タイパとは?用語の意味とECが取り組みたいマーケ戦略を解説

EcWork編集部

タイパとは?用語の意味とECが取り組みたいマーケ戦略を解説

EcWork編集部

「タイパ」とはタイムパフォーマンスを意味する言葉で、Z世代を中心にトレンド用語として広まっています。

本記事ではタイパの意味やなぜ若者はタイパを重視するのか、その背景について解説します。またタイパを重視するユーザーに対してのマーケティング戦略についてもご紹介しています。

タイパとは?

タイパ とは

「タイパ」とはタイムパフォーマンスの略称で、かけた時間に対しての満足度や成果を意味する時間対効果のことです。

たとえば、短時間で動画を視聴できるショート動画や、本や記事を要約したコンテンツなどは「タイパがいい」と言えます。また近年では必要な栄養素を手軽に摂取できる完全栄養食がブームですが、これも時間対効果が高い「タイパがいい」商品です。

マーケティングでは費用対効果を意味する「コスパ(コストパフォーマンス)」という用語がしばしば使用されますが、タイパは費用ではなく時間を重視している点がポイント。とくに若者を中心としてZ世代はタイパを重視する傾向が強く、動画や映画の視聴時に倍速再生を利用するといった行動は象徴的な事例です。

タイパが重視される背景は?デジタルツールの発達が影響

タイパが重視されるようになった背景として、デジタルツールの発達が大きく影響しています。

スマホやタブレットなどを使って24時間どこからでも情報にアクセスできるようになり、私達が入手できる情報の量は爆発的に増えました。サブスク動画やSNSの発達も、大量のコンテンツが世に溢れだすきっかけに。一方で、こうしたツールの進化は情報過多の状態を生み出しています。すべてのコンテンツをチェックしていては、いくら時間があっても足りません。

そこでかけた時間に対しての成果を意識することで、大量の情報を処理できるように生まれたのがタイパを重視する流れです。とくにZ世代は、生まれたときからデジタルツールを使いこなしてきたデジタルネイティブで、複数のツールを使いこなす能力に長けています。

なにか作業をしながら動画や音声コンテンツを楽しむ「ながら視聴」はこうした世代の代表的なタイパ行動で、若者層の心理を探るヒントとなります。

一方でタイパの見方を変えると、テクノロジーの進化により社会の流れが速くなった「弊害」との見方も少なくありません。入手しなければならない情報があまりに多すぎるため、本来は時間をかけるべき要素に対してもついついタイパを意識するクセが出てしまいます。人々の行動が絶えずツールやSNSで可視化され、失敗や挑戦に対しての寛容さを失った社会情勢も、タイパを「過度に」意識する傾向を強めています。

とはいえ、今後もタイパを意識した社会情勢は強まると予想され、マーケティング戦略を考えるうえでは、こうしたユーザーの傾向を意識した施策に取り組むのが大切です。

タイパを重視するユーザーへの4つのマーケティング戦略

ここからはタイパを重視するユーザーへ向けて、EC事業者が取り組みたいマーケティング戦略をご紹介します。

1.ショート動画を活用する

1つ目はショート動画の活用です。

ショート動画とは短時間で視聴できる動画コンテンツのことです。YouTubeやTikTok、Instagramなどで人気で、短時間に何本ものコンテンツを視聴できるためタイパがいいコンテンツに挙げられます。

ショート動画のメリットはタイパを重視するユーザーに刺さりやすいのはもちろん、制作する企業側にとっても労力を軽減できる点が挙げられます。専門的な機材を用意せずスマホでも手軽にコンテンツ作成できるため、参入障壁が低いといえます。

また、すでに長尺の動画を制作しているなら、「切り抜き」でショート動画をアップし長尺動画へ誘導するといった手法にも応用可能です。

2.要約や図表を活用する

2つ目はコンテンツ制作時に要約や図表を活用する方法です。

タイパを意識するユーザーはコンテンツの肝や要所を素早く把握したい傾向にあります。そこでコンテンツの制作時は要約や図表を積極的に活用しましょう。

たとえば記事コンテンツを制作する際も、文章だけでなく図表や本文のポイントをまとめたスライドを挿入するだけでも効果があります。長尺の動画を作成する際も、スライドをうまく差し込むことで離脱を避けることができます。

視覚的に刺さる工夫を施し、タイパを意識するユーザーに届くコンテンツを制作していきましょう。

3.ながら視聴と相性のいい音声コンテンツを活用する

3つ目は、ながら視聴と相性のいい音声コンテンツを活用する方法です。

動画や音楽を流しながら作業をする「ながら視聴」は、タイパ世代を代表する行動です。こうした傾向は広告費の金額からも伺え、電通が2023年2月に発表した『2022年 日本の広告費』の調査では4マス(TV・新聞・雑誌・ラジオ)媒体のなかでラジオだけが唯一前年比の広告費を上回りました。

媒体広告費の前年比割合
TV96.9%
新聞93.1%
雑誌98.0%
ラジオ102.1%

これはながら視聴を好むユーザー層に対して企業が積極的に広告を配信したため。音声配信サービスが若年層から人気を集める点からも、音声コンテンツの活用はぜひ取り組みたい戦略の一つです。

4.チャットボットの導入や決済手段の充実

ECの機能面でもタイパを意識するユーザー向けの戦略を採用してみましょう。たとえば、チャットボットの導入や決済手段の充実は、ユーザーの時間効率をアップさせるには効果的です。

不安や悩みがある場合にわざわざよくある質問を検索したり、問い合わせをおこなうのは時間がかかります。その点チャットボットであればその場で回答が返ってくるため、タイパいいと判断されます。

決済手段の導入も同様で、ID決済のようにユーザーが使い慣れた決済手段が用意されていれば、購入までの手間と時間の省略が可能。

この他にも、商品検索機能の向上やユーザーファーストのサイトデザインの採用など、時間効率を向上させる改善を施していきましょう。

まとめ

タイパとはタイムパフォーマンスの略称で、かけた時間に対しての満足度や成果を意味する時間対効果のことです。

Z世代を中心とした若年層が意識する傾向が強く、マーケターもタイパを意識した戦略を採用することでサイトへの集客や認知度アップに繋がります。