ECでUGCを活用した事例を紹介!活用のメリットや注意点は?

EcWork編集部

ECでUGCを活用した事例を紹介!活用のメリットや注意点は?

EcWork編集部

一般のユーザーがSNSやブログで投稿したコンテンツを意味するUGC(User Generated Content)。大手ECのマーケティングでも積極的な活用が進んでいますが、なぜ企業はこぞってUGCを活用しているのでしょうか。

今回はUGCのメリットと活用事例をご紹介します。また活用時の注意点についても解説していますので、これからマーケティングに取り組む事業者の方はぜひ参考にしてください。

UGCとは?ECで活用する2つのメリット

UGC とは

UGCとはUser Generated Contentの頭文字を取ったもので、一般のユーザーが投稿したコンテンツのことを意味します。日本語では「ユーザー生成コンテンツ」といった呼ばれ方をされ、ECを中心に企業のマーケティング戦略として積極的な活用が進んでいます。

具体的にUGCの例を挙げると、

  • ユーザーがSNSに投稿した商品レビュー
  • Amazonや自社ECに書き込んだ口コミ
  • ブログや動画サイトで投稿された商品紹介

など、一般のユーザーが直接発信したコンテンツ全般を意味します。ポイントとなるのは「消費者側が発信している]という点です。EC企業ではこうしたユーザーの投稿を自社で収集し、公式SNSや公式サイトで紹介して商品やブランドのPRに活用しています。

では、UGCをECで活用するメリットはどこにあるのでしょうか。

1.ユーザーのリアルな声を発信できる

1つ目はユーザーのリアルな声を発信できること。ユーザーが発信するリアルな声には、信頼感や安心感があります。

UGCのポイントとして「消費者側が発信している」点が挙げられるとご紹介しましたが、年々ECでのショッピングが一般化するにつれて、ユーザーが広告に対して抵抗感を持つ傾向が強くなってきました。とくにステルスマーケティングに代表されるユーザーを欺くような手法には嫌悪感が強く、企業もいかに「広告感」を出さずに商品やブランドのPRをするかに苦心してきました。

そこで注目が集まったのがUGCです。ユーザーが自ら発信したUGCは「広告感」が少なく、ユーザーも抵抗感がありません。また、実際に商品を購入したユーザーのレビューは購入を決断するうえでの上質な情報源となります。安心感や信頼感のある情報を積極的に発信するオープンな姿勢そのものへの好感度も高く、企業がUGCを活用する理由となっています。

2.接触機会が多く拡散性が高い

2つ目は接触機会が多く拡散性が高い点です。

令和3年度 電子商取引に関する市場調査より

経済産業省が毎年発表している「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2020年のSNSの利用状況は全体で73.8%。20~29歳は90.4%に達するなど、SNSが多くの国民に浸透していることが分かります。これだけ数多くの人々にSNSが浸透していれば、商品やブランドをおすすめするUGCに接触する機会も多くなります。

また、SNSの特徴として拡散性が高い点が挙げられます。ユーザーが投稿をシェアし拡散すれば、それだけ多くのユーザーの目に留まります。一般のユーザーが発信するUGCは基本的に広告費が発生しないため、拡散されればそれだけ費用対効果も高くなります。

同調査ではECでの購入動機としてSNSでのレビューや口コミが高い傾向にある点にも触れており、まさにUGCがECでの購入動機として大きなウェイトを占めている証といえるでしょう。

UGCを活用したECの事例

では、実際にUGCを活用したECの事例をいくつか見ていきましょう。

1.BASE FOOD

完全栄養食を販売するD2CブランドBASE FOOD。同社ではSNSを起点としたUGC戦略に取り組んでいます。

2023年3月から開催しているイベントでは、「ベースフードフォトコンテスト」と題して、ベースフードに関連する投稿をSNSで募集。ハッシュタグを付けて投稿したユーザーの中から抽選で商品をプレゼントする企画を展開しています。

BASE FOODでは同様のイベントを定期的に展開。またインスタグラムのストーリーズでUGCを積極的に取り上げるなど、積極的にコミュニケーションを図っています。

2.DELL

PCメーカーの『DELL』では、「デル本気創作」と呼ばれるSNSイベントを定期的に展開しています。

イベントでは、ユーザーが本気で創作したものを「#デル本気創作」というハッシュタグを付けてSNS上で投稿。投稿者の中から最優秀賞の方に賞金を提供する面白い企画となっています。ユーザーはイラストやアート、手芸や料理など思い思いの作品を投稿。

