イミ消費とは?Z世代がけん引する新たな消費の価値観
2022.08.03今回はZ世代を中心に新たな消費のトレンドとして注目されている、イミ消費についてご紹介します。
ユーザーの消費行動としてはこの10年、機能性から体験に価値を置く「モノからコトへ」といった変化や、その場やその時にしか味わうことができない消費を意味する「トキ消費」などが注目されています。こうした文脈で新たな存在として登場したのがイミ消費です。
今回はイミ消費の概要や注目を集める背景、ECでの具体例について解説します。
イミ消費とは?
イミ消費とは、商品やサービスの持つ社会的な価値や文化的な価値を重視した消費行動のことです。
例えば、
- 災害の被害にあった地域の商品を購入し復興を支援する
- 環境にやさしい素材を使ったアパレルを購入する
- 地域貢献活動に積極的な企業のサービスや商品を購入する
- フードロスを減らすために規格外の野菜を購入する
- クラウドファンディングに協力する
など、社会貢献や地域貢献といった行動の「イミ(意味)」に注目した消費活動のことを指します。
イミ消費という言葉はホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念です。同氏は2011年の東日本大震災が日本におけるイミ消費のスタート地点であると述べており、被災地への支援を消費活動で支える動きが全国的に広まったと考察しています。またコロナ禍では飲食ビジネスや観光ビジネスが大きな痛手を受け、事業者を支援する消費行動が活発化したのもイミ消費の一例です。
近年では世界的にもSDGs(持続可能な開発目標)が社会に共通するキーワードとして定着しつつあり、今後ますますイミ消費は広がりを見せると予想されます。
Z世代がイミ消費をけん引している
イミ消費をけん引する中心的な存在がZ世代です。1990年半ば〜2010年代初頭に生まれた世代で、海外ではジェネレーションZといった呼ばれ方で知られています。
Z世代の特徴として社会課題や社会貢献への関心が高い点が挙げられます。デジタルネイティブとして大量の情報に触れているだけでなく、東日本大震災やコロナパンデミックを経験したことで、社会課題の解決に強い関心を持っています。先頃のロシアによるウクライナへの侵攻においても、Z世代はいち早くSNSやプラットフォームを活用した支援活動に乗り出しました。
また生まれてからずっと経済が停滞している環境を経験したことで、消費行動は慎重で現実的な選択をする傾向にあります。これはモノ消費のような機能性やブランド価値を優先するのでなく、社会貢献や地域貢献といった消費のイミ(意味)に重きを置く特徴が色濃くなった理由といえます。
ECで見られるイミ消費の事例
さて、イミ消費はECでも広がりを見せており、国内外で注目を集めるサイトやブランドが登場しています。とくにD2Cブランドでは、ブランドのストーリーや世界観を訴求する手法として社会貢献や環境保全に力を入れている企業が多く、こうした価値に共感したユーザーからの支持を集めています。
事例1.Allbirds
Allbirdsは2016年に創立されたD2Cのシューズブランドです。
天然由来の素材を採用することで、環境への負荷を抑えたサステナブルなシューズを販売しており、 環境保全に貢献したいユーザーから人気を集めています。
Allbirdsは商品の履き心地や機能性にも優れており、米タイム誌では「世界一快適なシューズ」として紹介されました。軽さ、履き心地の良さはもちろん、保温性、通気性、防臭性にも優れています。また洗濯機で丸洗いできる点もサステナブルな商品として評価されており、創業から3年でユニコーン企業(企業評価額が1100億円以上)の仲間入りを果たしました。
事例2.10YC(テンワイシー)
10YC(テンワイシー)は日本で2017年に創業したアパレルブランドです。
10YCの最大の特徴が「10年着続けたいと思える服を」をコンセプトにブランドを展開していること。アパレル業界では以前から、大量生産大量廃棄・低賃金・工場の人材、後継者不足といったさまざまな課題を抱えていました。
10YCではこうした課題を解決し、消費者と作り手のどちらにとっても幸せな形を築くために、製造工程や価格設定を徹底的に見直し、アパレルに関わるすべての人にとって最適な形を追い求めています。
ブランド創業時からこうした姿勢に共感したユーザーから人気を集めており、国内でも人気のアパレルD2Cとして知られています。
まとめ
今回はZ世代を中心に新たな消費の流れとして注目されるイミ消費について解説しました。
イミ消費とは、商品やサービスの持つ社会的な価値や文化的な価値を重視した消費行動のことです。災害被災地を支援するための特産品を購入したり、環境活動に積極的な企業の商品を購入したりと、商品を消費する際の「イミ(意味)」に重きを置くのが特徴です。
イミ消費はこれからの消費を支えるZ世代を中心に注目を集めています。この世代は社会課題の解決やSDGsへの関心が高い傾向にあり、新しい時代の潮流を生み出すとして期待されています。