出店前に知っておきたい!モール型ECのメリットとデメリット

EcWork編集部

出店前に知っておきたい!モール型ECのメリットとデメリット

EcWork編集部

豊富な品揃えと高い利便性で、通販ショッピングの中心を担っているモール型ECサービス。何か欲しいものがあれば、まずはモール型ECで検索するというユーザーも多く、出店を目指すEC事業者にも魅力的なフィールドとなっています。

高い集客力や知名度など多くのメリットを持つモール型ECですが、一方で出店前に押さえておきたいデメリットもいくつか存在します。

そこで今回は、モール型ECサービスのメリットとデメリットについて解説。強みと弱みを把握することで、サービスの全体像をしっかり押さえていきましょう。

モール型ECサービスとは?

モール型ECサービスとは、複数の店舗が1つのサイトに集まってサービスを提供する、ECのビジネス手法です。ショッピングモール型と呼ばれることもあり、母体となるサイトに数多くの店舗が出店することで、豊富な品揃えと高い利便性を提供することができます。

また、母体となるモールの知名度を生かした集客力は最大の魅力で、モール型への出店を機に爆発的に売上を伸ばした事例も見られるなど、EC事業者からの注目度も高いサービスと言えます。

国内では楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングが三強を形成

国内のモール型サービスでは、

の3つが、流通総額において三強を形成しています。

EC 流通総額

上記は、3社の流通総額と全体に占めるシェアを一覧にしたものです(2018年)。

1位は楽天の3兆4,310億円で、シェアは36.9%。2位はAmazonの2兆7,513億円で、シェアは29.6%となっています。3位はYahoo!ショッピングで、シェアは7.9%です。

特筆すべきは楽天とAmazonのシェア。両社だけで国内シェアの半数以上を占めている計算になります。Yahoo!ショッピングはこの数字だけではやや見劣りしますが、4位以下には大きく差をつけており、やはり国内では抜きん出た存在と呼べるでしょう。

参考データ:平成30年電子商取引に関する市場調査 (経済産業省)

モール型ECサービスの3つのメリット

メリット

ここからは、モール型ECサービスのメリットとデメリットについてご紹介します。

まずは3つのメリットから見ていきましょう。

メリット1.知名度を生かした圧倒的な集客力

1つ目のメリットは、モールの知名度を生かした圧倒的な集客力です。

ECサイトの運営において、事業者がまず直面するハードルとしてサイトへの集客が挙げられます。いくら高品質な商品であっても、ユーザーに存在を知られなければ、売上に繋がらないのが通販の世界。そのため、事業者はWeb広告などを利用して顧客の獲得を目指しますが、ある程度の時間やコストがかかってしまいます。

その点モール型ECでは、すでに高い知名度をほこっていることから、集客面において大きなアドバンテージを得ることができます。商品名は知られていなくても、「楽天やAmazonで販売している」という信頼感を得られることで、売上に繋がりやすいのもメリットの1つでしょう。

また、大手モールではCMやWeb広告をはじめ、セールやキャンペーンを積極的に展開。こうしたアプローチを上手に利用することで、さらなる顧客獲得に繋げることが可能です。

メリット2.出店の手間や労力を軽減できる

2つ目は、ネットショップを出店する際の手間や労力が軽減できるということ。

モール型ECでは、商品を用意してサービスへの登録をすませれば、すぐにでもEC事業をスタートできます。これが自社サイトを構築するとなると、サイトのデザインや機能、決済やコンテンツ作成など、出店までに多くの手間がかかってしまいます。

その分、初期費用やランニングコストもかさむため、事業規模が小さい運営者にとっては大きな負担となってしまうでしょう。こうした手間や労力を軽減できる点は、モール型ECのメリットの1つです。

メリット3.サイト運営の負担を少なくできる

出店だけでなく、サイトを運営する際の負担を少なくできるのも、モール型ECサービスのメリット1つです。

モール型ECでは、サービス側がショップサイトや管理機能など、多くのプラットフォームを用意してくれています。事業者はこの仕組みを利用して運営を行うことになるため、サイト運営の負担を大きく軽減できるでしょう。

例えば、Amazonが手掛ける「FBA(フィルメントby Amazon)」は、商品の保管から注文処理、配送、返品までをすべてAmazonが代行してくれるサービスです。これを利用するば、通販業務の大半を手放すことができ、それ以外の業務に多くのリソースを割くことができるでしょう。

モール型ECサービスの3つのデメリット

デメリット

次に、モール型ECサービスのデメリットについて解説していきます。メリットがフォーカスされやすいモール型ですが、事業者が懸念しておくべきポイントはどこにあるでしょうか?

