【2022年版】ECの市場規模と最新の動向を解説

EcWork編集部

【2022年版】ECの市場規模と最新の動向を解説

EcWork編集部

今回は最新の市場調査を元にした、ECの市場規模の推移と最新の動向について解説します。

  • コロナ禍を経てECの市場規模はどのように変化したのか
  • EC業界の最新の動向として押さえておきたいポイントはどこか

など、国内ECの最新の動きについて解説します。

最新の国内ECの市場規模は?

過去10年右肩上がりで推移してきた国内ECの市場規模ですが、経済産業省が発表した「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」では、はじめて前年度を下回る結果となりました。これはコロナ禍により市場の冷え込みや、旅行や食品といったサービス分野が大きな痛手を受けたことが影響しています。

一方で、市場規模は減少したものの、市場におけるオンラインショッピングの割合を意味するEC化率は依然として堅調に推移しています。

では、詳細な市場規模の動向を、BtoC、BtoB、CtoCそれぞれの取引形態別に見ていきましょう。

BtoCのEC市場規模は19.3兆円

BtoC EC 市場規模

2020年、国内BtoC-EC向けの市場規模は19.3兆円で、前年比で0.43%のマイナスとなりました。これは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛や緊急事態宣言による店舗・施設の休業が影響したもので、とくにサービス分野は大きな痛手を受けています。

商材2019年2020年前年比
物販系 10兆515億円 12兆2,333億円 +21.71%
サービス系 7兆1,672億円 4兆5,832億円 -36.05%
デジタル系 2兆1,422億円 2兆4,614億円 +14.90%

上記は商材別の市場規模を前年と比較した表です。これを見るとサービス系分野は前年比36.05%の大幅なマイナスを記録しており、コロナ禍の影響が甚大だったと見て取れます。

しかし物販系とデジタル系は巣ごもり消費の追い風を受けて、14%~21%の伸長を記録。この動きを証明するように、BtoC‐ECのEC化率は8.08%で前年比1.32ポイント増となり、過去最高を記録しました。

BtoBのEC市場規模は334.9兆円

次に、BtoB-ECの市場規模を見ていきましょう。

BtoC EC 市場規模

国内BtoB-ECの市場規模は334.9兆円。こちらも前年の353.0兆円から5.1%の減少となりました。BtoBにおいてもコロナ禍の影響で市場規模が減少。サービス系分野だけでなく、越境ECに取り組んでいた企業は、サプライチェーンの混乱から資材調達がままならないといった課題も噴出しました。

一方でBtoC同様EC化率に注目すると、33.5%で1.8ポイントの増加を記録。過去10年はEC化率が右肩上がりで推移しており、ECの成長が鈍化する傾向は見られません。

CtoCのEC市場規模は1.9兆円

最後にCtoC-ECの市場規模を見てみましょう。

2019 年 2020 年 伸び率
1兆7,407億円 1兆9,586億円 12.5%

2020年のCtoCのEC市場規模は1兆9,586億円。これは前年の1兆7,407億円から12.5ポイントの大幅増で、個人間取引が大きく成長しているといえます。

メルカリをはじめ手軽に利用できるプラットフォームが普及した他、コロナ禍による巣ごもり商品や在宅ワークの増加で、自宅で要らないものを処分しようという動きが増えたことも市場を後押ししました。

EC市場の最新の動向は?気になる5つのポイントを解説

ここまで国内ECの市場規模をご紹介しました。ここからはEC市場の最新の動向を5つのポイントから見ていきましょう。

1.コロナ禍で一時的に市場が停滞も回復傾向に

コロナ禍で一時的な市場の停滞が見られたECですが、現在は回復傾向にあります。これは社会がコロナ禍での生活をある程度受け入れ始めたことで、経済と感染拡大を両立する動きにシフトしたためです。

実店舗での購入も回復傾向にありますが、コロナ禍でECを利用するようになったユーザーが増加した点も見逃せないポイント。これまで潜在顧客の獲得には大きなコストがかかっていましたが、コロナ禍による巣ごもり商品が、こうしたユーザー層の掘り起こしに繋がりました。

2.サプライチェーンの混乱や原油高が続く

一方で、コロナ禍の影響がまだ顕著なのが越境ECです。サプライチェーンの混乱は続いており、部品や資材の調達コストが上がり影響を与えています。

また、ここにきて懸念が高まっているのが、ロシアによるウクライナへの侵攻。すでに原油高や海外店舗の撤退といった影響が出ており、今後EC業界へ影響が波及することが考えられます。

3.D2Cブランドの台頭

近年のECビジネスを語る上で、D2Cの存在は無視できないものでしょう。

メーカーが商品の製造から販売までを自社で担うビジネスモデルで、ECを軸にデジタル技術の活用やSNSを使った世界観の訴求など、ECのニュースタンダードになりうる存在として注目されています。

D2Cは自社ですべての工程を担うため、外注コストを抑えることができ、従来よりも高い利益率を確保できます。また、自社で自由度の高い運営ができる点もメリットです。ShopifyなどのECカートをはじめ、自社のオペレーションを手軽に代行してくれるサービスが普及したことも、D2Cブームを考察する際のポイントでしょう。

4.パーソナライズ化や体験型サービスが人気

パーソナライズ化や体験型サービスが人気を集めているのも、近年のECの特徴です。

商品をただ購入するのではなく、自分しか体験できないサービスや商品を購入することに価値が置かれるようになりました。個人に最適化するパーソナライズ化や、体験型サービスはこうしたニーズに応えるもので、ECでも積極的に取り組む企業が増えています。

5.脱モールの動きが加速

Amazonや楽天といったモール型ECから離れ、自社でECを運営する「脱モール」も近年のトレンドです。

ShopifyやBASE、STORESといった手軽にECを構築できるサービスが普及したことで、手数料の高いモールではなく自社でECを運営する企業が増えています。とくにShopifyの勢いは国内でも顕著で、EC構築を検討する際は一度候補に挙げておくとよいでしょう。

まとめ

コロナ禍ではサービス系分野を中心にやや市場規模が減少したEC業界ですが、EC化率は依然として高い水準で成長しています。今後はEC化率の上昇に伴い市場規模が回復し、コロナ禍を経てEC市場は新たなフェーズに入ると予想されます。

一方で、サプライチェーンの混乱や原油高が売上に影響を与えるなど、国際経済の動きがどこまで国内ECに波及するのかは注視が必要です。こうした状況を受け、D2Cをはじめより柔軟な運営体制や利益を目指す事業者が増えることも予想されます。