ECモール向けに施行される取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法とは?

EcWork編集部

ECモール向けに施行される取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法とは?

EcWork編集部

ECモールの運営者に対して消費者の保護を義務付ける「取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法」が2022年5月に施行されます。

同法はBtoC向けのECモールを対象としており、現状では罰則規定のない努力義務となっています。しかし、消費者庁は今後の罰則規定の適用を視野に入れていると述べており、モール運営者は同法の内容をきちんと把握しておく必要があります。

そこで今回は、取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法の概要について解説します。

取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法とは?

取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法

取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法とは、BtoC向けのECモールを対象に消費者の保護を義務付けた新法です。2022年5月から施行され、モール運営者には消費者保護に対して一層の企業努力が求められることになります。

そもそもDPF(デジタルプラットフォーム)とは、「コンピュータ画面上で消費者が通信販売の申込みができる機能を、販売業者等に有償で提供するもの」と定義されています。分かりやすく言い換えると、BtoC向けのECモールが対象とされ、Amazonや楽天といった大手モールだけでなく、事業規模を問わずすべてECモールが対象となります。

新法は消費者保護の強化を目的として施行される

取引DPF消費者保護法が新たに施行される目的は、消費者の保護をより強化することが狙いです。

例えば、ECモールで商品を購入した消費者が、購入金額や契約期間で疑問を感じ、モール側に連絡を取らなければならないケースがあります。しかし、いざ該当のECモールに連絡をしても対応してくれない、そもそも企業の表示情報が嘘だった、といったトラブルが発生するケースも少なくありません。

こうしたケースでは消費者が泣き寝入りすることが多く、消費者を守るためのルール整備が急務でした。

取引DPF消費者保護法はこうした理由を背景に施行された法律で、モール運営者と消費者がスムーズ連絡を取れる環境を整備し、トラブルの発生や消費者保護の強化を目指しています。

取引DPF消費者保護法で求められる3つの努力義務

では、具体的に取引DPF消費者保護法では、どのような努力義務が設けられているでしょうか?

1.消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにする

1つ目は、消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにすること。

メールアドレスの公開やメッセージフォームの設置など、ユーザーがモール運営者と円滑な連絡を取れる体制づくりが必要です。

2.消費者から苦情の申出を受けた場合に調査等必要と認める措置を講じる

2つ目は、消費者から苦情の申出を受けた場合に調査等必要と認める措置を講じること。

ユーザーからブランドや商品、サイトに対して苦情があった場合、適切な調査や必要な措置を講じる必要があります。場合によっては、改善要請や出店停止など段階的な措置が発生する可能性があります。

3.所在に関する情報等の提供を求めること

3つ目は、所在に関する情報等の提供を求めること。

登記事項証明書など公的書類の提出を求めること、銀行口座名義との一致を確認することなど、モール運営者の所在がつねにオープンになっている状態、または最新の状態になっている必要があります。

まとめ│現状は努力義務だが今後の罰則規定も視野

今回は2022年5月に施行される取引DPF(デジタルプラットフォーム)消費者保護法の概要について解説しました。

同法では消費者保護の強化を目的に、BtoC向けのECモールを対象として次の3つの努力義務が設けられています。

  • 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにする
  • 消費者から苦情の申出を受けた場合に調査等必要と認める措置を講じる
  • 所在に関する情報等の提供を求めること

現状では努力義務で罰金や営業停止といった罰則規定は設けられていませんが、日本経済新聞の取材に対して消費者庁は

「法律は3年後に見直す。さらなる規制強化が必要かどうかは、新法の効果を見極めてから検討したい」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD18AWE0Y2A310C2000000/?unlock=1

と述べるなど、将来的な罰則規定も視野に入れての施行です。

すでに多くのモール運営者がDPF新法に対しての対応策を講じていますが、未対応のECモールへの監視の目は一層厳しくなります。将来的な罰則規定も見据えて、早急な改善に取り組んでおきましょう。