クリエイターエコノミーとは?ECに登場した「個人」から購入するという選択肢

EcWork編集部

クリエイターエコノミーとは?ECに登場した「個人」から購入するという選択肢

EcWork編集部

個人が自分のブランドを立ち上げ、収益を得る経済圏を「クリエイターエコノミー」と呼びます。アメリカでは大きな潮流を生み出しているクリエイターエコノミーですが、近年は日本でもその存在が注目されているようです。

今回はクリエイターエコノミーの概要や、注目される背景、既存のECへの影響について解説します。

クリエイターエコノミーとは?

クリエイターエコノミーとは、アーティストやクリエイター、フリーランスといった個人が自身のスキルを活かして収益を得る経済圏のことです。例えば、

  • ユーチューバー(YouTuber)
  • インスタグラマー(Instagramer)
  • ティックトッカー(TikToker)

など、動画配信やSNSで人気を集める個人はクリエイターエコノミーを形成する代表的なジャンルです。その他にも、

  • インフルエンサー
  • イラストレーター
  • ジャーナリスト

などもクリエイターエコノミーに含まれます。近年ではこうした個人が知名度の高さを生かしてオリジナルブランドのECサイトを立ち上げたり、NFTを利用して収益化を図るといった動きが増えるなど、大きな経済圏を形成しています。

出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング

2022年10月に一般社団法人クリエイターエコノミー協会が三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社と共同で実施した市場調査によると、国内のクリエイターエコノミーの市場規模は1兆3,574億円。また2021年に海外で発表された調査結果(※)では、世界の市場規模は約1,042億ドル(1ドル=145円とすると15.1兆円)にのぼるなど、クリエイターエコノミーが大きなムーブメントを起こしているのが分かります。

※出所:NeoReach Social Intelligence APIとInfluencer Marketing Hubの共同調査(2021年5月)

プラットフォームやWeb環境の進化やコロナ禍が注目を後押し

ではクリエイターエコノミーがこれほど注目されるようになった理由はなぜなのでしょうか。理由は大きく3つあります。

  1. プラットフォームやWeb環境の進化
  2. コロナ禍による個人クリエイターの増加
  3. ファンベース型の消費行動への変化

1つ目はプラットフォームやWeb環境の進化です。

私たちの生活とWebテクノロジーの距離は、年々驚くほど身近なものとなっています。SNSのように個人が簡単に投稿や配信をできる環境が整い、クリエイターの活動の幅が一気に広がりました。これまでの4マス(TV・新聞・雑誌・ラジオ)に代表されるプラットフォームが力を持つ時代が終わり、個人のクリエイターでも収益化を図る機会が増えた訳です。プラットフォームを介さずに直接収益化できればそれだけ利益率も高くなります。また、スポンサーの移行に影響されることなく自由な表現を追及できるのも、クリエイターエコノミーが注目される理由です。

2つ目はコロナ禍による個人クリエイターの増加です。

世界的なコロナパンデミックの影響で、多くのクリエイターは既存のビジネスモデルが崩壊し、新たな収益源を探す必要に迫られました。こうした中でクリエイター達が注目したのが、自分達で直接収益化を図る仕組み(=クリエイターエコノミー)です。自身の知名度を生かした配信やコンテンツの投稿、ブランドを生かしたEC事業など自ら収益化に取り組む個人が増えたことで、市場規模が大きく拡大していきました。また「これまで個人では戦えない」と先入観を持っていたクリエイター達が、「個人でも収益化できる」という成功事例が増え、他のクリエイターも後追いする形で収益化を目指すようになりました。

3つ目はファンベース型の消費行動への変化です。

若年層を中心に、機能性やスペックだけでなく、ブランドや商品のストーリー性や背景、世界観を重視する消費行動が増えています。例えばYouTubeのSuper Chatのように、ライブ配信中に「投げ銭」をするのはまさにファンベース型の消費行動です。個人クリエイターの活動はこうした変化と相性が良く、クリエイターエコノミーが注目される理由となっています。

ECでもクリエイターエコノミーが注目されている

さてクリエイターエコノミーはECの世界にも新たな変化をもたらしています。

クリエイターエコノミー向けのプラットフォームが人気

例えばShopifyでは先頃、月額5ドルでECを構築できるスタータープランの提供を開始しました。これはクリエイターエコノミーにように個人で活動するクリエイターをターゲットにしたプランで、低額の料金でECの機能機能を利用できます。

また国内ではGMOペパボが運営する「minne(ミンネ)」や「SUZURI(スズリ)」、クリームが運営する「Creema(クリーマ)」など、クリエイターエコノミーの活動を後押しするプラットフォームが人気です。

EC以外にも「note(ノート)」や「PIXTA(ピクスタ)」、「coconala(ココナラ)」といったサービスもクリエイターエコノミーの活躍の場となっています。

まとめ│ECサイトとクリエイターエコノミーが共存する未来

今回は近年注目を集めるクリエイターエコノミーについて解説しました。クリエイターエコノミーとは、アーティストやクリエイター、フリーランスといった個人が自身のスキルを活かして収益を得る経済圏のことです。

ECにもクリエイターエコノミーの影響は拡大しており、従来の企業が運営するECサイトだけでなく、リエイターエコノミーの運営する個人ECが共存する未来も遠くないかもしれません。とくに若年層のファンベース型の消費行動は社会の潮流を変える可能性を秘めています。今後は既存のECサイトでも、自社のストーリー性や世界観を訴求するファンマーケティングがより重要となってきそうです。