SNSツール別の利用者動向とECサイトでの活用法を解説

EcWork編集部

SNSツール別の利用者動向とECサイトでの活用法を解説

EcWork編集部

ECサイトでのマーケティングにSNSは欠かせないツールですが、その活用法は各ツールの特徴をしっかり把握し、それぞれの特徴に見合った方法を導入する必要があります。

そこで今回は、SNSツール別のユーザーの属性や動向をデータで解説しながら、ECサイトで活用する際の戦略について解説します。

SNSツールがECマーケティングにおすすめな3つの理由

SNSがECマーケティングにおすすめな理由

さて、具体的なデータを考察する前に、そもそもSNSツールがなぜECマーケティングにおすすめなのでしょうか。理由は大きく3つです。

  1. ユーザーと直接的な関係を構築できる
  2. 運用コストを抑えることができる
  3. 拡散する可能性がある

まず、SNSはユーザーと直接的な関係性を築きやすいツールです。ユーザーからの反応がダイレクトに返ってくるだけでなく、こちらからコメントやDMといった方法でアプローチすることもできます。

また、広告運用などを行わない限り、基本的にSNSアカウントは無料で開設可能です。自社でツールを運用すれば外注コストがかからないため、運用コストを抑えることができます。

最後に、SNSツールの最大の魅力が、拡散する可能性があること。いわゆる「バズる」状態が発生すれば、費用対効果が一気に高まり、集客やブランド認知において高いリターンを得ることができます。

ECは集客施策がSEOやWeb広告に依存しがちですが、コストを抑えつつきちんとした運営に取り組めば、SNSは事業者にとって心強い集客施策へと成長してくれるはずです。

SNSツール別の利用者属性とECでの戦略

ここからは、SNSのツール別に年齢や性別といった属性についてデータを元に解説していきます。また、ECでは各ツールをどのように活用していけばよいのか、その戦略についても考察していきます。

なお、今回の記事では総務省が発表した「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」からデータを参照し、グラフを作成しています。

【SNSツール全体】

まずは、SNSツール全体の動向から見ていくことにしましょう。

SNS ユーザーの動向

上記のデータは、主要なSNSツールの利用者数をあらわしたものです。

これを見ると、LINEのユーザーは全体の8割以上(86.9%)に達しており、国内でも利用率が高いことが分かります。これはLINEが日常的な通信手段として、メッセージ送信や電話機能を提供している点が影響しており、他のSNSツールに比べて突出した数字となっています。

次いで多いのがTwitterで利用割合は38.7%。これに続くのがInstagramの37.8%Facebookの32.7%となっています。TikTokは12.5%とやや低い割合ですが、これは若年層を中心としてユーザーが多いためで、今後はユーザー数がさらに増加することが予想されます。

SNSツールではないですが、今回の記事ではYouTubeのデータもご紹介していきます。YouTubeはECマーケティングでも存在感を増しており、利用者数の割合も76.4%と高い数字を記録しています。動画コンテンツは今後のコンテンツマーケティングでも注目度が高いジャンルに該当するだけに、YouTubeの動向を知っておいて損はないでしょう。

【LINE】

LINE ユーザー数

LINEの年代別利用者の割合を見てみると、10代~30代では90%台中盤に達しており、若年層には欠かせないツールであることが分かります。

とはいえ、40代・50代でも80%台に達し、60代でも60%台後半とほぼすべての世代にアプローチすることができるツールといえます。

SNSツール 男女別

男女別の割合を見ても、男性が85.1%、女性が88.8%と顕著な違いは見られません。

【LINEのECでの活用法】

LINEをECで活用する場合は、年代や世代に関係なく幅広いユーザー層にアプローチすることができます。しかし利用率90%台を超える10代~30代に向けての施策を強化することは、ECの集客や売上に直結すると予想されます。

具体的には公式アカウントを活用したコンテンツの発信や割引クーポンの発行など、ユーザーにダイレクトにメッセージが届くツールの強みを活かしましょう。また、LINE Payなどの決済手段を用意しておくことで、よりシームレスな購入体験を提供することができます。

【Twitter】

Twitter ユーザー

Twitterの年齢層は、若年層に大きく偏っている傾向があります。そもそもTwitterは匿名で利用するツールとして発展してきた歴史があり、ユーザーも趣味やプライベートを楽しむためのツールとして活用しているケースが少なくありません。

また、コンテンツではエンタメ色が強い投稿や、メッセージ性が強い投稿がバズりやすい傾向にあり、他のSNSツールとは違った独特の文化が形成されているのも特徴です。

SNS 男女別

男女別の割合を見ると、比較的男性ユーザーの方が多い傾向がうかがえます。とくにInstagramが登場して以降はこの傾向が顕著です。

【TwitterのECでの活用法】

ECでTwitterを活用する場合は、ツールの特性を活かしたアプローチが重要となってくるでしょう。Twitterには独特の文化が育まれており、エンタメ性の強い投稿や中の人のセンスが際立つ投稿などが拡散されやすい傾向にあります。企業アカウント同士でプロレスのようなやり取りをすることで話題になるケースも多く、SNSの中でも尖った使い方ができるツールです。

一方で、炎上リスクが高い点は注意したいポイントでしょう。キャラクターを際立たせようとするあまり、企業アカウントが炎上するケースは多く見られます。社内でチェック体制をきちんと設け、戦略的にキャラ作りを目指していきましょう。

