ECでも活用が進むファンベースマーケティングとは?

EcWork編集部

ECでも活用が進むファンベースマーケティングとは?

EcWork編集部

ECをはじめビジネスの新たな施策として注目されているのが、ファンベースマーケティングです。商品やブランドへの愛着や共感を抱くファンを重視するこの手法は、“推し”文化に代表されるように新たなビジネストレンドとして活用が進んでいます。

今回はファンベースマーケティングとはなにか、なぜ注目を集めているのかについて詳しく解説します。

ファンベースマーケティングとは?

ファンベースとは

ファンベースマーケティングとは、自社の商品やブランドに対して愛着や共感を持ってくれるファンを重視するマーケティング施策です。

これまでのマーケティング施策では、集客や購入が目的とされ顧客との関係性にまで踏み込むことは多くありませんでした。しかしファンベースマーケティングでは、ユーザーとの関係性に注目し、中長期的に関係性を保つことを目的としています。ブランドや商品への愛着や共感、信頼を少しずつ積み上げていき、ファンになってもらうことで購入に繋げるのが狙いです。

ファンベースマーケティングのメリット

ファンベースマーケティングには大きく3つのメリットがあります。

  • リピート購入や顧客単価の向上につながる
  • 中長期的な関係を維持しLTVが向上する
  • ブランドのビジョンや世界観を伝えられる

1つ目は、リピート購入や顧客単価の向上につながること。

商品やブランドのファンとなってくれたユーザーは、継続的にECサイトを利用する割合が高く、リピート購入につながりやすいといえます。ECでは新規顧客に比べリピート顧客の方が獲得単価が安く、利益率の面からみてもメリットが大きいといえます。また、ファン化を促すことで複数買いや価格単価の高い商品の購入が進み、顧客単価が向上するのもメリットといえるでしょう。

2つ目は中長期的な関係を維持し、LTV(顧客生涯価値)が向上すること。

近年ECではLTVがマーケティングにおける重要な指標に挙げられます。新規顧客は短期間の売上には不可欠ですが、中長期的にサイトを支えるのはリピート顧客です。そこでリピート顧客の獲得をLTVの指標を使って可視化することで、サイト運営に活用しています。ファンベースマーケティングは1つ目のメリットでもご紹介したようにリピート顧客の獲得が強みです。LTV向上という点からも高い効果が期待できるでしょう。

3つ目は、ブランドや商品のビジョン・世界観を伝えられること。

ファンベースマーケティングではSNSやコンテンツの発信、顧客との直接的なやり取りを通して関係性を構築していきます。この過程でブランドや商品に関する想いや熱量を訴求できれば、ビジョンや世界観を伝えることができます。また、ECではD2Cのように世界観への共感からビジネスをスタートさせる手法も近年は存在感を高めており、ファンベースマーケティングのメリットと呼べるでしょう。

なぜファンベースマーケティングが注目されるのか?

さて、そもそもなぜファンベースマーケティングが注目を集めるようになったのでしょうか。背景には消費行動や消費者の世代構成に変化が起きたことが理由に挙げられます。

少子高齢化により消費者の母数が減ってきたから

1つ目は少子高齢化により、消費者の母数が減ってきたため。

高齢者が増加し若年層が少なくなる「少子高齢化」は日本の将来に大きな影を落としています。消費を支える若年層が減ればマーケットの規模が縮小し、消費者の母数そのものが減ってしまうからです。例えば、これまでのように新規顧客の獲得だけに注力していても、そもそも母数が減っていけば獲得競争が過熱化し、事業運営は厳しさを増していきます。

とくにECのように若年層がコアなユーザーとなっているビジネスでは少子高齢化への危機意識が高く、いかに若年層の心を掴みファンに育てるのかが重視されています。つまり、将来的に安定したビジネスを築くためには、次世代のユーザーのファン化を促すファンベースマーケティングの手法が最適だった訳です。

価値観が多様化し消費行動が変化したから

2つ目は、価値観が多様化し消費行動が変化したため。

近年若年層を中心に消費行動は大きく変化しています。例えばイミ消費と呼ばれる、商品やサービスの持つ社会的な価値や、文化的な価値を重視した消費行動はこれまでになかった消費行動の形です。こうした変化を受けてECでも、ただ商品を販売するだけでなく、ユーザーとのコミュニケーションや購入以外の付加価値を提供することが求められるようになりました。

ユーザーの共感や愛着を誘うファンマーケティングの考え方は、こうした消費行動の変化と相性が良い手法といえます。SNSでの交流や投稿、ファンが“推し”を応援するような心理を上手くマーケティングに落とし込んだ形といえるでしょう。

まとめ│ECではD2Cがファンベースマーケティングと相性が良い

ファンベースマーケティングとは、自社の商品やブランドに対して愛着や共感を持ってくれるファンを重視するマーケティング施策です。

  • リピート購入や顧客単価の向上につながる
  • 中長期的な関係を維持しLTVが向上する
  • ブランドのビジョンや世界観を伝えられる

といったメリットがあり、消費行動の変化や少子高齢化による消費構成の変化に合わせて、近年注目を集める手法です。

ECではD2Cと相性が良いマーケティング手法といえます。D2Cは自社製造から販売までを一貫しておこなうビジネスモデルですが、世界観の訴求やユーザーとのコミュニケーションを図るといった部分は、ファンベースマーケティングそのものといえます。今後はD2Cに関わらず一般的なECでもビジョンや世界観への共感や愛着を抱かせることが重視され、SNSや自社コンテンツの配信やユーザーとの関係構築がポイントとなってくるでしょう。

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