AIライティングへの対策は?SEOに取り組む事業者がやるべき5つのこと

EcWork編集部

AIライティングへの対策は?SEOに取り組む事業者がやるべき5つのこと

EcWork編集部

テキスト生成AI「ChatGPT」が2022年末に登場して以降、コンテンツマーケティングやSEOに取り組む事業者は大きな衝撃を受けています。高い精度の文章を生成するChatGPTのような「AIライティング」が増えれば、従来までのSEOの在り方が大きく変化する可能性があるためです。

では今後訪れるAIライティングの時代に向けて、既存の事業者はどのような対策に取り組むべきなのでしょうか。

今回はSEOやWebライティングに取り組む事業者向けに、AIライティングへの対策をご紹介します。具体的な5つの方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ChatGPTの登場でSEOに本格的なAIライティングの波が

ChatGPTは2022年11月にアメリカのAIテクノロジー企業・OpenAIが発表したテキスト生成AIです。従来のAIチャットとは比べものにならないほど高い精度のテキストを生成でき、世界中に衝撃を与えました。

とくに現在コンテンツマーケティングやSEOに取り組んでいる事業者へのインパクトは大きく、「いよいよSEOに本格的なAIライティングの波が押し寄せてきた」と戦々恐々としています。

業界ではすでにAIライティング導入の動きが

実際、業界の反応は早く、アメリカの大手ニュースメディア・BuzzFeedではChatGPTをコンテンツ制作に活用していくと発表。発表後はBuzFfeedの株が174.59%上昇するなど、大きな話題となりました。

日本国内でも「ChatGPTを用いてコンテンツ制作を請け負う」として、Webマーケやコンサルの企業が相次いでプレスリリースを発表するなど、AIライティングの波がいよいよ到来すると見られています。

BankrateがAIライティングをしている事例

また、海外ではすでにAIを用いて記事を執筆しているメディアが登場しています。アメリカの金融情報を紹介するbankrate.comでは、記事の一部をAIにライティングさせ、人間が編集やファクトチェックをおこなっています。記事にはAIが執筆したと紹介し、ユーザーに対してもフェアな姿勢で記事を公開しています。

メディアにとってAIライティングの導入はどんなメリットがあるのか?

メディアがAIライティングを導入するメリットは大きく2つです。

  • コンテンツ制作のコスト削減
  • 短時間で大量のコンテンツを制作できる

1つはコンテンツ制作のコストが削減できること。これまで人が担ってきたコンテンツ制作をAIライティングで自動化できれば、人件費や外注費といったコストを大幅に削れます。

もう1つは短時間で大量のコンテンツを制作できること。情報収集や記事作成で人間より圧倒的に早いAIライティングを使えば、これまでより格段に早くコンテンツを作成できます。

とくに後者の「短時間で大量のコンテンツ」という点はSEOへの影響が懸念されています。AIライティングで大量の記事を作成しWeb上に公開すれば、検索結果のランキングに大きな変動が起こると考えられます。

Googleも対策を講じるはずですが、一方でGoogleは「公開された記事がユーザーにとって有益で質が高い」と判断されれば、AIライティングであってもランキング上位に表示されると明言しています。

つまり執筆者が人であろうとAIであろうと、ユーザーファーストな記事を評価するという訳です。

現状ではAIライティングに課題hはありますが、今後精度がさらに向上すればSEOの在り方が大きく変化する可能性があります。

AIライティングへの5つの対策

では現在SEOやWebライティングに取り組む事業者は、AIライティングの時代へ向けてどのような対策を取ればいいのでしょうか。具体的な5つの方法をご紹介します。

1.ユーザーのニーズをより深掘りする

1つ目は、ユーザーのニーズをより深掘りすること。

AIライティングは指定された条件(質問や要件)に対しては情報を生成できますが、ユーザーのニーズを汲み取り戦略や施策を立案するまでには至っていません。人間という感情があるユーザーをターゲットにしている以上、そこを汲み取り方向性を決める部分は人の手や経験が必要な分野です。

これまで以上にユーザーのニーズを深掘りし、新たな切り口でコンテンツを制作すればAIライティングへ対抗できます。コンテンツを制作する際は、しっかりとユーザーのニーズを深掘りし、これまで以上に「誰に対して」「何を伝える」記事なのか、ポジションを明確にしていきましょう。

