出品もできる!Amazon(アマゾン)のモール型ECサービスの仕組みとは?
2019.08.24モール型ECサービスとして、世界にその名をとどろかせる「Amazon(アマゾン)」。
本社を構えるアメリカはもちろん、全世界にユーザーが存在し、日本でも通販ショッピングの定番として確固たる地位を築いています。
今回は、AmazonでのECビジネスを検討中の方に向けて、サービスの概要や特徴について詳しくご紹介。利用料金や成功事例なども交えながら、Amazonの全容に迫っていきましょう。
目次
Amazon出品サービスとは?
「Amazon」は1995年、アメリカを拠点にスタートしたモール型のECサイトサービスです。創業当初は書籍を中心に事業をスタートすると、徐々に取り扱い品目を拡大。現在では、日用品から専門品まで、Amazonで購入できないものがないと言われるほど、巨大なマーケットを構築しています。
日本では2000年からAmazon.co.jpとして国内事業を本格化。月間アクティブユーザーはデスクトップでは約 3,856万人、モバイルでは約1,734万人を数えるなど、国内トップクラスのユーザー数をほこります。
Amazonでは、法人はもちろん個人からでも出品できる「Amazon出品サービス」を展開。ECビジネスに乗り出したい事業者は、アカウントの取得と月額料金の支払いのみで、手軽にモール内で商品を販売することが可能です。
Amazonはマーケットプレイス型のサービス
モール型サービスのAmazonですが、より細かく分類すると「マーケットプレイス型」のサービスと位置付けることができます。
マーケットプレイス型とは、1つのサイトに出店企業を集め、商品のみを出品してもらう形態を言います。
一般的なモール型では、サイト内に企業それぞれのサイトを用意して、ショッピングモールにテナントを集めるようなイメージで運営されますが、Amazonは企業サイトを設けず、商品のみが掲載されるスタイル。ややローカルな例えですが、地域のスーパーや販売所で、生産者が商品のみを置いて販売するようなイメージです。
この仕組みを採用することで、事業者は商品さえ用意すればいつでも簡単にECビジネスをスタートすることができます。また、Amazon側としても、余計な手間や労力をかけることなく、自社モール内に膨大な商品を揃えることが可能となりました。
Amazon出品サービスの3つの特徴は?
ここからは、Amazon出品サービスの3つの特徴について見ていきましょう。
1.圧倒的な知名度を生かした集客力
1つ目の特徴は、Amazonの圧倒的な知名度を生かした、抜群の集客力を発揮できるということ。
Amazonといえば、知らない人はほとんどいない、圧倒的な知名度をほこっています。本拠地のアメリカでは、市場におけるユーザーの約4割~5割が同サービスを利用しており、アメリカ人の2人に1人はAmazonユーザーという計算になります。
日本国内でも月間5,000万人を超えるアクティブユーザーが訪れるなど、その存在感は年々強大化しており、EC事業ではこの知名度の高さから、集客に大きく貢献してくれるでしょう。
自社ブランドの知名度が乏しい状態でも、「Amazonの商品」という信頼度をユーザーに与えることができるため、売上を後押ししてくれます。
2.初期費用や固定費が安い
ECサイトの出店を考えるなら、初期費用や月額の利用料といった固定費の負担は気になるところです。
Amazon出品サービスでは初期費用は無料。月額料金も4,900円と手頃な価格に設定されており、ランニングコストを抑えることができます。これ以外には成果報酬として、商品の種類ごとに販売手数料が発生しますが、あくまでもインセンティブ契約なので安心してサービスを利用することができます。
例えば、初期コストやランニングコストをできる限り抑えたい方や、自社サイトを構築するまでにいち早く販売をスタートしておきたいという方にはぴったりのサービスと呼べるでしょう。
3.FBAサービスで商品の保管から発送業務まで代行
Amazon出品サービスでは、FBAと呼ばれるサービスを利用することができます。
FBAとは「フィルメントby Amazon」の略称で、事業者はAmazonの物流拠点に在庫商品を保管。Amazonは、商品の保管から注文処理、配送、返品までを全て代行してくれるので、業務負担を大幅に軽減することができます。
事業者は自社で在庫管理のための倉庫を用意する必要がなく、配送や返品といった作業に忙殺される必要がありません。
サービスは有料で細かく料金設定がされていますが、自社のオペレーションを効率化し、Amazonのハイスピードな受注体制を取り入れられるとなれば、メリットが大きく上回ると言えるでしょう。
サービスの利用料金を解説
