E-A-TからE-E-A-Tへ。Googleが追加した新たな評価軸とは?
2022.12.282022年12月16日、Googleは検索品質評価ガイドラインの更新を発表しました。同ガイドラインはSEOにおける評価軸を知る上で重要な意味を持ちますが、今回の更新で大きな注目を集めたのがE-E-A-Tです。従来までのE-A-Tに新たにE(Experience)が加わりましたが、今回は具体的にどのような内容なのでしょうか。
目次
2022年12月16日に新たな評価基準としてE-E-A-Tが追加される
Googleでは2022年12月16日に検索品質評価ガイドラインの更新を発表しました。今回の更新で大きな注目を集めたのがE-E-A-Tです。これまでGoogleでは、
- E…Expertise(専門性)
- A…Authoritativeness(権威性)
- T…Trust(信頼性)
と呼ばれる3つの評価軸を定め、ガイドラインに記載していました(E-A-Tに関しては本ブログでも詳しく解説していますので、下記の記事も参考にしてください)。
E 専門性 | コンテンツ作成者がそのトピックについて必要な知識やスキルをどの程度持っているか |
A 権威性 | コンテンツ作成者または Web サイトが信頼できる情報源としてどの程度知られているか |
T 信頼性 | ページがどの程度正確で、正直で、安全で、信頼できるか |
今回の更新ではここに新たにExperienceが加わり、評価軸が4つに増えます。
- E…Experience(経験・体験)
- E…Expertise(専門性)
- A…Authoritativeness(権威性)
- T…Trust(信頼性)
新たにExperience追加され実生活に寄りそったコンテンツを評価する姿勢が明確に
Experienceは日本語では経験や体験を意味します。ガイドラインには、
Consider the extent to which the content creator has the necessary first-hand or life experience for the topic.(コンテンツの制作者がそのトピックに関しての実体験や人生経験をどの程度持っているかを検討する)
検索品質評価ガイドライン
と記載されています。これまでの評価軸に新たに経験や体験といったリアルな要素が加わり、実生活に寄りそったコンテンツを評価する姿勢が明確になりました。
影響は限定的だが今後もユーザーファーストのコンテンツが評価される
さて、SEOに取り組む事業者が気になるのが、検索順位への影響です。
結論から述べると、順位への影響は限定的と言えます。今回の発表はあくまでもガイドラインの更新です。直接的なアップデートとは違い、影響は限定的と考えられます。しかし今後はこのガイドラインに沿った形でアルゴリズムも修正されるため、将来的には体験や経験といった要素が乏しいコンテンツは順位を下げると予想されます。
今回のガイドライン更新により、これまでやや不透明だった体験や経験といった要素がE-E-A-Tという形ではっきりと提示されました。視点を変えれば、Googleは今後体験や経験といったリアルな要素をより重視すると解釈できます。
近年SEOで議論を呼んでいるサブディレクトリ問題をはじめ、アルゴリズムの隙を突くような記事が上位表示される場面は少なくありません。今回のExperienceという要素は、こうした問題をよりオープンにし、Googleの評価基準を明確にする姿勢と受け取れます。
専門家と実体験のどちらを評価するのか?
さて、Experienceが新たに追加されましたが、例えば「そのトピックの専門家」と「そのトピックの経験者(実体験)」ではどちらが評価されるのでしょうか。Googleが体験や経験といったリアルな情報を重視するのは良い流れですが、一方でこうした情報は多分に「主観的」な要素が入り込んでしまいます。とくにYMYLのようにユーザーの人生に大きく影響を与える分野の取り扱いはデリケートです。
この疑問についてもGoogleは品質評価ガイドラインで言及しています。
ユーザーが求める内容によって評価される基準が違う
下記の表はGoogleが公開したガイドラインの評価を日本語に訳したものです。
トピックの内容 /評価軸 | 専門家 | 実体験 |
妊娠についての睡眠の課題 | 妊娠中に安全な睡眠薬 | 妊婦が経験した、赤ちゃんに安全な姿勢で快適に眠る方法 |
肝がん治療 | 治療方法の違いや、方法ごとの余命 | 肝がんの治療に対して、経験者が実際に感じたことや話す内容 |
税務申告書の作成 | 申告書の書き方の説明 | 申告書作成に関するユーモラスなエピソード |
老後の為の貯金 | 退職に備えた貯金方法のアドバイス | 退職金サービスを利用したレビュー |
選挙の投票 | 投票する資格や、投票の方法 | 選挙に投票する重要性や、なぜ重要と考えるかの意見 |
これを見ると、トピックに関する具体的な方法や細かな情報に関しては専門家が作成したコンテンツを評価するとしています。一方、経験談やレビューといった内容ならば、実体験が評価されます。
例えば、上記の表で挙げた「肝がん治療」の分野なら、治療方針や病気に関する情報は、医師や研究者といった専門家の情報が評価されます。
一方でGoogleは、こうした人生を左右するような不安や悩みには、専門家の情報だけでなく、個人の体験でしか得られない「共感」も欠かせないと述べています。例えば、同じように肝がん治療に励む人物の体験談は、当事者達に勇気や希望を与えます。こうした検索に対しては、主観的な要素が多く含まれるコンテンツでも評価するとしています。
つまりユーザーが求める内容により、それぞれ最適なコンテンツを見極め評価するという方針です。
まとめ
今回はGoogleが公開した新たな評価軸、E-E-A-Tについて解説しました。アップデートではExperienceという要素を加えることで、これまでやや不透明だった要素をはっきりと提示した点が大きなポイントといえます。
ガイドライン更新以降も、コンテンツ制作の基本は「ユーザーファースト」です。今後もユーザーがどんな情報を求めているのか、その意図をしっかりと意識した上でのコンテンツ制作が基本となってきます。検索している人が、どんな情報を求めているのか(専門的な知見か、それとも共感できる体験談か)制作者はより深く理解して、コンテンツの制作に取り組んでいきましょう。