他社のEC事業やD2Cブランドを買収・運営する企業が注目されている

EcWork編集部

他社のEC事業やD2Cブランドを買収・運営する企業が注目されている

EcWork編集部

トレンド変化のスピードが早く、事業成長も早いECサイトで注目されてきているのが、EC事業やD2CブランドのM&Aです。近年では大手企業だけが対象という認識から、中堅企業が買主・売主となり、事業戦略の一つとして活用され始めています。

EC・D2Cブランドの買収統合モデルが市場で注目を集めている

起業家・投資家向けのブログメディアを運営するBRIDGEでは、2021年7月13日付けのニュースで次のような記事を取り上げました。

Elevate Brandsが2.5億ドル調達、急成長する「Amazon出店ブランド」買収統合モデル

Amazonに出店している中規模プライベートブランドを買収・統合するElevate Brandsは13日、2億5,000万ドルの資金調達を報じられれた。出資したのはフィンテックやコマースなどでトラックレコードを持っている個人投資家が中心となっており、獲得した資金はプライベートブランドの買収に充てられる。

ポイントとなるのが、これまで大手企業が対象とされてきたM&Aにおいて、中小企業を対象とした動きが活発化していること。中でもトレンドの変化が早く、事業成長のスピードも早いEC事業やD2CブランドのM&Aは注目を集めており、今回のElevate BrandsもAmazonに出店している中規模プライベートブランドを中心に買収・統合を実施しています。

同様のモデルで急成長を収めているのがThrasioです。同記事では、Thrasioの成功についても次のように言及しています。

Thrasioは、2019年4月に650万ドルのシード調達の後、2020年4月にはシリーズBラウンドとして7,500万ドルの調達に成功している( Elevate Brandsと同様に 融資で3,500を調達しており、この時の調達総額は1.1億ドル)。その後、今年に入って実施したシリーズCラウンドでは1億ドルを調達し、評価額は明らかにされていないものの、TechCrunchでは30億ドルから40億ドルと見積もっている。


EC事業のM&A・成長支援サービスを利用する3つのメリット

では、現在ECサイトやD2Cブランドを運営する企業が、こうしたM&A・成長支援サービスを利用するメリットはどこにあるのでしょうか?

メリットは大きく3つです。

  1. 売却益を得て次の事業への資本力を強化する
  2. 事業の集中と選択により収益構造を改善する
  3. 売却する事業の成長促進

【1.売却益を得て次の事業への資本力を強化する】

1つ目は、売却益を得ることで、次の事業への資本力を強化できるということ。

成長スピードが早いEC業界では、次々と新しい企業が登場しています。初動で利益を獲得しても、継続的な成長を目指すにはトレンドの変化や噴出する課題にその都度対処しなければなりません。

そこで初動の段階で事業を売却することで、利益を獲得し、新たな事業への資本力を獲得するという判断は理にかなっているといえます。獲得した資本をもとに、新商品開発や新事業にチャレンジすることで、さらに大きな利益を狙うチャンスを生み出すことができます。

【2.事業の集中と選択により収益構造を改善する】

2つ目は、事業の集中と選択により収益構造を改善すること。

EC事業はビジネスの総合格闘技と形容されるほど、多様なスキルや業務運営が求められます。成長スピードに企業の規模が追いつけず、徐々に体力を削られるような持久戦を強いられるケースも少なくありません。

そこでECサイトを売却し、事業の集中と選択を行うことで自社の得意分野にコミットできれば、企業にとって大きなメリットとなります。具体的には、自社は開発事業だけに専念し、ECの運営部門のみを売却するといったケースです。

【3.売却する事業の成長促進】

3つ目が売却する事業の成長促進です。

ECサイトやD2Cブランドへの思い入れはあるものの、自社のリソースだけではこれ以上の成長が望めないというケースでは、より運営が得意な企業に売却することで、事業を急成長させることができます。とくに1→10のようにスピード感のある運営を得意とする企業であればなおのことです。

買収する企業にとってもメリットが大きい

既存のECサイトやD2Cブランドを買収することは、買収側にとってもメリットがあります。すでに軌道に乗っている事業を自社に取り入れることで、難易度の高い初動の段階をスキップし運営フェーズからスタートすることができます。

まとめ

今回は、他社のEC事業やD2Cブランドを買収・運営する企業が注目されているというトレンドニュースをご紹介しました。

国内でもこうしたトレンドに対応したサービスが展開されており、株式会社いつもの「D2C・ECブランドM&A・成長支援サービス」などは代表的な例です。

EC事業は今後も右肩上がりの成長が予想されますが、成長スピードに事業者側が対応できていない事例が多くなってきました。今後は、自社のリソースに合わせて事業の集中・選択を行う動きが活発化すると予想され、国内でも注目すべきM&Aが実施されるかもしれません。