それでは、Amazon出品サービスを利用する際の利用料金について、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。あわせて、FBAの料金設定についても解説していきます。
【Amazon出品サービスの料金 】
まずAmazon出品サービスの料金から見ていきましょう。
出品サービスには大口出品と小口出品の2種類を選ぶことができます。事業者向けに大量の商品を取り扱う場合は大口出品のプランが一般的で、料金は4,900円+販売手数料。
販売手数料は、商品のカテゴリーごとに細かく設定されており、下記のような内容となっています。
カテゴリーごとに非常に細かく手数料が設定されており、事業者は自分が販売する商品のジャンルにあわせて、手数料を支払う仕組みです。手数料はあくまでも成約時に発生するため、例えば10,000円でカメラ(手数料8%)が100個売れたなら、
- 10,000円×100個×8% = 80,000円
- 80,000円+ 月額料金 4,900円 = 84,900円
という計算になり、事業者がこの月に支払う料金総額は84,900円となります。
カテゴリー成約料が発生する商品も
また、書籍・ミュージック・DVD・ビデオは別途カテゴリー成約料が発生します。こちらの料金は下記の表を参考にしてください。
【FBAサービスの料金 】
次に、FBA( フィルメントby Amazon )を利用する際の料金について見ていきましょう。
AmazonのFBAサービスの料金は、「配送代行手数料」+「在庫保管手数料」の総額で計算します。
まず、商品はサイズや重量によって区分が設定されており、小型・標準・大型・小型で低単価の4つに区分されます。この区分に沿って手数料も細かく定められており、配送手数料を算出することができます。
配送手数料の詳細な内容は、下記の一覧表を参考にしてください。
在庫保管手数料は商品の個数で変動
次に、在庫保管手数料を見てみましょう。
こちらは、商品サイズ(体積)と保管日数で算出され、ここに月額基準金額の係数が反映されます。
在庫の個数が多いほど、保管手数料は増えていく計算になりますね。
Amazon出店サービスの成功事例
ここまで、モール型ECのAmazon出店サービスの概要や特徴についてご紹介してきましたが、最後にサービスの成功事例をいくつかピックアップしていきましょう。
成功事例1.カフーショップ
「カフーショップ」は、沖縄で古くから親しまれている島ぞうりを販売するECショップです。
サービスは、地元沖縄に暮らす石川夫妻で運営。それまではなかなか売上に結びつかったものの、Amazonへの出店を機に売上が1年間で4倍にも達するなど、大きな成功を収めています。
Amazonならではの商品のみを掲載する販売手法は、子育てをしながら事業を展開するご夫婦にとっては大きなメリット。運営に掛かる手間や時間を抑えつつ、売上の増加を見込めるのは、同サービスの特徴が上手く生かされた事例と呼べるでしょう。
成功事例2.うめ海鮮
和歌山の名産品を取り扱う「うめ海鮮」は、従来までの対面型のビジネスから、Amazonを使ったネットショップへの以降で成功を収めたサービスです。
転機となったのは2011年の東日本大震災。災害の影響で売上が大きく落ち込む中、事業の大きなシフトチェンジとしてネットショップに力を入れます。
同社が出品している商品ページを見ると、とくに人気の高い紀州南高梅がズラリとヒット。商品画像にもこだわることで、購買意欲がそそられる工夫がなされています。軒並み高評価を受けているレビューからも、その人気の高さが伺えるでしょう。
成功事例3.chuckle BABY
「chuckle BABY(チャックルベイビー)」は、ベビー服を専門に取り扱うECサイト。
同社では少子化やライフスタイルの変化に対応すべく、ネットショッピング部門の強化を開始。Amazonの持つ集客力の高さや、ユーザーの利便性に注目し出店に至りました。
自社の作業負担の軽減を受けて、他の業務にリソースを割くことができるなど、大きな成功を収めています。また、FBAを導入することで、24時間体制での注文受注が可能になった点も特筆すべきポイントでしょう。
まとめ
今回は、モール型のECサービスの中から「Amazon」のサービスについてご紹介しました。
Amazonでは、「Amazon出品サービス」を利用してECサイトを出店することが可能。自社サイトを構築するのではなく、Amazonのサイトに商品のみを掲載する「マーケットプレイス型」の販売手法を用いるため、事業者の作業負担やコスト抑制に繋げることができます。
また、FBA(フィルメントby Amazon)サービスを用いることで、在庫の保管や管理から発送まですべてをAmazonが代行することができるなど、事業者にとってメリットの大きいサービスと呼べるでしょう。
世界的企業の知名度を生かした集客力にも優れるなど、モール型サービスへの出店を考えるならぜひ選択肢に加えておきたいサービスです。