話題のChatGPTはコンテンツ制作の現場で使えるのか?
2023.02.222022年11月の登場以降、世界中に大きな衝撃を与えたテキスト生成AIの「ChatGPT」。自然な会話文を生成できるため、一部ではコンテンツ制作(記事の執筆やWebライティング)への活用が積極的に議論されるなど、大きな話題となっています。
本記事では前半でChatGPTの概要や実際に使ってみた印象をご紹介します。後半ではコンテンツ制作の現場で使えるのかという疑問に対して解説しています。
目次
Chat GPTとは?
Chat GPTとは、2022年11月にアメリカの人工知能研究所・Open AI社からリリースされたテキスト生成AIです。
同ツールでは、ユーザーが入力した質問に対してAIが瞬時にテキストで回答。その会話文の自然さや質の高さは従来のAIとは比べものにならないほどで、全世界に大きな衝撃を与えました。
ChatGptでは質問形式での情報収集だけでなく、詩や歌、エッセイ、短編小説の執筆や、プログラムのコードに執筆も可能。他のツールと連携させ作業効率化にも活用できるなど、多くの可能性を秘めています。
ローンチから2か月後には月間のアクティブユーザー数が1億ユーザーを突破。これはTikTokの9か月、インスタグラムの2年半という数字と比べると驚愕すべきものです。
Chat GPTの特徴│自然な文章や情報を生成してくれる
- 自然な会話文が生成できる
- 箇条書きや手順など、指定した質問の内容で回答してくれる
- 時間短縮や情報収集の効率化が図れる
さてChatGPTではどのような文章が生成されるのでしょうか。実際に使用した画像と合わせて見ていきます。
まずは「SEOについて解説してください」という質問を入力してみました。
上記がその回答ですが、テキストが生成される時間はわずか10秒弱程度。文字数は378文字で、SEOについてきちんとした回答が返ってきました。驚くべきはその自然な会話文で、従来のAIボットのイメージから大きく進化したツールであると一目でわかります。
次に「D2Cのビジネスモデルの特徴を3つ教えてください。その根拠となる情報ソースも教えてください」という質問を入力してみます。
この質問では、「特徴を3つ教えてください」「根拠となる情報ソースを教えてください」という指定を加えています。すると上記のように箇条書きで3つのポイントが整理されているだけでなく、根拠となった情報ソースまで回答してくれました。
またChatGPTを使えば膨大な情報を検索する手間が省け、時間短縮や業務効率化を図れます。実際にChatGPTを使って収集したデータを、スプレッドシートで連携してリスト化するといったユーザーも増えており大きな可能性を秘めています。
Chat GPTの注意点・弱点│情報の正確性や文章の言い回しには課題が残る
- 情報に事実誤認が含まれる場合がある
- 誤字脱字が散見される
- 文章の書き方にバリエーションが少ない
これだけ精度が高い文章が生成できるとなれば、「ChatGptを使ってコンテンツや記事を執筆すれば…」と考えるのが自然です。しかしChatGptも万能ではありません。一見正確な文章で回答してくれていると思いきや、事実誤認や文章の間違いが散見されます。
こちらは、メジャーリーグで大活躍を続けるプロ野球選手の大谷翔平選手についてChatGptに質問したものです。
回答を見てみると、まず生年月日が1994年ではなく1993年となっています。大谷選手は1994年生まれです。また、在籍するロサンゼルス・エンゼルスの文字がアンガelsとあり、Angelesという英語表記とカタカナ表記が混ざってしまっています。この他にも、タイトルの獲得回数や移籍の方法についての回答にも事実誤認が見られました。
このようにChatGptはまだまだ万能のツールという訳ではありません。
また、質問の内容がしっかり定まっていない場合、同じような文章が回答されるのもChatGptの弱点です。
上記の質問では「サッカー日本代表」と「サッカースペイン代表」という部分だけを変更して質問を入力しましたが、ほぼ同じ内容の回答が生成されました。決して的外れな回答ではありませんが、一般論の域を出ないため独自性やオリジナリティには乏しい印象です。
その他にもさまざまな質問を入力して試してみると、「さっきと同じ言い回しだな」「違うジャンルなのに、さっきも似たような回答をしていたな」と感じる場面は少なくありませんでした。読む人が読めば、AIが執筆したとすぐに見破られてしまう点は、これからの課題でしょう。
ChatGPTをコンテンツ制作の現場で使えるのか?
さてここまでChatGPTの概要や特徴について解説してきました。ここからはこの内容を踏まえて、「ChatGPTはコンテンツ制作の現場で使えるのか」という疑問について解説していきます。
現状ではコンテンツ制作に活用するのはリスクが高い
まず結論から述べると、現状ではコンテンツ制作の現場に即戦力として利用するのはリスクが高いといえます。
非常に高い精度でテキストを生成する点は評価できますが、事実誤認が含まれている点や言い回しのバリエーションが少ない点は大きな弱点です。仮にChatGPTで生成した記事に事実誤認がありトラブルが発生した場合、信頼を失うのは事業者自身です。
またChatGPTの注意点として同じような言い回しが多い点を指摘しましたが、これがGoogleからコピーコンテンツとみなされればペナルティの対象となります。その他にも、AIを利用して大量にコンテンツを制作した結果、スパムコンテンツとみなされれば同じくペナルティの対象となるでしょう。
将来的にAIライティングでのコンテンツ制作が定番になる可能性はある
とはいえ、今後ChatGPTのようなAIライティングがコンテンツ制作の定番になる可能性はあります。すでに欧米ではAIで執筆した記事を人間がファクトチェックや訂正を加えて配信するメディア(Bankrate)も登場しています。AIの自動学習という特性を考えるならば、情報が蓄積されればさらに実用性が高いツールになる可能性を秘めています。
例えば、現状でもコンテンツ制作の前段階として、見出し構成のアイデアやコンテンツ設計のたたき台として活用するといった方法は可能でしょう。
まとめ
今回は話題のChatGPTはコンテンツ制作の現場で使えるのか、というテーマについて解説しました。
ChatGPTのテキスト生成技術は従来のAIチャットとは比べものにならないほど自然なものです。一方で事実誤認や言い回しにバリエーションが少ないなど、課題が多いのも事実。現状ではコンテンツ制作の現場にすぐ活用するのはリスクが高いといえます。
とはいえ、将来的にAIライティングがコンテンツ制作の現場に登場する可能性は高く、コンテンツ制作の方向性に不安を感じる方も多いはずです。ヒントとなるのは、Googleが先日発表したE-E-A-Tでしょう。とくに新たに追加されたExperience(体験)という概念は、AIでは生み出せない人間のオリジナリティです。自社の事例や商品の使用感といった、体験をベースとしてコンテンツ制作に力を入れるのは、これからのコンテンツマーケティングのポイントと呼べそうです。