体験を最適化するSXOとは?用語の意味と具体策を解説

EcWork編集部

体験を最適化するSXOとは?用語の意味と具体策を解説

EcWork編集部

検索エンジン向けの対策としてECでも馴染みのあるSEOですが、近年似たような用語としてSXOが注目されています。日本語で「検索体験最適化」と訳されるSXOですが、用語にはどのような意味があるのでしょうか。

今回はSXOの意味とEC事業者が実際に取り組む際の具体策について解説します。

SXOとは?

体験を最適化するSXOとは?用語の意味と具体策を解説

SXOとはSearch Experience Optimizationの略で、日本語では検索体験最適化と訳されます。ユーザーが情報を検索した際に、スムーズに求めている検査結果に辿り着くためサイトの最適化を図ることを意味し、ユーザーの購入体験向上を図るのが狙いです。

検索エンジンを利用するユーザーは、なにかしらの疑問や悩みをもってキーワードを入力します。こうしたユーザーが求める回答にスムーズに辿り着けるようにサイトの最適化を図るのが目的です。

SXOはGoogleの検索エンジンを担当するマット・カッツ氏の「ユーザー体験を第一に考えた検索エンジンのあり方」に由来します。年々Googleのアルゴリズムはユーザーにとって利便性が高いページを評価するようアップデートされてきました。SXOもこうした考え方に準拠するもので、一度の検索でユーザーが問題を解決できるよう制作されたコンテンツが評価されています。

SXOとSEOの違いは?

ではSXOとSEOの違いはどこにあるのでしょうか。

結論から述べると、SXOは「人」に対して最適化する施策なのに対し、SEOは「検索エンジン」に対して最適化する施策と言えます。最適化を施す対象が違っているため、取り組むべき施策にも違いが生まれます。

SXOとSEOはどちらが重要かという議論ではありませんが、どうしてもSEOは検索エンジンを対象としているため、ユーザーを置き去りにしてしまう傾向が出てしまいます。Googleはアルゴリズムアップデートでこのギャップを埋める努力を続けていますが、現状では人と検索エンジンの差はまだ埋め切れずにいます。

ただ今後Googleが人向けのアルゴリズムを目指しているのは間違いなく、SXOはそうした考え方に寄り添った施策と言えるでしょう。

ECでのSXO7つの具体策

では実際にECサイトでSXOに取り組む上での具体策について見ていきましょう。

1.キーワードの検索意図(ニーズ)の深掘り

1つ目はキーワードの検索意図(ニーズ)の深掘りです。

SXOが人向けの施策であるなら、まずはユーザーがどんな意図をもって検索を実施しているのか理解する必要があります。この際に顕在的なニーズだけでなく潜在的なニーズまで深掘りすることが重要です。

例えば「野球 自宅 練習方法」と検索しているユーザーは自宅でもできる野球の練習方法を探しています。これは顕在的なニーズですが、その奥には「野球を上手くなりたい」「野球をもっと知りたい」といった潜在的なニーズが隠れているはずです。コンテンツを制作する際は自宅での練習方法を紹介するだけでなく、トレーニング方法や技術面での解説などユーザーの潜在的な興味を満たしてあげると喜ばれます。

2.情報の充実と読みやすい記事構成

2つ目は情報の充実と読みやすい記事構成です。

ユーザーの体験を最適化するには、商品ページやコンテンツの情報を充実させる必要があります。どこかで読んだことがある内容を言い換えた記事ではなく、独自性がある情報はニーズが高いと言えます。

また記事を作成する際は見出しの作り方や記事の構成をじっくり検討しましょう。例えば「結論を最初にもってくる」といった構成の作り方はWebライティングでは基本となります。この他にも見出しで疑問や悩みが解決するような工夫もユーザービリティが高まりSXOに効果的です。

3.画像や表、フォントカラーなど視覚的なアプローチ

ユーザーの体験を向上させるなら、画像や表、フォントカラーなど視覚的なアプローチにも取り組みましょう。

若年層になるほど、視覚的に情報を集める傾向が強くなっています。商品の比較や図を用いた解説、太文字やフォントカラーを変更することで視覚的にキーワードを追えるようにする試みなどは効果的です。

4.記事の内容を理解できるタイトル設定とdescription

記事の内容を理解できるタイトル設定とdescriptionもSXOの取り組みの一つです。

検索体験を向上させるには、記事のタイトルでどんな内容が書かれているのか理解できるのが適切です。いわゆる「釣りタイトル」を設定しPVを稼ぐような記事はSXOの考え方には適していません。また検索時に表示させるdescriptionも内容が分かりやすくする工夫を施すことでユーザー体験の向上に繋げましょう。

5.ページの表示速度の改善

SXOで重要度の高い施策としてページの表示速度の改善が挙げられます。

Web制作会社が実施した「WEBサイト閲覧時の“イライラすること”に関する意識調査」の結果によると、ページの表示速度が遅いことに対してアンケートに答えた42.8%がイライラすると回答しました。

  • 1位:ページの読み込みが遅い 42.8%
  • 2位:アダルトやスパムまがいの広告が出る 19%
  • 3位:広告が急に出てくる 17%

これは他の回答結果に比べ圧倒的にパーセンテージが高く、ユーザーの体験においてページの表示速度が大きなウェイトを占めていることが分かります。

ページ速度はSXOだけでなくSEOでも重要な評価指標とされているだけに、画像の圧縮やサーバーの見直し、必要ないアプリやプラグインの削除などを行うことで速度の改善に取り組みましょう。

6.スマホ対応

スマホ表示に対応していない場合は対応を急ぐのがおすすめです。年々モバイル端末で検索するユーザーが増えており、Googleも評価基準の対象を2021年3月からはモバイルに変更しています。

PC対応のままスマホで表示してしまうとデザインが崩れてしまい、コンテンツも見づらい状態となります。早めにスマホ対応のデザインを採用することで、ユーザーが見やすいサイト作りを意識しましょう。

7.SSL化をはじめとしたセキュリティ対策

最後にセキュリティ対策にしっかり取り組むのもSXOでは重要です。例えばSSL化をはじめ、サイトのセキュリティ対策が不十分な場合ユーザーは安心して閲覧することができません。ECのように購入時に個人情報を入力するなら尚更です。

セキュリティ対策は自社のブランドイメージや利益を守ることにもつながるため、しっかりウェイトを置いて取り組みましょう。必要であれば外部の事業者の手を借りて取り組んでください。

まとめ

今回は検索体験最適化を意味するSXOについて解説しました。

SXOはユーザーが情報を検索した際に、スムーズに求めている検査結果に辿り着くためサイトの最適化を図ることを意味します。ユーザーの疑問や悩みに対して一度の検索で解決できるよう利便性を高めることが目的で、SEOが「ブラウザ向け」の施策ならばSXOは「人向け」の施策といえます。

年々Googleのアルゴリズムもユーザーを軸に置いた仕組みにアップデートされており、「人向け」のサイトだけが評価される未来もすぐ近くに来ています。とくにEC事業者が相手にするのはGoogleではなく、PCやスマホの向こうにいるお客様です。ユーザーにとって何が便利か・必要か、といった視点に立って取り組んでいけば、SXOへの最適解に辿り着けるでしょう。