SEOと文字数の関係性をもう一度考えてみる
2022.12.21SEOの分野ではしばしば、コンテンツの文字数が議論の対象となっています。「文字数が多いほうが評価が上がる」という意見がある一方で、「文字数とSEOの評価は関係がない」という真逆の意見が聞かれるなど、双方の意見は大きくかけ離れています。
では実際にSEOと文字数の関係性はどのようになっているのでしょうか。今回は文字数に関するGoogleの公式見解と、なぜこのような議論が巻き起こるのかについて解説します。
目次
GoogleはSEOと文字数の関係性を否定している
結論から述べると、文字数が「だけ」が多いコンテンツの評価が上がるというのは間違いです。
Google社のWebマスタートレンドアナリストとして有名なジョン・ミューラー氏は、ユーザーからのコンテンツの文字数に関する質問に対して次のように回答しています。
From our point of view the number of words on a page is not a quality factor, not a ranking factor.(私たちの見解では、ページ上の単語数は品質要因でもランキング要因でもありません)
https://www.searchenginejournal.com/word-count-not-a-quality-factor/397288/#close
So just blindly adding more and more text to a page doesn’t make it better.
(したがって、やみくもにページにテキストをどんどん追加しても、ページは改善されません)
ミューラー氏はこのように述べ、意味もなく文字数を増やしてもコンテンツの評価は改善されないと語っています。Google社のスタッフの中でも著名なミューラー氏の発言は信憑性が高く、Googleの公式見解と近しい発言と受け取ることができます。
また文字数に関する言及では先頃実施されたヘルプフルコンテンツアップデートでも、Googleの公式ブログで次のような言及がなされています。
Google が優先する文字数があるとどこかで聞いたか読んだかしたために、特定の文字数になるように記事を書いていますか(そのような設定は存在しません)。
https://developers.google.com/search/blog/2022/08/helpful-content-update?hl=ja
上記の質問にYESと回答する場合は、ユーザーファーストではなく検索エンジンファーストのコンテンツとなるため、ヘルプフルコンテンツアップデートでは評価を下げる可能性があると述べています。
このようにGoogleでは「文字数が多いとSEOの評価が上がる」といった発言はしておらず、文字数を意味もなく増やすコンテンツは改善の余地があると説明しています。
検索上位のコンテンツは文字数が多いという疑問
さて、Googleが公式に「文字数の多さとSEOの評価は関係がない」と述べているにも関わらず、未だに文字数に関する議論は繰り返されています。その理由に、検索上位サイトの文字数が多い傾向にある点が挙げられます。
これはGoogleの見解と矛盾するように感じますが、ここで注目したいのが「情報の網羅性」です。
Googleは情報の網羅性を評価するため結果として文字数が増える
Googleではコンテンツを評価する基準として、「情報の有益性」と「情報の網羅性」を挙げています。情報の有益性とはユーザーにとって役に立つ、利便性の高い情報であるという意味です。ユーザーの疑問に答えることができない無意味な情報は有益とは判断されません。
もう一つが「情報の網羅性」です。情報の網羅性とはキーワードに対して幅広い情報が網羅されているコンテンツを意味します。例えば“SEO”というビッグキーワードで検索した場合、このユーザーは
- SEOという言葉の意味を調べたいのか
- SEOの具体的な施策を知りたいのか
- SEOに関する事例を検索したいのか
といった具合に、どんなニーズを持っているのか意図を探るのが難しくなります。そこでGoogleはこうしたキーワードに対して幅広い情報を網羅したコンテンツを用意することで、可能な限りユーザーの疑問に答えることを目指しています。これが情報の網羅性です。
情報を網羅するコンテンツは、掲載する情報量が多くなるため結果として文字数も多くなります。つまり「検索上位サイトの文字数が多い」のではなく、「情報が網羅された結果文字数が多い」コンテンツが評価されるという見方が、正しい認識です。
キーワードによって文字数は変化する
Googleの検索エンジンは、壮大なQ&Aシステムに例えられます。ユーザーは疑問やニーズを検索エンジンで検索し、それに対して最適な回答を上位に表示させるのが検索エンジンの仕組みです。
例えば、「神戸 明日 天気」というキーワードで検索された場合、最適な回答は神戸地域の明日の天気情報です。極端な例ですが、「晴れ」という2文字でもユーザーにとっては有益な情報と言えます。つまりキーワードによって最適な文字数は変化する訳です。
この仕組みを押さえておかないと、「神戸 明日 天気」というキーワードにも関わらず文字数を意識するあまり「そもそも神戸地域の天気の歴史は~。海と山が近い地形の特徴が~」といった、ユーザーのニーズとかけ離れたコンテンツを作ってしまうことになります。
かつてのSEOでは文字数の多さが上位に表示つながる時代がありましたが、そうしたアルゴリズムはアップデートによりすでに過去のものとなりました。
まとめ
今回はSEOと文字数の関係性について解説しました。
Googleでは文字数だけがSEOの評価につながると述べておらず、あくまでもユーザーにとって有益なコンテンツを評価します。ただ、ユーザーの疑問や悩みを解消するために文字数が増加することは否定していません。きちんと情報を説明した結果、文字数が多いコンテンツが上位表示されているのは、「ユーザーへの疑問や悩みを解消している」とGoogleに認識されているためです。
この関係性をきちんと理解しておかないと、闇雲に文字数だけを増やすコンテンツを制作する落とし穴にはまってしまいます。Googleがどんなコンテンツを評価するのかをしっかり把握して上で、質の高いコンテンツを制作しましょう。