2.体験をベースにしたコンテンツを制作する

2つ目は、体験をベースにしたコンテンツを制作することです。

Googleは2022年12月に検索品質評価ガイドラインを更新しました。そのなかで従来のE-A-Tに代わる新たな評価軸として登場したのがE-E-A-Tです。

これまでのExpertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trust(信頼性)に、経験や体験を意味するExperienceが追加されました。記事を執筆した本人の体験や経験から生まれた情報を評価するという指針で、今後は体験をベースにしたコンテンツを評価するとしています。

これは今後事業者がコンテンツ制作をする上での道しるべとなります。例えば、自社商品を実際に使用した体験を掲載したコンテンツや、ツールを使用したエピソードといった情報はAIには生成できません。こうした体験や経験をベースにしたコンテンツを制作していくのは、AIライティングへの有効な対策です。

E-E-A-Tに関する詳しい内容はこちらの記事で解説しています。

3.オリジナルの画像や動画を掲載する

オリジナルの画像や動画を掲載する方法も、AIライティングへの対策のひとつです。

自社で撮影した画像や制作した動画、音声などがあれば積極的にコンテンツ内に掲載しましょう。こうした要素はコンテンツへの信頼性や価値を高めるだけでなく、AIライティングとの差別化を図れます。

また図や表を作成できる場合はぜひ作成してください。当サイトでもオリジナルの画像を掲載する場合がありますが、SEOの順位において効果が高いと実感しています。

とくに画像検索と相性がよいKW(例:○○のビジネスモデルの仕組み)では、画像からコンテンツへ流入するといったユーザー行動が期待できます。もちろん、先ほどのオリジナル画像や動画と同様にAIライティングとの差別化を図れるのもポイントです。

4.情報を網羅するだけでなく差別化できるコンテンツを目指す

情報を網羅するだけでなく差別化できるコンテンツを目指すのも、AIライティングへの対策として取り組みたい方法です。

ここ数年のSEOでは情報の網羅性が重視され、幅広い情報を組み込んだコンテンツが大量に出回っています。しかしこうした情報はオリジナリティが乏しく、今後AIライティングに代替可能な分野です。

そこでAIライティングでは書けないような差別化できるコンテンツを目指しましょう。具体的には主張や意見をはっきりと述べるのは効果的です。

例えば化粧品を紹介するときに、「Aという商品をおすすめします。なぜならBより○○で効果が高いからです」といった具合に、はっきりと自分のポジションを明確にします。AIライティングはこうした主張や意見を述べるには不向きなツールなので、対策として効果が期待できます。

5.表現力や文章力で情緒的な価値を生み出す

最後に、これからコンテンツを制作する際は、表現力や文章力で情緒的な価値を生み出していきましょう。

AIは論理的に文章を書くロジカルライティングは得意ですが、感情や情緒的な価値を表現するエモーショナルライティングは不得意です。ここに人が記事を書く意味が生まれます。感情を持つ人間だからこそ書ける文章は、これからの時代も価値あるコンテンツです。ECで商品を購入する際に、言葉遣いひとつでボタンをクリックしたくなるように、文章力や表現力は行動を喚起します。

コンテンツを制作する際は、正確な情報を分かりやすく伝えるだけでなく、ユーザーの心に刺さり行動を喚起するような文章を目指していきましょう。

まとめ

今回は、今後間違いなく到来するAIライティング時代に向けて、SEOに取り組む事業者がやるべき対策をご紹介しました。

ChatGPTの登場は、SEOに本格的なAIライティングの波が押し寄せてきた証拠です。今後SEOの分野にAIが導入されていくのは間違いないでしょう。

一方で、こうした流れに対抗する方法もあります。AIに代替できないエモーショナルな分野はとくに差別化できる領域で、体験ベースのコンテンツ制作や表現力・文章力の向上、意見や主張をはっきりさせるといった取り組みは効果が期待できます。

AIライティングが登場しても、コンテンツを読む相手は人間です。そこを忘れなければ、まだまだ改善できる領域は残っています。

とはいえ、ChatGptのようなAIツールは業務改善や労働負担の軽減という点では多くのメリットをもたらしてくれます。AIに対抗するという視点だけでなく、AIに任せられる分野は任せ、足りない部分は人が補っていく「AI+人ライティング」の可能性を模索するのも、これからのSEOやWebライティングに求められるスキルとなってきそうです。