ゼロクリックサーチとは?コンテンツがクリックされない時代への4つの対策
2022.02.07近年ECマーケティングにおいてしばしば耳にするのが、ゼロクリックサーチという言葉です。
ゼロクリックサーチとは、ユーザーが検索エンジンを使って検索をする際に、表示された検索結果ページの項目だけで疑問が解決され、コンテンツがクリックされない現象を意味します。
これまでSEOを使ってコンテンツを上位表示されていれば、そこから集客や購入に繋がっていましたが、そもそもコンテンツをクリックされないとなればマーケティング戦略そのものを見直す必要が出てきます。
今回は、ゼロクリックサーチの概要とECマーケティングへの影響、どのような対策が考えられるのかについて解説します。
目次
ゼロクリックサーチとは?
ゼロクリックサーチとは、ユーザーが検索エンジンを使って検索を行った際に、表示された検索結果ページの項目だけで疑問が解消され、コンテンツがクリックされない現象を意味します。
例えば「神戸 天気」という項目で検索します。すると上記の画像のように、神戸市の天気情報がすぐに表示されます。ユーザーはひと目で知りたい情報を入手できますが、一方で検索結果の1位に表示されたコンテンツはクリックされず、そのままページから離れてしまいます。
つまり、一度もクリックせずに情報を検索できる=ゼロクリックサーチが成り立つことになります。
ユーザーの利便性は向上するもマーケティング目線ではデメリットが大きい
ゼロクリックサーチはユーザーにとって知りたい情報を素早く入手できるため、利便性が高いといえます。
しかしECをはじめとしたWebマーケティングの視点から見ると、デメリットが大きいといえます。
まず、これまでSEOでは検索上位に表示されることが最優先事項とされてきました。上位ページはクリック率が高く、サイトの集客や購入に直結しやすかったためです。しかしゼロクリックサーチが広がり、コンテンツをクリックされないとなると、検索上位に表示される優位性が下がってしまいます。
また、SEOを入り口として集客に注力してきた事業者からすれば、これまでのマーケティング戦略そのものを見直す必要があり、その影響はさらに大きくなります。
加えて、今後はGoogleそのものが競合になってくる点もデメリットの一つです。例えば、「東京 ホテル」というキーワードで検索すると、検索結果より前にGoogleのおすすめするホテルが表示されてしまいます。
ユーザーはここから直接予約や問い合わせをすることができ、検索上位ページへのアクセスはより少なくなってしまいます。このおすすめ情報はGoogleに蓄積された膨大なデータやレビュー、宿泊料金などから表示されるため、自社でSEOに取り組む場合Googleそのものが競合となることになります。
ゼロクリックサーチへの4つの対策
直近のさまざまな調査ではすでに検索の50%以上がゼロクリックに該当し、今後ゼロクリックサーチはさらに拡大すると予想されています。
では、ECサイトを運営するマーケターはどのような対策を講じればよいのでしょうか?
1.強調スニペットへの表示を意識する
1つ目は、強調スニペットへの表示を意識するということ。
強調スニペットについて、Googleは次のように説明しています。
Google の検索結果では、標準の形式とは異なり、ページへのリンクより先にそのページの内容を記述したスニペットが表示されることがあります。このように表示された結果を「強調スニペット」と呼びます。
https://support.google.com/websearch/answer/9351707
強調スニペットは、ユーザーの探している情報が見つけやすくなると判断された場合に表示され、実際にリンクをクリックしたときの内容やページに関する説明を見ることができます。
https://support.google.com/websearch/answer/9351707
つまり、検索されたキーワードに対してGoogleがもっとも適切だと判断したテキストや画像が強調され表示される仕組みです。この強調スニペットに表示されると、視覚的な誘引性が強くなり、コンテンツをクリックされる割合が高くなります。
どのように強調スニペットを狙うかについて、Googleは次のように述べています。
強調スニペットは、ウェブ検索結果から作られます。Google では、あるページが特定の検索リクエストに対してハイライト表示すべきスニペットとして適しているかどうかを、自動システムで判断します。
強調スニペットは、ユーザーの探している情報が見つけやすくなると判断された場合に表示され、実際にリンクをクリックしたときの内容やページに関する説明を見ることができます。
SEOの上位検索と同様、明確な答えが提示されている訳ではありませんが、例えば、
- 「~とは」という見出しを設け検索意図に分かりやすく回答する
- 簡潔でスッキリとして文章で説明する
- 強調スニペットに表示される150文字以内での説明を意識する
- pタグやul/ol/liタグ、h1/h2/h3タグなど適切なHTMLタグを使用する
といった方法は強調スニペットに表示させるには効果的な手法です。
2.SEOだけに依存しない
2つ目は、SEOだけの集客に依存しないということ。
ゼロクリックサーチはユーザーにとって利便性が高いため、Googleは今後もこの方針を軸に置いたアルゴリズムを構築すると予想されます。SEOに取り組むことはこれまで同様重要ですが、過度に依存した戦略を採用するのはリスクが高いといえます。
例えば、SNSを活用した集客や顧客との関係性構築、動画メディアを利用したマーケティングやWeb広告の出稿など、打ち手を複数持っておくことが大切です。
違った手法を利用することで集客に繋げれば、結果としてサイトへの評価が高まりSEOにも好影響を及ぼします。
3.視覚的なアプローチや画像検索を意識する
3つ目は、視覚的なアプローチや画像検索を意識するということ。
ゼロクリックサーチの広がりは、インスタントな方法で情報を入手したいというユーザー心理が背景にあります。つまり、文章を「読む」という思考の前に、視覚的に「視る」という傾向が強くなっていることがうかがえます。
そこで今後は画像検索を意識したコンテンツの作成がポイントとなってくるでしょう。記事で何を説明しているのか、要約したスライドを挿入し、ユーザーが視覚的に情報を入手できる工夫をほどこしておきます。近年人気を集めるインフォグラフィックを活用する方法や、見出しで答えに辿り着けるようにする工夫も効果的でしょう。
また、画像検索向けに画像のタイトルやalt属性を指定しておくことも忘れないようにしてください。
4.連載などリピーターやファンに繋がるコンテンツを作成する
4つ目は、連載などコンテンツの内容を工夫することで、サイトへのリピーターやファンを増やすということ。
どうしても検索順位に依存したアプローチは、Googleのアルゴリズムの変更や、コンテンツにどれだけ時間を割けるかといった企業規模に影響されやすくなります。
例えば、サイト内で連載記事を掲載する方法や、「中の人」のキャラクターを際立たせ愛着を持ってもらいやすいコンテンツを作成するといった方法で、リピーターやファンを育成していきましょう。
こうしたユーザーはゼロクリックサーチや検索順位の動向に左右されず、継続的なアクセスに繋がるため、対策として非常に効果的です。
まとめ
ゼロクリックサーチとは、ユーザーが検索エンジンを使って検索を行った際に、表示された検索結果ページの項目だけで疑問が解消され、コンテンツがクリックされない現象を意味します。
これまでECサイトではSEOで上位表示されれば集客や購入に繋がっていましたが、ゼロクリックサーチが増えることでSEOの優位性が崩れ、マーケティング戦略そのものを見直す必要も出てきました。
ゼロクリックサーチへの対策には、
- 強調スニペットを意識する
- 集客をSEOだけに依存しない
- 視覚的なアプローチや画像検索の活用
- リピーターやファンの育成
といった方法が効果的です。とくにSEOだけに依存しないという項目は重要なポイントで、今後は総合格闘技のようにさまざまな戦略や施策をフルに活用することが求められていくでしょう。