【マーケター必読】2021年8月施行の改正薬機法で何が変わったのか?

EcWork編集部

【マーケター必読】2021年8月施行の改正薬機法で何が変わったのか?

EcWork編集部

2021年8月、厚生労働省による薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の改正が施行され、ネット広告や表現に関する基準がより厳しくなりました。

薬機法に関連する商品を取り扱うECマーケターにとっては「知らなかった」では済まされない内容だけに、今回の改正で何が変わったのか解説したいと思います。

改正薬機法には課徴金制度が設けられている

厚生労働省 課徴金

2021年8月に施行された改正薬機法では、虚偽や誇大広告を行った企業などに対して、課徴金制度が設けられました。

>>課徴金制度の導入について

課徴金制度では、課徴金対象期間中における該当商品売上高の4.5%を課徴金として納付するよう定められており、虚偽・誇大広告に対してより明確な罰則規定が設けられてことになります。

これまでも虚偽・誇大広告に違反した個人・法人には罰金制度が設けられていましたが、金額は最高200万円に設定されており、売上が大きい企業・個人には効果が薄いとの指摘がありました。そのため、より罰則の効果を高めるためにも、収益に応じた課徴金制度の導入が強く求められてきました。

厚生労働省 課徴金 内容

これを受けて、今回の改正薬機法では売上の4.5%という収益に応じた課徴金を設定。「利益」ではなく「売上」と定めていることから、違反した企業や個人を厳しく取り締まるという強い姿勢が伺えます。


【薬機法とは?】

薬機法とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。医薬品等の品質や有効性、安全性などに関する内容について法律が定めらており、消費者への健康被害を防止し安全性を確保するために設けられています。

同法では、第66条~68条において広告に関する条文が定められています。

  • 第66条:虚偽又は誇大広告の禁止
  • 第67条:特殊疾病に使用される医薬品又は再生医療等製品の広告方法の制限
  • 第68条:承認前の医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品の広告の禁止

ECをはじめとするマーケターは、広告の作成や掲載において、上記の内容を遵守する必要があります。

>>医薬品等の広告規制について


「知らなかった」「個人の感想」もアウト

正式名称 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
対象となる商品 医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品
規制対象 何人も(広告主・広告代理店・アフィリエイターなど広告に関わるすべての事業者)
違反した場合 行政指導・是正勧告・刑事罰・課徴金 など

上記の表は薬機法に関する概要をまとめたものです。とくに注目して欲しいのが、規制対象について。薬機法では、規制の対象となる人を「何人も(なんびとも)」と定めています。これは平たく言えば、「誰であっても規制の対象になる」という意味です。

広告に関わるすべての事業者が対象となり、広告主、広告代理店はもちろんアフィリエイターやインフルエンサーも罰則の対象となります。

例えば、広告主から作成を依頼されたアフィリエイターが、広告主の指示通りに広告を作成したとしましょう。この広告の内容が虚偽・誇大広告に該当する場合、例え指示にしたがっただけだったとしても、罪に問われる可能性があります。つまり「知らなった」では済まされない訳です。

また、よく広告表現に使われる「個人の感想です」といった表現も、罪に問われてしまいます。こちらは消費者庁が定める景品表示法でも違反に該当するとアナウンスされており、マーケターは十分注意しておく必要があります。

まとめ:自社で管理できる広告体制の構築は必須

今回は、2021年8月に施行された、改正薬機法について解説しました。

改正薬機法では、虚偽・誇大な広告を掲載した企業や個人に対して、新たに課徴金制度が設けられました。課徴金は売上の4.5%と、金額に上限のあった従来までの罰金制度より厳しいものとなっています。また、対象者は「何人も」と定められており、広告主はもちろん代理店、アフィリエイター、インフルエンサーといった関係するすべての人が対象となります。

コロナ禍によりEC需要が増加したことで、掲載される広告の量も一気に増加しました。一方で、量の増加が質の低下を招いてしまい、消費者を欺くような虚偽・誇大な広告も目立つようになりました。改正薬機法はこうした状況にストップをかけ、事業者や個人に対して啓蒙することで、消費者を守ることが目的となっています。

とはいえ、マーケターにとって広告掲載は欠かせない施策の1つです。今後は、改正薬機法や、より厳しい罰則を設けるための見直しの動きが加速している景品表示法を念頭に置いて、自社で管理できる広告体制の構築が必要となってくるでしょう。具体的には、社内ガイドラインの作成や、自社広告からLPにダイレクトでアクセスする手法へのシフトなどが挙げられます。