【Instagram】

Instagram ユーザー

InstagramもTwitterと同じように若年層に人気が高いツールです。「インスタ映え」という言葉からも連想できるように見映えする写真や画像を投稿する傾向が強く、視覚的に情報をキャッチできる点はツールの特徴といえます。

また、女性からの指示が高い点もInstagramの特徴で、男性ユーザーとの利用率の差は10ポイント以上の差がつくなど、ECマーケティングを考える上では見逃せないポイントです。

【InstagramのECでの活用法】

前述したように、Instagramのメインターゲットは若年層の女性ユーザーとなります。化粧品やコスメ、美容サプリといった女性向け商材とは相性が良く、質の高い画像の投稿が集客や売上に大きく貢献するでしょう。

また、近年のトレンドとして注目したいのがインスタライブです。Instagramを使ったライブ配信機能で、アパレル系ECがインスタライブで商品レビューやユーザーとやり取りすることで売上を伸ばす例が増えています。

こうした顧客との関係性を築く上でInstagramは特に活用したいツールで、顔出しや実名が一般的な点もユーザーとの信頼関係を築きやすいポイントです。

【Facebook】

Facebookはここまで紹介してきたツールと比べると、独特の年齢分布をしています。30代の利用者が多く、10代や60代の利用者が少ないのが特徴です。これはFacebookがビジネス向けのSNSとして認知されている点が大きく、実名登録というツールの特性上、実社会と連動した使われ方が一般的です。

男女別の割合を見ても、顕著な特徴は見られずほぼ同じ割合のユーザー数となっています。

【FacebookのECでの活用法】

年齢別の分布や男女比のバランスから見ると、Facebookでは働く世代をターゲットにした運用と相性が良いといえます。BtoCよりもBtoBの商材など、ターゲットを他のSNSとは変えていく戦略が求められるでしょう。

また、ECからの購入を促すだけでなく、コンテンツ発信のツールとして割り切った使い方もおすすめです。Facebookを通して情報をキャッチするビジネスマンは多く、こうしたユーザー向けにためになるコンテンツを発信し、自社のブランディングや知名度を高めていくことに繋げるのも一案です。

【TikTok】

TikTok ユーザー

TikTokはSNSツールの中でも比較的新しいツールといえます。国内で認知度が高まってきたのもここ数年で、ユーザーの年齢層が10代に偏っている点は特徴的な部分です。いわゆるZ世代のニューカルチャーという側面が強く、今後マーケティング分野においてどのような成長を見せるかはまだまだ手探りの状態といえます。しかし大手企業がこぞってTikTokに参入している流れは注視しておくべき動向でしょう。

TikTokは比較的男女比がないツールですが、女性のユーザーが若干多い傾向にあります。この割合も今後どのような変化が見られるか注目すべき部分ですが、10代ではジェンダー意識がより多様化しており、従来のSNSのようにはっきりとした傾向が現れないという見方も出ています。

【TikTokのECでの活用法】

さて、TikTokは10代のユーザーが突出して多いことから、企業としてはマーケティングへの効果が低いと考えられがちですが、10代は将来のECでのメインターゲットです。

大手企業がTikTokに参入しているのは、こうした将来のユーザーに対してのブランドイメージの向上や認知度アップを狙う先行投資的な意味合いも含まれています。

また、TikTokは友人や家族、仲間たちと一緒に動画を撮影するというカルチャーが強いツールです。これはより多くのユーザーに対しての訴求効果を狙うことができ、体験型のコンテンツを提供できるという意味では現代のトレンドと相性が抜群です。

【YouTube】

YouTube ユーザー

最後に、SNSツールというくくりからはやや離れますが、YouTubeの動向についてもご紹介します。YouTubeのユーザーは10代~50代まで高い水準となっています。60代では50ポイントを割り込むものの、幅広い世代にリーチできる点はLINEと同じ特徴といえます。

とくに若年層はTVではなくYouTubeで動画を楽しむという傾向が強く、これまでマスマーケティングでの戦略を軸に据えていた企業にとっては新たな広告出稿先として“マスト”なツールです。

男女別 SNS

男女別の比較では男性の方がやや高い割合となっていますが、最近では短い尺を楽しむショート動画が女性からも人気を集めており、男女ともにリーチしやすいツールといえるでしょう。

【YouTubeのECでの活用法】

ECでの活用法としては、動画という強みを活かした商品の使い方や解説動画などが効果的でしょう。例えば、組み立てが必要な商品に、説明書代わりに動画が用意されていればユーザーの満足度が高まります。

また、近年は自社でドラマ風のコンテンツを発信し、商品の機能性ではなく世界観を訴求する手法も人気で、活用法の1つです。

まとめ

SNSツール別の動向とECでの活用法

今回は、SNSツール別の利用者動向とECサイトでの活用法をご紹介しました。

SNSはツールによってユーザーの属性や特徴に違いがあり、ECサイトでのマーケティングに活用するには、それぞれの特徴を把握した戦略が求められます。

商材や自社のブランドイメージに合わせてSNSを選ぶことも必要でしょう。手当たり次第に複数のSNSを運用すると、自社のリソースが足りず、質の低いコンテンツの発信につながる恐れがあります。

SNSの特徴と社内のリソースのバランスを考えながら、継続的な運営ができるツールに絞って運営をスタートしてみましょう。