが大きな役割を果たしました。これも、国内でBNPLが躍進する背景の1つです。

背景3.世界的にBNPLブームが訪れている

3つ目は、世界的なBNPLブームが訪れているということ。

グローバル経済でのBNPLの市場規模は、2020年に10.6兆円を突破しました。2025年には72兆円を超えると予想され、世界的なBNPLブームが訪れているといえます。国内でのニーズの増加も、こうしたグローバルシーンでの流行が背景にあり、今後決済手段のスタンダートとなり得る存在への関心の高さがうかがえます。

こうした中で2021年の9月、アメリカの大手決済サービスPayPalが日本の後払い決済サービスPaidyを買収するというニュースが飛び込んできました。買収金額は3,000億円と日本のスタートアップへの提示額としては破格で、BNPL市場の活況を知らしめるトピックとなりました。

人気のBNPL・後払い決済サービス

ここからは、国内の後払い決済サービスの中でもとくに人気を集めるサービスをご紹介します。

1.Paidy

Paidy(ペイディ―)とは、株式会社Paidyが提供するEC向けの後払い決済サービスです。

メールアドレスと携帯電話番号の登録だけその場で購入手続きが可能。スマホへの最適化や、優れたUIが特徴で、かご落ち防止を実現することが可能です。

2.NP後払い

NP後払いは、株式会社ネットプロテクションズが提供する後払い決済サービスです。

国内のBNPLサービスとしては最大手に位置しており、豊富な導入実勢をほこっています。蓄積されたノウハウを活かした手厚いサポート体制が特徴で、サービス導入前後でのフォロー体制を整えています。

まとめ

今回は、BNPLの市場規模と注目のサービスについてご紹介しました。

国内のBNPLの市場規模は、2019年度で6,870億円。2024年には1兆8,000億円に達すると予想されるなど、高い成長率を見せています。

先頃アメリカの大手決済サービスPayPalによるPaidy買収が話題となりましたが、国内の後払い決済サービスは質が高く、大きな可能性を秘めています。日本人の律儀な国民性は国内で後払い決済が広がる素養があると見ることができ、今後も市場の動向を注視しておく価値は十分にありそうです。