DELLはクリエイターや挑戦する人を応援する姿勢をブランドとして大事にしていますが、同イベントはこうしたイメージを訴求しつつ、UGCの拡散を狙ったユニークな試みとなっています。

ちなみに同イベントは2023年1月の開催で10回目。継続してイベントを開催することで、着実にファンを増やしている好例といえるでしょう。

3.PHOEBE BEAUTY UP

PHOEBE BEAUTY UP
PHOEBE BEAUTY UPより

D2Cのコスメブランドして女性から絶大な支持を集める『PHOEBE BEAUTY UP』。同ブランドはDINNETと呼ばれるコスメ系メディアから誕生したブランドですが、UGCの投稿を積極的にマーケティングにも活用しています。

SNSでの投稿をピックアップして、LPや公式HPで紹介。ユーザーとの良好な関係を築きつつ、UGCを使ったPRに成功しています。

PHOEBE BEAUTY UPはD2C事業の要といえる世界観づくりがうまく、とくに自社メディアを持っている点が大きな優位性となっています。商品づくりにもメディアでの投稿や感想を積極的に反映しており、「ブランドをいっしょに支えている」というファン意識の醸成につなげました。

UGCを活用する際の手順と注意点

最後に、これからUGCを活用したマーケティングに取り組む際の手順と注意点をご紹介します。

投稿者へ対して掲載許可を得る手順を大切に

  1. ハッシュタグや検索欄からUGCを収集
  2. 投稿者に対して掲載の許可を得る
  3. サイトやSNSに掲載する
  4. 反応をもとに改善点や戦略を練り直す

上記はEC企業がUGCを活用する際の手順を4つにまとめたものです。重要なのは2つ目の「投稿者に対しての掲載許可」です。SNSでの投稿の著作権は、投稿したユーザー本人とプラットフォーム側にあります。商用利用する場合は、著作権や肖像権の侵害にあたる恐れがあるため、必ず投稿者へ掲載の許可を取りましょう。

この手順は企業側にとってリスク回避となるだけでなく、ユーザーと1on1でコミュニケーションを図れる重要な機会となります。こうしたコミュニケーションで好感を抱いてもらえば、今後もコアなファンとしてブランドを支えてもらえます。

また4つ目の反応をもとに改善点や戦略を練り直す手順も、UGC活用では重要なポイントです。ABテストを用いるなどして最適な掲載方法を探るなど、絶えず改善サイクルを回す意識を大切にしましょう。

著作権やステマ規制への対策をしっかり考慮する

UGCを活用する場合は著作権や肖像権の侵害にあたらないよう注意が必要ですが、今後EC企業が気を配りたいのが「ステマ規制」です。

ステマ規制は2023年10月1日からスタートする新たな規制で、口コミやSNSを装って商品を宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」に対して罰則を設ける仕組みです。

同規制ではSNSで企業が謝礼を払いステマを依頼することを禁じていますが、UGCに関しても「自社に有利な投稿のみを恣意的に抽出して掲載する」場合や、「投稿内容を改変した場合」はステマ規制に触れる恐れがあると述べられています(消費者庁のガイドラインより)。

またSNSの投稿でPRの文字を大量のハッシュタグに埋もれさせて投稿する手法もステマ規制に触れるため、注意が必要です。

今後UGCを活用する場合は、掲載箇所に「広告」や「PR」とわかるような文言や、注意書きを付け加えるなどして掲載していく必要があります。

同規制に関しては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

今回はUGCの概要とECでの活用事例をご紹介しました。

ユーザーが作成したコンテンツを意味するUGCは、広告としての抵抗感が低く、ユーザーにとって信頼感や安心感を抱きやすい特徴を持っています。また商品を実際に購入した「生の声」は商品選びの貴重な検討材料となるため、コンバーションにつながりやすいのもメリットです。

記事中でもご紹介したように、年々ユーザーがSNSを使う割合は高くなってきました。SNSでの情報がECでの購入動機につながるケースも多く、企業としてもUGCを積極的に活用する戦略を取り入れています。UGCの掲載時にはユーザーと1on1でのコミュニケーションを図れる機会も生まれるため、ブランドイメージを向上させる好機として取り組んでみましょう。