EC向けクラウド型サービス┃人気3社の特徴を比較
2019.08.02ECサイトのプラットフォームをクラウド上に置くことで、柔軟なサービスに対応しているEC構築向けの「クラウド型」サービス。
アップデートの頻度やコストの抑制など、事業者にとってメリットの多いサービスですが、今回は人気EC向けクラウド型サービスの中から3つをピックアップ。
各社の概要やサービスの特徴、導入事例を見ていきながら、3社を比較していきたいと思います。クラウド型で迷っている方は、ぜひサービス選びの参考にしてください。
目次
クラウド型サービスとは?
EC構築向けのクラウド型サービスとは、クラウド上にあるプラットフォームに、ネットワークを使ってアクセスする仕組みです。
サービスはパッケージ型とASP型の中間に位置し、ASPよりもカスタマイズ性が高く、パッケージ型よりもコストを抑えられるといったメリットがあります。近年のEC構築では、トレンドとも呼べるサービスで今後もさらに人気を集めて行くでしょう。
クラウド型サービスの3つの特徴
クラウド型は、近年EC業界でも人気を集める構築方法の1つですが、大きく3つの特徴があります。
1つは、クラウド上にサービスが存在するということ。パッケージ型などでは、自社でサービスを導入し、管理運営を行うため事業者の負担が大きくなります。その点クラウド型なら、ネットワークを利用してアクセスするだけでサービスの管理運営ができるため、誰でも手軽にサイトの構築を行うことが可能です。
2つ目は、常に最新の状態にアップデートされているということ。これはクラウド型サービスの最大のメリットで、ネットワーク上に存在するクラウドという特性を活かして、最新の機能やセキュリティ体制に対応したサービスを利用することが可能です。アップデートはサービス会社側が行うことから、事業者は自社に必要な機能やサービスを簡単に使用することができます。
3つ目は、導入や管理運営にかかるランニングコストを抑えることができること。パッケージ型では、初期費用が1,000万を超えるというケースも多く見られます。また、新たな機能を追加するための開発費用や、セキュリティ対策にも予算を割かなければなりません。その点クラウド型なら、初期費用も数百万程度に抑えることができ、クラウド上でのアップデートが基本なので、ランニングコストを抑えることが可能です。
人気のEC向けクラウドサービス3選
EC構築向けのクラウド型サービスは数多くリリースされていますが、今回はその中でもとくに人気の高い3つのサービスをピックアップしました。
- shopify(ショッピファイ)
- ebisumart(エビスマート)
- ecbeing (イーシービーイング):メルカート
さっそく各社の概要や特徴を見ていきましょう。
shopify(ショッピファイ)
- 機能・デザイン両面での高いカスタマイズ性
- 直感的な運営が行える優れた操作性
まずご紹介するのが、カナダのオタワに本社を構える世界的クラウドECサービス「shopify(ショッピファイ)」です。
ショッピファイは前身となるサービスが2004年に設立すると、2006年に現在の「shopify」としてサービスをスタート。瞬く間に成長を遂げた同サービスは、2015年にはニューヨークとトロントに上場を果たすまでに大躍進を遂げました。
世界175か国でサービスが利用され、構築店舗数は80万。アクティブユーザーは100万ユーザーを数えます。また、クラウド型サービスとしては業界初となる10億ドル(約1,080億円)を達成するなど、世界最高峰のクラウド型ECプラットフォームと言っても過言ではないでしょう。
サービスは2,500種類以上のアプリや、100種類以上のデザインテンプレートを使った高いカスタマイズ性が特徴。直感的に管理運営を行える機能性にも優れており、誰でも簡単に本格的なEC運営が可能となります。
2017年に日本法人を設立すると、わずか1年で店舗数は4倍、流通総額は2倍に達しています。クラウド型サービスとして、国内市場を席巻する日も、すぐそこまで来ているでしょう。
ebisumart(エビスマート)
- 最新のサービスを提供する頻繁なアップデート
- 高い拡張性
国内で2年連続シェアNo.1に輝くクラウドサービスが「エビスマート(ebisumart)」です。
2004年に前身サービスをスタートし、2007年に現在の「エビスマート」を提供開始。2010年からはSaaS(サース:クラウド型サービスの形態)へとサービスを一新し、大きく成長を遂げます。
2017年からは2年連続国内シェアNO.1。導入サイトは500を数えるなど、日本業界で確固たる地位を築いています。
エビスマートの特徴は、年間190回を超えるアップデート頻度。ほぼ2日に1回はサービスのアップデートが行われ、最新の機能の追加やセキュリティ対策が施されています。ECでは業界のトレンドをいち早く掴み、自社サイトに導入するスピーディーさが求められますが、エビスマートなら常時欲しい機能が整っている状態を維持できるでしょう。
