コロナ禍のEC運営をバブルで終わらせないための4つのポイント
2021.08.16長く続く新型コロナウイルスの流行は、多くの市場に深刻な影響をもたらしています。そんな中、大きく売上を伸ばしているのがEC市場です。
巣ごもり消費による需要拡大や、非接触での商品購入へのニーズが高まり、ECバブルの様相を呈しています。
一方で、バブル以降も継続して売上を伸ばすための対策が、事業者には求められています。今回は、コロナ禍のECバブル以降も継続して売上を伸ばすためのポイントについて解説します。
目次
コロナ禍でEC市場が大きく売上を伸ばす
総合マーケティングビジネスの富士経済が発表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2021」によると、2020年の国内ECの市場規模の予想は13兆7243億円。これは前年比17.7%の大幅増で、コロナ禍がEC市場を大きく押し上げた結果が見て取れます。
背景にあるのは緊急事態宣言の発令や自粛ムードによる巣ごもり消費の増加。自宅で過ごす時間が大幅に増えたコロナ禍で、ECを利用して商品を購入する消費者が一気に増え、市場はかつてない活況となりました。
とくに感染拡大が深刻な都市部では、ECが生活を維持するためのライフラインとしての役目を担っています。実際ネットスーパーや食料品ECの売上増加は、消費者が外出を控え、人との接触をできる限り減らしたいというニーズが反映されたものです。
2021年以降も市場は拡大傾向にある
年 | 市場規模(予想) | 前年比 |
2020年 | 13兆7243億円 | +17.7% |
2021年 | 15兆1127億円 | +10.1% |
2022年 | 16兆4988億円 | +9.1% |
同調査では2021年以降の市場規模の見通しも発表しており、2021年は15兆1127億円(前年比10.1%増)、2022年は16兆4988億円(2021年比で9.1%増)と予測しています。
2021年8月現在でも日本国内の感染拡大は続いており、まだまだ先の見通せない状況はしばらく続くと予想されます。同調査で市場規模が増加しているのもこうした社会状況を反映しているため。また、コロナ禍で実店舗からECへ本格的にシフトした企業の売上が上乗せされる点も市場拡大が繋がる理由の1つでしょう。
コロナ禍のECバブル以降も売上を伸ばすための4つのポイント
さて、ECの市場規模は今後も拡大傾向が予想されていますが、一方でこの状況は一過性の「バブル」とする見方も少なくありません。事実、消費者も感染拡大初期に比べ消費行動を見直す動きを見せており、今後は数あるECサイトの選別と淘汰が進むと懸念されています。
事業者としては現在の好調をしっかり維持して事業を成長させたいところ…。では、コロナ禍のECバブル以降も売上を伸ばすためのポイントはどこにあるのでしょうか?
1.集客施策を見直す
1つ目は、集客施策を見直すということ。
ECにおいて集客はもっともハードルの高い項目の1つです。現状である程度の集客が見込めていても、今後も継続してサイトを訪れてくれるとは限りません。コロナ禍によるECバブルが落ち着けば、ECを利用するユーザーの母数が減り、集客で苦戦する流れは十分予想できます。
そこで今のうちから集約施策を見直し、最適化を図っておくことが大切です。具体的には、ユーザーとのタッチポイントを増やしておくということ。とくにWeb広告への依存度が高い場合は、指名検索を増やすためのSEOをはじめ、SNSを通じた発信、アプリの開発などに取り組んでおくと良いでしょう。
いずれも成果が出るまではある程度時間を要する施策ですが、ECバブルで余力がある今だからこそ先手で投資をしておき、バブル後の安定的な集客に繋げていきましょう。
2.決済方法を充実させる
2つ目は、決済方法を充実させるということ。
キャッシュレス決済をはじめ、コンビニ決済や後払い決済など、支払い方法は実に多様化しています。こうした決済方法を自社サイトできちんと用意しておくことは、ユーザーにとって購入を決める重要なポイントです。
とくにアフターコロナを見据えた場合、サイトを比較する上でユーザビリティの高さは大きな鍵となります。とくに決済の部分は売上に直結するため、より多様な選択肢を提供できる体制を構築しておきましょう。
3.ユーザビリティを高める
3つ目はユーザビリティを高めるということ。
決済方法以外の部分のユーザビリティも、今後はサイトを比較する上で欠かせない項目となります。やはり継続してサイトを利用するとなると、ストレスのないスムーズな買い物ができるサイトが選ばれます。「価格が安ければ購入してくれる」という事業者もいますが、価格競争はAmazonや楽天といった大手モールの独壇場で、今後はさらに厳しい戦いを強いられると予想されます。
では価格以外のどこで勝負するのかといえば、やはりサイトのデザインや機能性といったユーザビリティが大事になってくるでしょう。ユーザー目線で「痒い所に手が届く」サイトを目指すことで、ブランドへのロイヤリティや信頼感を高めることができます。
4.DXを加速させる
4つ目は、DXを加速させるということ。
EC市場に限らず、コロナ禍はDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる大きな契機となりました。人気のECではこの機会にサイトのDX化を進めるため、さまざま施策を講じています。今後ECで勝ち残るためには、データやデジタル技術を用いた運営は必須条件になると予想されます。
例えば、AIによる顧客分析や接客機能、データ活用によるレコメンドや施策の最適化、物流工程におけるデジタル技術の活用など、ECのあらゆる分野にDXの波は押し寄せています。
自社にこうしたノウハウがない場合でも、各種ECサービスを利用することでサイトのアップデートを図りながら、デジタル化の潮流に取り残されないようにしましょう。
まとめ
今回は、コロナ禍におけるECバブル以降を見据えた、戦略のポイントをご紹介しました。
コロナ禍においてEC市場は大きく売上を伸ばした数少ない業種です。しかしながらこうしたバブル的な好況は徐々に落ち着きをみせており、事業者はバブル以降を見据えた戦略に取り組む必要があります。
コロナ禍以前から、ECはトレンドの移り変わりが激しい業界です。コロナ禍で企業が積極的にDXに取り組んだことで、今後はこの移り変わりがさらに加速すると予想されます。事業者は先手で施策に取り組むと共に、一歩先を見据えた対策を講じておくことが重要でしょう。