デメリット1.自社の独自性を出しづらい

1つ目のデメリットは、自社サイトの独自性を出しづらいということ。モール型ECのショップページや商品ページを見るとよく分かりますが、デザインや機能は基本的にすべてのページで統一されています。

そのため、自社のブランドを強化することが難しく、独自性を出しづらい設計となっています。

また、あくまでもモール型ECでは、母体となるサービスが「主」となるため、自社のショップ名や商品名が埋もれてしまう恐れがあります。ユーザーからすれば、「Amazonで買った、楽天で買った」というイメージが強いため、ブランディングを目指すには適していないと言えるでしょう。

こうした点では、独自サイトの構築サービスの方が優れています。

2.機能に制約があるなど自由度が低い

2つ目は、機能などの制約があるため、自由度が低いということ。

モール型ECでは、利用できる機能や決済方法などに関してサービス側に大きく依存しています。そのため、出店したサービスが対応していない決済や外部機能などを導入することはできません。

例えば、楽天ポイントのサービスを導入したいけれど、Yahoo!ショッピングではTポイントがメインなため利用できない、といったケースが考えられるでしょう。

このように、サイトの自由度を求める事業者にとっては制約が多く、やや不自由なサイト運営を迫られる可能性があります。これも、モール型ECを検討する際は頭に入れておきたいデメリットの1つでしょう。

3.購入ロイヤリティやテナント料が発生する

3つ目は、サービスを利用する際に購入ロイヤリティやテナント料が発生するということ。

モール型ECでは、販売した商品の〇%といった具合で、購入ロイヤリティが発生します。これは自社サイトで販売するよりも利益率が下がることを意味し、運営者にとっては無視できない項目です。

もちろん、集客やシステム構築にかかるコストが抑えられることから、トータルではメリットが大きいと捉えることもできますが、判断が分かれるポイントであることは間違いありません。

自社でサイトを運営するノウハウがあるなら、はじめからオリジナルサイトを構築して販売を行うのも、将来的にはプラスとなる選択と呼べるでしょう。

モール型ECがおすすめなのはこんな人!

では、ここまでご紹介したメリットとデメリットを参考にしながら、モール型ECに出店するのがおすすめな人を見ていくことにしましょう。

1.集客をメインに考えたい方

集客をメインに考えているなら、モール型ECはぴったりです。知名度も高く抜群の集客力をほこるモール型なら、顧客獲得の面で大きなアドバンテージを得ることができます。

とくに、これまでEC運営の実績がなく、広告運用や集客戦略に自信がない方にとってはメリットが大きいと言えるでしょう。

2.手軽にショップをオープンしたい

手間をかけることなく、手軽にショップをオープンしたいという方も、モール型ECサービスがおすすめです。モール型では、専門的な知識も必要なく、商品を用意するだけですぐにでもショップをオープンできます。

自社サイトを構築する手間やコストも必要ないので、個人や小規模からでも事業をスタートできるでしょう。

3.商品のみを販売してみたい

ショップ運営に比重を置かず、商品のみを販売してみたいという方にとっても、モール型サービスは適しています。

例えばAmazonは、商品単位でモールを運営している「パークプレイス型」サービスと呼ばれ、店舗単位ではなく商品単位で販売を行うことができます。近年はフリマアプリなどの台頭もあり個人でも商品を販売しやすくなっていますが、手数料の高さなどがネックとなっています。

こうしたネックを解消する意味でも、モール型ECの利用はおすすめと言えるでしょう。

まとめ

今回は、複数の店舗が1つのサイトに集まってサービス提供する、モール型ECサービスのメリットとデメリットについてご紹介しまいた。

モール型ECの最大のメリットは、知名度を生かした抜群の集客力でしょう。すでにサービスとして確固たる地位を築いていることから、信頼度の高さという意味でもアドバンテージがあります。また、出品や運営に関しての手間が少なく、手軽にネットショップを出店できるという点も、メリットの1つです。

一方で、プラットフォームが定められていることから、独自性を出しづらい点はデメリットと言えます。デザインや機能性の自由度に制限があることも、導入前には検討しておく必要があるでしょう。加えて、商品が購入された場合の購入ロイヤリティが発生するため、利益率が下がってしまう点も覚えておきたい項目です。