モノからコトへって何?いまさら聞けない消費行動の変化について解説

EcWork編集部

モノからコトへって何?いまさら聞けない消費行動の変化について解説

EcWork編集部

モノからコトヘという言葉がマーケティングの世界で頻繁に使われるようになりました。しかし「いま一つ意味を理解できていない」「そもそもなぜモノからコトに消費が移ったの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「モノからコトヘ」とは何かについて解説します。消費行動の変化が起こった背景についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

モノからコトヘとは?

「モノからコトヘ」とは2000年代以降に顕著になった消費行動の変化を意味します。これまでモノ(商品やサービス)を所有することに価値を置いていた消費から、商品やサービスを購入することで得られるコト(体験や経験)に価値を持つようになりました。こうしたモノ消費からコト消費への変化を「モノからコトへ」と呼びます。

では、モノ消費とコト消費の特徴について詳しく見ていきましょう。

モノ消費

モノ消費とは、物を所有することに価値を見出す消費行動です。高度経済成長期やバブル全盛の時代はモノ消費が活発で、どのようなアイテムを持っているのかが大きな価値を持っていました。

例えば、家電製品や車、家、時計などはモノ消費に含まれます。もちろん現代でもこうした消費行動が失われた訳ではありません。生活をする上で物を購入する場面は多く、ブランド商品のような高級アイテムの価値は未だに大きいといえます。しかし価値観の変化により、過度に物を欲するような消費行動がかつての勢いを失ったのは紛れもない事実でしょう。

コト消費

コト消費とは、商品やサービスを購入することで得られる体験や経験に価値を置く消費行動です。アクティビティやイベント、伝統文化の体験などはコト消費に含まれます。

体験に価値を見出す文化が広がったのは2000年代以降です。社会が成熟し所有欲が低下するのに反比例して、体験や経験といった無形の存在に価値を見出すようになりました。インターネットが普及したことで手軽に情報やコンテンツを手に入れられるようになった点も、コト消費が求められた背景といえます。

なぜモノからコトへ消費が変化したのか?

ではなぜモノからコトへと消費行動が変化していったのでしょうか。理由は大きく3つ挙げられます。

  1. 市場が成熟し物の所有に価値を置かなくなった
  2. インバウンドの増加でコト消費の需要が増えた
  3. 企業が顧客関係を中長期的なスパンで考えはじめた

1.市場が成熟し物の所有に価値を置かなくなった

1つ目は市場が成熟し物の所有に価値を置かなくなったことです。社会が豊かになるにつれて、人々が物を所有することに価値を置かなくなっていきました。かつては「よりよい商品を」「より新しい商品を」追い求めていましたが、物質的に恵まれた時代が訪れたことでこうした消費欲求は満たされていきました。

また販売される商品のコモディティ化が進んだのも、モノからコトへを加速させた背景にあります。携帯電話を例に挙げると、かつては電話機能だけだったツールにメールやWeb検索、カメラやGPSといった新たな機能が次々と追加されていきました。新商品が発売される度に、携帯を買い替えることが消費者の楽しみだったといえます。しかしスマホが登場し数年が経つと、目新しい機能は網羅され全ての機能を使いこなせないほど進化を遂げました。

このように購入する商品のコモディティ化が進むにつれて消費者も「必要な機能が備わっていればOK」という思考が強くなっていきました。その結果新商品に飛びつくようなモノ消費が停滞し、体験や経験に価値を置くコト消費が注目されるようになりました。

2.インバウンドの増加でコト消費の需要が増えた

2つ目はインバウンドの増加でコト消費の需要が増えたためです。コロナ禍の現在は市場が冷え込んでいますが、海外からの訪日客を相手にしたインバウンド市場は巨大なマーケットの一つです。とくに日本文化を体験するサービスへの需要は高く、これに比例してコト消費を狙った商品やサービスが一気に増加しました。

インバウンドによってコト消費に市場価値があると気付けた点も、大きなポイントだったといえるでしょう。

3.企業が顧客関係を中長期的なスパンで考えはじめた

3つ目は企業が顧客関係を中長期的なスパンで考えはじめたこと。モノ消費全盛の時代には、いかに商品を販売するかに価値が置かれ、商品が売れた段階で顧客との関係性も途絶える戦略が一般的でした。しかし少子高齢化や人口減少が進む日本では、このまま新規顧客だけを集客する戦略では頭打ちになってしまいます。

そこで企業では顧客との関係を中長期的なものにすることに注目。リピーター化やファン化を促す戦略を採用するようになりました。こうした戦略を進める上で体験型のサービスは大きな強みとなり、コト消費を後押しする結果となりました。

まとめ

今回は「モノからコトヘ」の概要について解説しました。モノからコトヘとは、2000年代以降に顕著になった消費行動の変化を意味し、これまでモノ(商品やサービス)を所有することに価値を置いていた消費から、商品やサービスを購入することで得られるコト(体験や経験)に価値を持つようになった変化を意味します。

社会が物質的に豊かになるにつれ、消費者の所有欲は満たされた状態が続きました。また商品の機能性もコモディティ化が進み、モノではなく体験や経験といったコトへ消費行動が変化していきました。

EC事業においてもこの流れは顕著で、ただ商品を売るだけでなく、どのような付加価値を提供できるかが問われています。自社の製品を購入することで消費者にどんな価値を提供できるのか、いま一度見つめ直すことで消費者のニーズを満たしていきましょう。