また、自社の豊富な機能はもちろん、外部との連携サービスも充実。外部機能向けのAPI(プリケーションプログラミングインタフェース)は709個と、高い拡張性もサービスの魅力です。
ecbeing (イーシービーイング):メルカート
- クラウド型らしいアップデート
- ecbeingへの移行がスムーズ
パッケージ型サービスを展開するecbeing(イーシービーイング)。そのSaaS版のサービスと提供されているのが「メルカート」です。
メルカートは、2017年の2月からサービスがスタート。イーシービーイングの機能や品質を保ちながら、より手軽に導入できるサービスとして人気を集めています。パッケージ型では、大規模EC向けのサイト構築に対応できますが、初期費用やランニングコスト、開発からリリースまでの時間や手間がネックと言えます。
メルカートでは、クラウドでのサービス提供により、コストの抑制や開発時間の短縮を実現。小中規模ECや個人ECの構築を目指す事業者にも使いやすいサービスとなっています。
クラウド型らしくサービスのアップデートが頻繁に行われ、最新のサービスを利用することが可能。また、事業規模の拡大にあわせて、本家ecbeingへの移行もスムーズに行うことができるので、新たにサービスを探す手間が必要ありません。
各サービスの導入事例を紹介
ここからは実際に各サービスを使って構築したサイトの、導入事例を見ていきましょう。
shopify┃「Kurasu(クラス)」
shopifyの導入事例としてご紹介するのは、コーヒー関連の商品を手掛ける「Kurasu(クラス)」です。
クラスは、京都市内にスペシャリティコーヒーを提供する「Kurasu KYOTO(クラス 京都)」を出店していますが、スタートはshopifyを使って導入されたECサイトからでした。当初は海外向けに日本雑貨を幅広く販売していましたが、ニーズの高いコーヒー製品のみにシフト。
その後サブスクリプションモデルでのコーヒー豆の販売もスタートし、クラス京都へと至っています。
サイトは海外向けの越境ECに対応できるよう、日本語と英語表記に対応。また、サブスクモデルやオムニチャネルといったトレンドを組み込んだ手法を成功に導いたのも、ショッピファイの高品質なサービスが要因に挙げられるでしょう。
シンプルで分かりやすいサイトデザインは、ブランドイメージを高める効果も引き出しています。
ebisumart┃Anker(アンカー)
モバイルバッテリー市場で急成長を続ける「Anker(アンカー)」のECサイトは、ebisumart(エビスマート)のサービスを利用して作られています。
アンカーではそれまで、商品ブランドによって別々のページを設けて販売を行っていましたが、ユーザーの利便性やブランド価値を高めるために、サイトを1つに集約。これにより、ユーザーの回遊性も高まり、特定のブランドだけでなく複数の商品を購入する機会も増える、売上のアップに成功しました。
エビスマートのサービスを使って導入した、グループ初のポイント制会員プログラムも好評で、同社の成長を後押ししています。
ecbeing メルカート┃オッシュマンズ・ジャパン
ecbeing(イーシービーイング)の メルカートを使って構築されたのが、「オッシュマンズ・ジャパン」です。
同社はアメリカ・テキサス州ヒューストン創業のスポーツショップ。従来まではパッケージ型のサービスを利用していましたが、ランニングコストの増加や、サービスをフルに使いこなせないという課題を抱えていました。
そこでクラウド型サービスのメルカートを導入。ランニングコストを抑制できた点はもちろん、自動で行われるアップデートにより、サービスを最大限利用することが可能になりました。
白を基調としたシンプルなサイトは、スマホでの閲覧にも対応したレスポンシブデザイン。販促機能も活用するなど、売上の拡大に成功しています。
まとめ
今回は、EC向けクラウド型サービスの中から3社をピックアップしてご紹介しました。
3社を比較すると、もっとも勢いがあるのがshopify(ショッピファイ) でしょう。クラウド型としては業界初となる10億ドル(約1,080億円)の売上を達成。2017年の日本法人立ち上げからは、国内でも飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けています。
ebisumart(エビスマート)は、国内シェア2年連続1位という実績と、年間190回以上を数えるアップデートで、ハイクオリティなサービスを提供しています。
また、ecbeing (イーシービーイング)のメルカートは、パッケージ型で蓄積してきたEC運営のノウハウをしっかり継承しつつ、より手軽なサービス導入を可能としました。
クラウド型は、今後のEC構築市場において、より一層重要性が高まることが予想されています。各サービスの特徴を把握しつつ、自社にとってベストとなるサービスを選んでみましょう。